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尖石縄文考古館 国宝土偶と尖石さまも是非【日本列島旅のススメ#2】

■大スター土偶を見たら尖石さまにも足を運んでほしい
たとえ縄文に関心なくてもなんか見たことある!国宝土偶が!2体もあります。
尖石縄文考古館すごいです。
で、その隣接地に名前の由来になっている「尖石さま」が御座すのです…。

※日本列島旅のススメの概要・凡例は「日本列島旅のススメ〜プロローグ〜」をご参照下さい。

【今回の基本情報】
ススメの対象:茅野市尖石縄文考古館/
       尖石石器時代遺跡(史跡公園)
所在地:長野県茅野市
訪れた年月日:2015年7月31日

■国宝級〜ではなくて本物の国宝!2体も!
その日は長野ひとり旅の二日目でした。
鉄道好きなら絶対乗りたい有名路線、小海線(愛称:八ヶ岳高原線)に乗るために早起きして長野駅を出発。

長野駅(新幹線はくたか)→佐久平駅(小海線)→小渕沢駅(中央本線)→茅野駅 というルートを辿り、茅野駅からはメルヘン街道バスに乗り、茅野市尖石縄文考古館へ向かいます。

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日本で発見された土偶は約2万点ですが、現在国宝に指定されているものは5点しかありません。
そのうちの2体がここ、尖石縄文考古館にあります。
土偶界の国民的スター(というか本物の国宝)が展示されています。

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国宝 土偶(仮面の女神)
(中ッ原遺跡出土・縄文時代後期

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国宝 土偶(縄文のビーナス)
(棚畑遺跡出土・縄文時代中期)


このフォルム!!!

この2体の土偶は2018年の東京国立博物館特別展「縄文―1万年の美の鼓動」でも展示されました。
国宝には赤い展示室が用意されていて別格の扱いでした。(来場者35万人超!)

◼️ TNM(東京国立博物館)& TOPPANミュージアムシアターで2018年に上演されたVR作品の紹介動画/トッパン公式チャンネル


尖石縄文考古館には2000点余りの資料を展示してありますから見応え十分です。

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語彙力無くして、楽しいサイコー!

縄文土器に美術的価値を見出したのは、芸術家の岡本太郎と言われています。
縄文土器を初めて見た時「なんだこれはー!」と叫んだとか。

岡本太郎には民族学者の一面もありました。
「ナニコレー!」と造形に直感的に惹かれた後に「で、どうしてこうなった?」と調べたり考えたりすることも楽しいです。

また、サイコー!と楽しめるのは、学者の方達の地道な研究のうえに成り立っています。
ひたむきな研究を続ける人たちには、縄文土器や土偶から受ける印象と似たような率直さというか、魅力を感じます。
尖石遺跡の調査に尽力した、宮坂英弌氏の研究業績を学べるコーナーがあります。

いろんな視点で楽しめてありがたい。

※公式HP/宮坂英弌の軌跡

◼️尖石さまを見逃さないでいただきたい
考古館を堪能したら、同じ尖石史跡公園内にある、尖石遺跡に向かいます。
遺跡の名前の由来でもある「尖石さま」は、古くから村人の信仰の対象であったとのこと。

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こちらが尖石さまです。

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「は?え?」

という反応が多いのかもしれません。
尖石さまは高さ1m余りの三角錐状の石です。
現に私がいる間に2人組が見に来て、この通りの反応で帰って行きました。
真夏でしたし。

しかし私は、素朴すぎる佇まいに妙に惹き付けられて、しばらくその場を離れ難かった。

石から只ならぬ霊気が…ということではなく。(そういうこともあるかもしれませんが)
何千年も前の、人間の生活の象徴みたいなものが素朴なかたちで残されていて、そして今その場に立っていることの感激がありました。

現代人には用途もよく分からないけど、分からないなりにも畏怖を感じて祀ってきたということそのものに、人間てなんだろうと思います。

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横に解説パネルがあります。
尖石が神聖視されていたエピソードや、縄文時代に石器を研いだ石だったのではないかということが書かれています。

個人的に興味を引いた部分があります。

「石質は八ヶ岳の噴出岩の安山岩で、地中に埋まっている深さは不明です。」

「また縄文時代は石を貴重な利器としたところから、地中から突き出したこの石を祭祀の対象としたものであろうともいわれています。」

地中…というところから、人間の心や身体について連想します。
一説によると自我の下に広大に存在すると言われている無意識の領域について。
また、いざというときに発揮される身体能力について。
潜在的な能力を持っていそうな人間の仕組みと、尖石の形状が似ていると思いました。

一方で縄文時代の現実主義を感じました。
利器が生きることに直結していて、祀ることはその時代の実用…。


要するに、思うことは自由で、我ながら遺跡を満喫したと思います。

尖石さまに対して「おお…!」となる人はいると思います。
今そうならなくても、もしかしたら10年後に「あの時の…!」と思うかもしれない。
そういう方々が見逃してたらいけない、という思いでnoteに書いてるところあります。


帰りのバスはメルヘンではない普通の路線バスが来ました。
バスの中から見た茅野の景色が綺麗でした。

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※茅野市尖石縄文考古館は感染症拡大防止のため、2021年9月3日〜9月26日まで臨時休館中とのこと。詳しくは公式でご確認下さい。

◼️参考文献:文化庁, 東京国立博物館 編『国宝 土偶展』NHK NHKプロモーション 毎日新聞社、2009年
茅野市尖石縄文考古館公式HP

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