社内撮影ディレクションについて元映像助監督が紹介します
こんにちは。
株式会社ラクスのデザイナー、しゅういちです。
今回ご紹介するのは社内撮影ディレクションです。
総務の方やデザイナーの方など、社内でこんな依頼がくることもあると思います。
ただ、紹介すると言っておきながら私、、
なんとカメラはあんまり使えません・・!(・ω<)
少しだけ自分のことを紹介します。
大学では映画を専攻しており、20代後半まで低予算映画の助監督、音楽PVやTVCMの制作、バイトをしながら自主映画の制作などを撮っていました。
その後Web業界に転身しましたが、サイト制作や印刷物に使用する飲食店の物撮り、採用サイトの人物撮影などを手がけてきました。
これまでのノウハウも交え、撮影のカメラオペレーションスキルではなく、撮影ディレクションに関してお伝えしたいと思います!
社内撮影時の編成パターン
社内で小規模な撮影をする際、規模や用途によっていくつかのパターンがあります。
A:外部撮影クルーで撮影
外部の制作会社や代理店などに依頼するパターンで、ディレクターやカメラマンなどがセットの編成です。
事前に撮影内容の打合せがあるでしょう。
当日の撮影ディレクションは基本おまかせでOKです。
また、入館証などは人数分必要なので、何人編制かも確認しておきましょう。
想定コスト:10~50万円 ※規模や内容によって変動します。
B:外部カメラマンで撮影
外部カメラマンだけ依頼するパターンです。
カメラマンによって演出を付けたり提案する方とそうでない方に分かれます(どちらが良い悪いではありません)。
また、動画はNGや慣れていない方もいます。
香盤表やカットイメージ、優先順位を準備しておきましょう。
事前打合せは別途費用が発生する場合もあるので、ご確認ください。
想定コスト:5~30万円 ※15000円/1Hくらいからが目安になります。
C:社内カメラマンで撮影
社内でカメラマンを用意するパターンです。
費用が抑えられ、撮影が気楽に出来たり、密に連携が取れるのはメリットですが、狙った素材が撮れなかったり、スケジュールが遅れることがあります。
各種資料の準備と事前共有をしましょう。
撮影現場では撮影意図やイメージを伝え、こちらで演出をつけた方が良い場合があります。
想定コスト:稼働工数(社内業務として対応)
撮影準備
撮影とは撮影準備のことです!
少し言い過ぎですが、それくらい大事なものです。
※撮影規模が大きくなるにつれ、撮影準備が占める割合が増えていきます(CMだと撮影日はもう仕事終わっているとさえ言えます…)。
準備で必要なものをいくつかご紹介します!
香盤表
撮影スケジュール、場所、カット、出演者、小道具などをまとめた表になります。
香盤表の語源は、四角い升に線香を立てるため、丸い穴が開いた線香を立てる台である「香盤」に由来する用語です。落語、歌舞伎の世界で使われ、映画や映像においても同じ意味で使われるようになりました。
※ちなみに香盤表は映画とCMなどでは少しだけ意味合いが違います。
香盤表という言葉自体は知らなくても、今まであなたが作ってきた撮影表は香盤表であると言えます!
事前にデータ共有するだけでなく、撮影当日には紙出力も準備しておきましょう。
カットイメージ表
撮影するカットイメージをまとめた資料です。
色々な画像を集めて、事前にカメラマンに共有しましょう。
また、現場でイメージを伝える為に紙で出力したものがあると便利です。
イメージサイトや参考サイトなどから探しましょう。
▼実例ポートレートまとめ
タグなどもついているので人物撮影の参考になります。
その他、実際に使用する場面を想定して考えていた方が良いことの一部です。
※外部カメラマンで当日現場で初顔合わせの場合は、質問されると思います。
Webか紙か
使用想定の画像縦横比
切り抜きか角版(四角形で配置する方法)か
人物撮影の目線は有りか無しか
人物撮影の笑顔度は統一するか
写真上に文字などが入る場合に空間を空けるか、どこに空けるか
衣装イメージ表
社内撮影の場合、出演者は社員の場合がほとんどです。
当日の服装イメージを指定してあげましょう。
また、複数人の集合カットを撮影する場合の衣装被りも避けられます。
※映画ではシーン変わりでの衣装パターンを把握する衣装香盤表を作ります。
衣装での注意点を何点か説明します。
モアレ
細かいストライプや格子柄などは、モアレと言われるノイズが発生するので避けた方が無難です。
キャラクター
目立つキャラクターなどの服は避けておきましょう。暗すぎる服/派手すぎる服
特に男性でありがちなのが暗すぎる服で、フォーマル目な服装の場合、集合カットが意図せず皆暗くなってしまう場合があります。季節感
実際に使用する写真の季節を想定しましょう。
オールシーズンの想定なら真夏、真冬の服装は避け、春秋で羽織ものがあるくらいが良いです。
※羽織ものが1枚あると集合カットで他の人に着用できたり、別シチュエーションで使えたりと何かと便利です。アクセサリー(動画時)
スチールなら後修正も容易ですが、動画時は光の反射が揺れたり、マイクで音を拾ってしまう場合があります。
アクセサリー自体は映えてOKですが、素材には少し注意しましょう。グリーンバックの緑色の服装(動画時)
合成でグリーンバックを使用することがあるかもしれません。
そんな時は緑色の服は避けておきましょう。
こちらもスチールなら容易な修正でも、動画だと大変です。
小道具
小道具も忘れず準備しておきましょう。
下記などは意外と忘れがちです。
ホワイトボードなどに書く内容
PCなどの画面に表示させるもの
食事シーンでNG時の予備食材
ロケハン
可能であれば一度下見をしておきましょう。
当日に考えることを減らし撮影のイメージが掴めます。
下記ロケハンでのポイントです。
事前にロケハン出来る場合
搬入搬出経路や待機場所の確認。
現場の全景写真の撮影。
※また、実際の撮影想定のカットも撮るとイメージが湧きます。方角の確認。
屋外や窓がある部屋など、太陽の向きが重要な場合があります。装飾に使えそうな観葉植物や剥がす必要のある掲示物などの確認。
※移動可能かは要事前確認です。現場照明を消せるかの確認。
(動画のみ)音が鳴るものが無いか、空調などを消せるか確認。
事前にロケハン出来ない/当日ロケハンの場合
担当者に現場の見取り図や写真などを事前取り寄せて確認。
屋外の場合はgoogleストリートビューロケハンも便利です。当日ロケハンの場合、早めに移動して現場を確認。
スタッフが複数人いる場合は、別行動で先回り(後片付け)をするのも有効です。
持ち物
その他最低限あったら良いなというものになります。
PC 、資料
資料は紙でも出力があると尚良しです。テープ、ハサミ、筆記用具
ガムテープの他、壁などが痛まないよう養生テープもあると尚良しです。ティッシュ、ウェットティッシュ
手鏡、コロコロ
出演者の衣装チェックに使用します。
こちらに掲載したもの以外も、インタビューであれば事前にヒアリングシートを書いてもらったり、
物撮りであればピンセットや綿棒を用意しておくなど撮影内容によって準備しておきましょう。
さあ準備OKならいよいよ撮影です!
持ち物を鞄につめたら撮影前日は早めに寝ましょう!
撮影当日
いざ撮影当日!ワクワクドキドキですね・・!
撮影現場での進行方法、注意点など書いていきます。
全体像の説明
皆が集まった最初に撮影の全体像、進行予定などを説明しましょう。
特に新規の外部カメラマンさんの場合、当日ここではじめて会うことも多いです。
これが決まれば現場回しの弾みがつきます!
現状復帰用写真撮影
撮影時には椅子を動かしたりポスターを剥がしたり、皆自由にレイアウトを改造しがちです。
後で怒られないよう、まずは現状復帰用の写真を撮っておきましょう。
衣装/ヘアチェック
出演者の衣装や髪周りの確認は下記などもチェックポイントになります。
ヘアやネクタイなど、撮影直前にチェックできる手鏡や、毛玉取る用のコロコロなどを持参すると尚GOODです!
社員証は指定が無ければ外しましょう。
ポケットの中が膨らまないよう、ハンカチやスマフォなどは出してもらいましょう。
また、ポケットのフラップ(フタ)は出しておきましょう。
※屋外では出す、室内ではしまうと言われてますが、一般的には出したままでOKとされています。スーツでのボタンのかけ方にも気を付けましょう。
女性スーツ:
全部ボタンをとめる。
男性スーツ:
2つボタン/一番上のみとめる。
3つボタン/1つと2つめをとめる。
ネクタイの結び目を確認しましょう。
メガネの角度や汚れなどを確認しましょう。
撮影中
撮影中の立ち回りポイントを説明します。
出演者を笑顔にさせる 😊
皆緊張しているので小粋なトークで和ませましょう(これがとっっても難しい…)
表情筋の体操なども有効なようです。撮影順は基本一方向押しで
カメラが逆を向くと背景も全部変わります。
また、外部カメラマンの場合は照明のライティングも変える必要があるため、基本は一方向を通して撮ると早く進行できます。クランクアップに注意
実はこの人このカットが最終カットだったけど言ってなかった・・!
とならないように、出演者の最終カットは認識しておきましょう。タイムキーパー
撮影に夢中になると時間を忘れがちです。
「今12時でーす」と皆に時間を発表するのも有効です。
空気が緩みすぎた場合には締める効果もあります。沢山撮ろう
特に人物の場合、実際に使用できるカットは思ったよりもずっっと少ないです。
驚くほど皆半目です。。沢山撮りましょう。動画は前後を長めに撮ろう
動画は編集時にディゾルブやフェードアウトで使う場合もあります。
カットの前後は長めに撮りましょう。カットに優先順位をつける
想定したカットが時間通りに全て撮れない場合もあります。
香盤表やカットイメージ表から優先順位をつけ、低いものは勇気を持って切り捨てましょう。軌道にのったら次の段取り
撮影が軌道に乗ったらもう次のシチュエーションの準備に取り掛かりましょう!
野外撮影
屋外撮影をする場合の注意点になります。
晴れ押しか曇り押しか統一する
屋外は天気も変わります。
同場所でもAさんは晴れで撮ったけどBさんは曇りで撮った、とならないよう、空を見てどの状況で統一するかを決めましょう。
同様に、早朝や夕方も時間が短いので注意です。道路に注意
撮影中はテンションが上がり視野が狭くなっています。
何か言われて反射的に道路へ飛び出さないよう気をつけましょう。
これは本当に危険です。
撮影済データ連携
撮影お疲れ様でした!現状復帰して速やかに撤収ですが、
忘れないよう撮影済データの共有方法などを確認しましょう。
外部カメラマン場合
RAWデータで撮影をしていると思いますので、RAW現像後のTIFFやJPEGのデータで納品してもらいましょう。
その際に簡単なレタッチとNGカットを除外選定して送ってくださると思います。
※カメラマンはRAWデータ現像とNGカット除外までは基本的な対応範囲です。社内カメラマンの場合
SDカードなどに記録していれば、その場でノートPCに取り込んでしまいましょう。
はい。いかかだったでしょうか。
撮影は大変だけどとても楽しい仕事です。ぜひ楽しんで撮影ディレクションにチャレンジしてみてください!
実はラクスのデザイナー採用サイトの撮影は、チームのメンバーで行いました。
今後も社内での撮影業務が少しづつ増えていくかもしれません。
そんなラクスではデザイナー採用を積極的に行っています!
是非ご応募をお待ちしております。
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