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「盤双六」について想う 巻之参 (My thoughts on Backgammon 3)

タイトル画像はwikipedia「すごろく」から引用です。

昨日からの続きです。

地中海沿岸や、中国の歴史を知った後、改めて日本の状況をもういちど考えてみましょう。
日本に「盤双六」が伝来したのは、絶対にAD600年代だと判明しています。
実は、遣隋使・遣唐使が中国から日本に持って帰ったのです。
 
驚くベきことに、AD600年代には早速、盤双六遊戯禁止令が出されたとのことですよ。
娯楽に飢えていた日本人に、盤双六は猛毒だったようで。でも、朝廷からの禁止令もなんのそのでした。
その後、平安時代末期までのず~~っと長期間にわたって、脈々と盤双六は遊ばれ続けていたことは明白なのです。
朝廷が出した遊戯禁止令はまったく役に立ちませんでした。
 
かの有名な日本文学「源氏物語」でも、何回か盤双六が小道具として登場しています。平安時代に流行ってたことを示している証拠のひとつです。
 
さらに脇道にそれた話になっちゃいますが、紫式部を主人公にすえた2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」でも、ちゃんと盤双六の映像が放映されました。コマの並び具合から推定すると、たぶん「柳」という遊び方の、プレイ途中なんじゃないかと思われました。
 
*なんというか、とにかく、平安時代のドラマに、「リアルな盤双六」が登場したことが、他人事なのにすごく嬉しかったのです。
 
紫式部がどんな人だったか(性格等)は、あんまり歴史的記録が残っていません。その背景を利用して、ドラマの脚本家は自由奔放に筆を進めている様子がうかがえます。
そのせいでしょうか、今回の大河ドラマはすごく娯楽性が高くて面白いです。

今回みたいに、主人公さんの性格や、子供時代のエピソード等が、ほぼ記録されてない人を主人公にするのって良いことなんだな、と思いました。ドラマストーリーがなんというか「自由に羽ばたいていて」見ていて楽しいです。

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さて、盤双六は、遊ぶ人が一時期まったくいなくなった影響により、日本国内ではしばらくの期間、失われたゲーム扱いされていました。
下記の書籍を執筆なさった「伝統ゲーム研究家」の高橋さんの功績によって、平安時代の盤双六の遊び方(ルール)が発掘できたというのが実情ではないでしょうか。
 
伝統ゲーム大辞典 高橋 浩徳 2020年2月1日 朝倉書店
 
高橋さんは、たとえば「大鏡」などの古典を解読し、日本の伝統的ゲームの解析を行っていらっしゃいます。
研究事例1:

https://ouc.repo.nii.ac.jp/record/1084/files/Takahashi.23.pdf

研究事例2:

https://ouc.repo.nii.ac.jp/record/585/files/Takahashi.19.PDF

種々の伝統的なゲームが、どんなルールだったのかを懇切丁寧に書き残してくれる親切な日本人は「平安・鎌倉・室町」時代には、一人もいませんでした。
でも多数の文献を読み込み、ジグソーパズルのように断片と断片とを組み合わせていけば、「まあだいたいこんな感じのルールだったんじゃないの?」程度までなら、古典ゲームを復元できそうな気がします。
たぶん、高橋さんはそういう地道な努力を重ねる方法でルール復元をしたんじゃないかな、と想像しています。

またまた、明日に続きます。


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