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文化の違いが利益を左右する?欧州とアメリカのカフェ事情

先日、アメリカへラーメンマーケットの視察で出張する機会がありました。ラーメン市場についての話はまた別の記事で詳しく解説しますが、今回はカフェ文化について触れたいと思います。日本では「欧米」という言葉で欧州とアメリカが一括りにされることが多いですが、実際に欧州に住み、さらにアメリカを訪れてみると、両者の文化や市場の違いが際立って見えてきます。

この記事では、欧州のカフェについては知人のカフェオーナーやお客様からの話をもとに、アメリカについては私自身が現地で目にしたことを中心に、それぞれの特徴を整理しながら考察していきます。

欧州のカフェ文化:長い滞在時間と低い客単価


欧州のカフェ文化は、顧客が長時間滞在することが特徴です。ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、イギリスなど、どの国でも共通して見られるのは、食事や会話をゆったりと楽しむ光景です。コーヒー1杯で2時間近く過ごすお客も珍しくありません。その結果、多くのカフェでは客単価が10ユーロ以下という状況が一般的です。

オーナー側は、この低い客単価をどう引き上げるかに頭を悩ませています。ランチメニューやスイーツの導入など、時間帯ごとに異なる需要を狙った工夫が行われています。

イタリアの事例


イタリアの朝のカフェは例外的に回転率が高く、カウンターでカプチーノとクロワッサンを素早く楽しむ文化が根付いています。しかし、これでも単価は3~5ユーロと依然低いのが現状です。

フランスの事例


フランスでは独特のカフェ文化があり、お酒や食事を提供する店舗が多く、業態としてレストランに近い部分も見られます。そのため、他の欧州諸国のカフェとは異なり、食事を中心にした利用が多く、少し例外的と言えるでしょう。

アメリカのカフェ文化:高い回転率と効率的な収益モデル


これに対し、アメリカのカフェ文化は欧州と対照的です。顧客はカフェに滞在せず、テイクアウトで街を歩きながらコーヒーを楽しむスタイルが主流です。自前のタンブラーを持ち歩く人も多く、ニューヨークでもロサンゼルスでも同じ傾向が見られました。

有名なサードプレイスを掲げるスターバックスでさえ、座席数が非常に少ない店舗が存在します。極端な例では、座席が3つしかない店舗でも顧客は立ちながら会話を楽しんでいました。このように、テイクアウト中心の文化と高い回転率によって、アメリカのカフェは客単価が高く、利益率も高いビジネスモデルが成立しています。

結論:欧州カフェの収益向上の課題


欧州のカフェ文化において、アメリカのような回転率の高いビジネスモデルを取り入れることは、文化的な背景から非常に難しいと感じます。そのため、欧州のカフェでは「いかにして客単価を上げるか」が重要な課題です。メニューの多様化やイベントの開催など、新たな取り組みが求められるでしょう。

カフェ文化は単なる食事や飲み物の提供だけでなく、その国や地域の生活スタイルを反映したものです。これを無視してアメリカ型の効率重視のモデルを押し付けることは逆効果になりかねません。一方で、顧客の滞在時間を最大限活用する工夫や、付加価値のある商品・サービスの提供によって、収益性を高める可能性は十分にあります。

欧州とアメリカのカフェ文化の違いを通じて見えてきた課題や可能性について、これからも考えていきたいと思います。

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