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新卒1か月半目、仮病で会社をやすんだ日。
今日は模擬授業を見てもらう日だから、頑張って考えないといけない。そう頭ではわかっていても、どうしても机の上のテキストを開くことができない。
どうして動けないんだろう。嫌でもやらないと。怒られるよ。それが仕事なんだから。向いていないとわかって入社したのは自分だよ。色々な考えが頭をぐるぐるまわって、ぐちゃぐちゃになって泣けてきた。
これからずっとこうなのだろうか。授業を毎日入ることになったら私はどうなってしまうのだろうか。自分が壊れてしまうのではないか。
もう、会社を辞めようと決意した。
そう決意した瞬間、こころが落ち着いた。これで良い、こうするしかない。
調べると、退職の意向を伝えるのは上司の退勤後が良いらしい。でも今の私には今日、出社するメンタルをつくることができなかった。とりあえず今日は仮病で休もうと考えた。
出社時刻45分前、今から服を着替えて準備をすればギリギリ間に合う、引返すなら今だ。
ここで休むのは自分の甘えなのではないか。新卒1か月半で辞めて後悔はしないか。これからの人生はどうするんだ。めちゃくちゃに葛藤した。
頑張ったら動けたかもしれない、出勤できたかもしれない。でも、私は動かなかった。自分の意思で休むことを決めた。
出社時刻20分前、校舎に電話を入れた。「朝から熱があって、しんどいので、今日お仕事おやすみします。」「わかりました、お大事にしてください。」
社会人になったら、会社を休むことなんでできないと思っていた。でも、案外スムーズに休めたことに驚いた。コロナ禍だからなのだろうか、新卒だからなのだろうか。
今日、たまたまお休みだった校長先生にLINEを入れた。すぐに電話が鳴った。出ることができなかった。LINEもきた、「ゆっくり休みなさい。病院はいける??」
もう言い逃れできないと思った。正直に仮病だと言い、退職の意向を伝えようと決断した。
決断はできてもなかなかそれを伝えることができなかった。1時間後、ようやく電話ができた。
熱だと嘘をついたこと。本当は精神的にしんどくて出社したくないと思ったこと。模擬授業をすると言われた前日は緊張と不安で眠れないこと。自分は人前で話すことが苦手だとわかっていながら入社したこと。全ては自分の責任であること。もう辞める覚悟はできていること。
校長先生は、私が号泣しながら話した内容を「うん、うん、」とひとつずつしっかり聞いてくれた。
「とにかく今日はゆっくりやすみなさい。明日また話そう。模擬授業のこととかは考えなくていいからとにかく来なさい。他の校舎の人たちには熱だと伝えておくから。社会人なのだから、ここで逃げるのは違う、そのくらいの責任は持ちなさい。」
いつも生徒に厳しく指導している校長先生からは想像ができないくらいに優しく、愛のあることばをくれた。
模擬授業のことも考えない、英語の勉強もしない。久しぶりに仕事のことを何も考えずに過ごした。
洗濯、掃除、料理もしない。久しぶりに家事のことも考えずに過ごした。
前から気になっていたお弁当屋さんと、インスタで見て気になっていたローソンのスイーツを買いに行った。スーパーに行って大好きなお菓子のきなこ餅も買った。
からあげ弁当を午後4時30分に食べた。少し寝て、午後6時くらいにスイーツを食べた。
それから前から観たいと思っていた『50回目のファーストキス』という映画をNetflixでみた。またお腹が空いて納豆ごはんを食べた。
時間を気にせず、欲望のままに、自由に生きた。とても心地よかった。
明日はどんな1日になるのだろう。
どんな未来になっても、私はわたしの信じる道を生きようと思う。
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