【感情コントロール】不快な感情の”原因”は自分の中にある。
誰かが何かをしたから
わたしはいやな気持ちになった。
子どもが何度、同じ注意をしても一向に聞いてくれないので
わたしは悲しくなった。
これまで長い間、
自分のイライラや不愉快な気持ち、苛立ちなど
ネガティブな感情は、
外側からやってくる誰かの何らかの言動によって
生じると思っていました。
でも、違うんです。
他人の言動は、きっかけになっているだけ。
本当の「原因」は自分の中にあるのです。
他者の言動を見た自分が、瞬時に「評価」した結果、
「あり得ないわー!」
「信じられない!」
「なぜそんなことが言えるんだろう?!」
というネガティブ感情が生まれるのです。
「評価」の基準は、自分の中にある。
ネガティブな感情を持った時は、
その裏に、必ず、
自分の願望のようなものが隠れているのです。
この本には、その辺りのことが明確に言語化されています。
日経が出している「NVC 人と人との関係にいのちを吹き込む法」新版。
著者は、マーシャル・B・ローゼンバーグさん。
マイクロソフトCEOのナデラさん絶賛!と言うオビつき。
分かりやすい章立てになっているので、
気になった目次の章から拾い読みしても
充分役に立つし面白いのではないかと思います。
人の言動でイライラするわけじゃない。
本当のネガティブな感情の『原因』は、外からくるのではない。
『原因』は自分の中にある。
そして、
ローゼンバーグは、こう整理してくれています。
ネガティブな感情を持ったときの手順。
自分の中に向き合い、
きっかけとなった他者にどう関わるか、
について書かれています。
1. 評価をまじえず、(他者の)言動を「観察」する。
2. 観察したことに対して抱いている(自分の)「感情」を突きとめる。
3. そうした感情を生み出している要因、(自分は)「何を必要としているの
か」を明らかにする。
4. 自分が求めていること、必要としていることを
具体的な行動として(相手に)「要求」する。
ローゼンバーグが挙げているいくつもの例の中から
特に印象的だったものをご紹介しつつ、解説しますね。
<事例>
「仕事、仕事…」で、子どもとの約束までも、いつも反故にしてしまう夫。
そんな夫を苦々しく思っている奥さん。
妻「仕事仕事というけど、仕事以外のこともたまにはやったら?」
夫「忙しいと言って、確かに仕事ばかりだったな。そうだな、わかったよ」
妻(あら、わかってくれたのかしら♡)
1週間後、夫は上機嫌で帰宅すると、妻にこう言いました。
「ゴルフを頑張ることにしたよ。シニアプロを目指してみようと思う。
レッスンを受けることにしたんだ!」
これ、笑ってしまいませんか。
「仕事以外にも目を向けてくれ」、という妻の叫びは、
家族に目を向けろ、時間を使え、という背景だったはず。
それをこの夫は、
仕事以外も楽しまないと人生ダメだよな、と受け止め、
趣味の世界を極める挑戦を始めてしまう顛末に。
この後の夫婦の関係を想像すると、冷ややかなものを感じます。
奥さんは、もう夫を「分かり合える伴侶」とは思えないでしょう。
夫の方も、なんだか妻を理解できない、と感じるかもしれませんね。
人と人のコミュニケーションでは
似たようなことがよく起きています。
この時、奥さんが、ローゼンバーグの4つのステップを踏んでいたら、
このような齟齬は生まれなかったと考えられています。
それは、どういうことか。
当てはめながら考えてみます。
1. 評価をまじえず、(他者の)言動を「観察」する。
夫は毎日、仕事に集中している様子。
帰ってくると疲れているのか、子どもと関わることはない。
遊園地に行く約束も、参観日に学校へ行く約束も果たしていない。
あくまでも感情や評価を排して、淡々と「事実」を観察する段階。
2. 観察したことに対して抱いている(自分の)「感情」を突きとめる。
寂しい、悲しい、ばかにされているような気持ち。
家のことをわたしに任せすぎだと思う。
(これは評価であって感情ではないのでNG)
子育てを1人でやっているようで、寂しい。悲しい。もっと家族を顧みてほしい。憤りを感じる。(これは感情なのでOK)
3. そうした感情を生み出している要因、(自分は)「何を必要としているの
か」を明らかにする。
悲しい要因は、いつも1人で家族のことに対応しているのは疲れてしまうから。夫婦で協力して子どもを育て、家族の笑顔が揃うような家庭を作りたいと思っている自分の願望、ニーズをしっかり感じ取る。
求めていること・必要としていることは、ともに子育てに関わってくれる夫の存在だ!
4. 自分が求めていること、必要としていることを
具体的な行動として(相手に)「要求」する。
来週の週末には、家族で過ごす時間を作ってもらえない?
子どもと一緒に公園に遊びに行ってもらえない?
おにぎりを持ってみんなで出かけない?
こんなふうになりますね。
このステップを経ずに、コミュニケーションを始めると、
感情をぶつけるだけになるか、
言いたいことが言えずに伝わらずに終わるか、どちらかに陥りやすいです。
「なぜいつも仕事ばかりで、子どもとの約束を守らないの?」
「仕事だからって、言い訳になるとでも思ってるの?」
「自分の子どもでしょ?!」
「わたしにばかり押し付けないでよ」
「わたしはアンタのアシスタントじゃない!」
こんな風に感情をストレートにただ投げかけると、言われた夫は責められているように感じます。
「仕方がないだろう、仕事なんだから」とか言い返してしまうのがオチ。
その先に待っているのは、夫婦が自分の大変さを一方的に相手にぶつけ合う
泥試合です。
ただ、こんな風にアプローチすると、ちょっと変わる?と思いませんか。
↓↓↓
この間の授業参観、急な仕事で行けなくなったね。
あなたがいつも仕事で不在だと、1人きりで子育てに追われていて悲しい気持ちになったりすることがあるの。(=感情)
わたしは、パパとママが揃って、子どもと対話をする時間を持ちたいと思っている。(=悲しくなる要因)
だから、次か、その次の週末、公園で子どもたちと遊ぶ時間を作れないかな?(=具体的な行動を伴うリクエスト)
こんなふうに言われたら、感情的に不毛な言い争いをすることは避けられそうです。
これをやれるようになるには、
実は、大切なステップがあります。
それは、
自分で自分の感情をありのままに受け止めること。
その感情の要因と、本当は何を必要としているのか、自分の本当の声をキャッチすること
です。
ここを直視しようとしなかったり、
わかっている「つもり」でスルーすると、
相手に対して、自分の願うことをリクエストすることができません。
そればかりか、
「自分の本当の気持ち」がわからなくなり、
相手と話し合っていても
「本当はこんなことが言いたかったんじゃない!」と悲しい結末になってしまいます。
自分で、自分の感情を知る。
その要因を自分の中から見つける。
この作業が長年、疎かになっていると、すぐには上手くできません。
でもこここそが、他者と良い人間関係を築く上で、不可欠なことだなあと思うのです。
自分が何を望んでいるのか。
なぜネガティブな感情が湧いているのか。
それを解消するには、何を必要としているのか。
身近にいる大切な人との関わりにおいても、
ビジネスでお客様に対応する際にも、
自分自身の人生を、自分らしく歩くためにも、
少しずつ意識していくと良いと思います。
いかがでしょうか。一緒に、4つのステップを上手に使いこなせる人になってみませんか。