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幸せだと彼女は思う

彼女は幸せだった。

自分がお腹いっぱいで、呼吸の圧迫でさえ苦しいと感じる現実に。
美味しい肉と魚を頂けた過去に。

パンパンになった腹をさすり、なにかが戻ってきそうな喉を固く閉じ、ちょうどよい固さのベッドに横たわる。


彼女は幸せだった。

満腹から来る心地よい眠けに抗わなくても良い今に。
ヒーリングミュージックに頼らなくても良い今日に。

枕元におかれた携帯電話を弄る日課。友人からのささいなメッセージにささいなメッセージで応え、好きなアーティストの情報を探す。


何でもない1日をふと振り返り
あぁ、幸せってこういうことなのかもしれない。
なんて思う。

彼女は幸せだった。
彼女が幸せと思うのであれば、彼女は幸せだ。

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