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都会のオアシス9 Massolit Books and Café(ブダペスト・ハンガリー)


ブダペストにある、素敵なBook& Cafe

静寂とサブカルチャー。個人店主がいるブックカフェ

さて静寂のカフェタイムの時間です。ここはハンガリーの首都ブダペスト。私は中央ヨーロッパの諸都市はどれも似ているように感じて、伝統的、コンサバティブな雰囲気で実はそこまで好きではないのですが、ブダペストはとても好きな場所です。ハンガリーというのは旧東欧でかつて共産主義国家でしたので、現在も経済的にはそれほど裕福ではありません。でも、かつてはオーストリア=ハンガリー帝国の一翼を担っていたこともあり、古くから発展した場所でもあります。ハンガリーの人口わずか1000万人、日本でいえば神奈川県とか大阪府ぐらいの人口で、首都のブダペストは大体173万人、ですが周辺の都市も入れると300万人ぐらいがブダペスト近郊に住んでます。はっきり言ってハンガリーはブダペスト以外にそこまで大きな街も、見るべき観光スポットもありません。でも、ブダペストだけはぜひ訪れて欲しい場所の一つです。一つの街にその国の富とか叡智が集まっているという意味で、タイ=バンコクや、イギリス=ロンドンなんかと同じ状況ですかね。まあ、ブダペストはバンコクやロンドンほど大きな街じゃないんですが。

さて、ブダペストの魅力ですが、まずは街の中心部が、なんとか歩ける範囲内にあるということです。もちろん地下鉄も走ってますので、地下鉄と徒歩を駆使してほとんどの場所にアクセスできてしまうという利点があります。さらには海外からの移民が多く、その結果エスニック料理が充実した国際都市となっている点も見逃せません。ターキッシュ(トルコ料理)、タイ料理、ベトナミーズ、中華、そして和食。あらゆる料理を選ぶことができる場所であります。

さらに歴史的にユダヤ系が住んでいたこともあり、大きくて綺麗なシナゴーク(ユダヤ教における教会ですね)があります。ユダヤ料理はフムス(ひよこ豆のペースト、ハマるとコーヒー並みに奥が深い)や野菜が豊富で、あっさりしていて、私は大好きなんですが、そのユダヤ料理がたくさん食べられます

そして最後に、写真のようなこじんまりとした素敵なカフェがいたるところにあります。もちろんカフェはパリやウィーンやベルリンにもありますし、なんならそっちのカフェの方が洗練されていて素敵なのですが、コーヒー好きの個人がひっそりやっていそうな、洗練よりも趣味が爆発した感じの落ち着いた店が多いのが特徴です。東京でいえば中央線沿線のサブカル好きの店主がいるお店がある感じと言えばわかりやすいでしょうか。これはおそらく、地価の低さと関係があります。今、世界中で家賃は高騰する傾向にありますが、このブダペストにおいてはそこまで家賃が高くありません。だから個人のお店がまだやっていける場所があるのかなって思います。家賃が高くなれば、カフェの席と席の間は狭くなりますし、店主さん1人ではさばけずアルバイトを雇ってお店を組織化しなくてはなりません。そそうやって組織化すると、言葉にできなかったなんとも言えない店主の魅力は無くなってしまう、なんてケースが往々にしてあります。なお、カルチャー的な個人店が比較的多いという意味で、ブダペストと台北は少し似ています。

ブックカフェということでもちろん本が並んでますが、どうですか、この本が好きなんだろうとしか思えないような素敵な本棚は!

私は、コーヒーが大好きで、そして読書も大好きです。物静かに妄想したり、思案したりが大好きです。でもそういう人たちは、そこまで多くはありません。コーヒーを啜りながらページをめくる瞬間がいいのですが、このMassolit Books and Caféの店主もきっとそういう人なのでしょう。世界中に、自分と共通の趣味を抱える人がいるということが私はとても心強いです。

この遠いブダペストの地にも世界中にいる、静かで目立たない、静寂を抱えた人間がいると思うと、思わずコーヒーカップで「CHEERS!(チアーズ!)」と言いたくなります。あ、ハンガリー語で乾杯ってなんだっけな? 日本にはハレとケという素敵な言葉がありますが、このお店こそ、ケの場所ですね。意味がわからないという人は検索してみてください。

Massolit Budapest Books and Café

→知らなかったんですが、ポーランドのクラクフにも同様の店舗がありますね。お店の雰囲気からして、おそらく同じグループの別店舗だと思われます。


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