Rain after Frogs. (ラフ)

Rain after Frogs. (ラフ)

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「10年前に戻ったら」by きたとうま

桜と共に鴨達が泳いでいる。 もうひとつ前の季節までは、みな同じ大きさだった気がするが、いつの間にか小さな鴨がちらほら見えた。 大きな波紋ののちに小さな波紋が近づき、やがて一つになる。 木陰から木陰へ。合流したらまた次の木陰へ。 上流へ。上流へ。 それが彼らの流儀らしい。 全ての桜が流れ、世界と木陰のコントラストが強くなった頃、波紋の大きさは同じになっていた。 そして夏が来た。 彼らは夏休みの旅行にでも行ったみたいだ。 日中出かける気分にもなる時期にまた戻ってくるだろう。

    • 「幼き日の記憶」by Emma.

      普段昔の嫌いな思い出しか語らない僕にも実は好きな思い出もたくさんある。 でもそれは人に話すとなんだかそれそのものが希釈されてしまうようでとても恐ろしい。 良い思い出というやつは恋愛くらい罪悪なものだよ。 だから僕は此処で思いっきり少しだけ罪を犯そうと思う。 以前住んでいた家の、僕の机が置いてあった場所。 その少し右上にある少し汚れた小さな窓から優しく降り注ぐ陽光はとても確かな感覚で 今でも容易にその温度さえも思い出せてしまう。 何かをしていたわけではない。 子

      • 「幼き日の記憶」by きたとうま

        こんばんは。 突然だけど今からせーので、10秒だけ私と一緒に過去の出来事を思い出してみよう。 目を瞑って。どんなことでもいいから。 せーの! 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 おかえりなさい。 どうだった? 私が思い出す記憶は大抵、 あの時はよかったとか、 あのとき間違わなければとかの類。 手に入らなかったものに執着して目の前を疎かにするのはやめよう。 Rain after Frogs. きたとうま

        • 「幼き日の記憶」by マツオカショーマ

          「これ嫌いやからやるわ」 「食べきれへん、食べて」 2人だけしかいない食卓で、お袋の口癖。 ほぼ毎日。外食だろうが家で食べようがお構いなく。 毎日毎日言われるモンだから、ガキんちょでも思うところはある。 嫌いなもんならやんなや! 食べきれないなら最初から注ぐな頼むな! そんなこと言ってもガハハと笑うだけだった。 あれから随分経った今。 別に嫌いなもんあげてたわけでもなく。 本当に食べきれなかったわけでもなく。 不器用なお袋なりの「愛」だったのだと、自分が親

        「10年前に戻ったら」by きたとうま

          「音楽との向き合い方」by きたとうま

          冬場の教室でめちゃくちゃ寒いのに、 休み時間の度に窓を開けて換気するヤツいたよね。 それが俺です。 みなさんこんにちは。 R.a.F. のドラム、きたとうまです。 少し間があいたけど、また書いていきます。 先日、健軍のさくらマルシェでアコースティックスタイルで出演させてもらった。 音楽を始めてかれこれ15年くらいが経ったが、カホンでライブに出るのは初めだ。 野外だし、桜だし、カホンだし、祭りだし。 新たな経験。最高だ。 何年新たな経験が増えていく。 歳を重ねていくことには

          「音楽との向き合い方」by きたとうま

          「私の好きなもの」by Emma.

          僕の好きなことは「考えること」だ。 もっと別の言葉を使うのであれば「心の鏡を見る」ことが好きだ。 自分がどんな人間かを知ることができる。 他者を侵害することなく、生きていくことができる。 しかし、僕は心の視力がとても悪いので他者への侵害が本当にゼロかと聞かれたらその限りではない。 これを今読んでいるあなたの心を侵害していないとはきっと誰にも言えない。 その行為、ひいては考える、知る、弁えるということは全ての行動の予備動作だから、個人の倫理観や価値観が大きく影響する

          「私の好きなもの」by Emma.

          「私の好きなもの」by きたとうま

          私は動物が好きだ。 かわいい。 だから、詩を書いてみた。 居場所 いっつも普通の顔をしてる。 暖かいところを見つけて、四角くなってみたり、伸びてみたり。 朝になったら走り回ってみたり。 箱に入ってみたり。 嬉しい時は、目を細めてゴロゴロいう。 悲しい時は、なー、なー、と鳴く。 喧嘩する時は、爪をたてて、ひじをのばして、目をすぼめる。 嫌な時は、しれっと逃げる。 お気に入りの場所は、心の中。 Rain after Flogs. きたとうま

          「私の好きなもの」by きたとうま

          「私の好きなもの」by マツオカショーマ

          久しぶりに随筆を綴る。 今回のお題は、「私の好きなもの。」 これまで私が書いていた内省的なコラムと違って、よりラフなものとなるだろう。 私の好きなもの。ズバリ「ハードロック」だ。 その邂逅は、小学校の時に遡る。当時は(今もだが)日本を代表するロックユニットが大好きだった。小坊の癖に「要らない何も捨ててしまおう〜♪」なんて歌ってた。 ある程度突き詰めると、今度はその好きなアーティストが影響を受けたアーティストを知ろうとしたのだ。 それが中学生の時。 そこでハードロック

          「私の好きなもの」by マツオカショーマ

          「なりたい自分」by Emma.

          次のテーマは「なりたい自分」でいこう! この話が上がった時に、僕は全身の血の気が引いてしまった。 正直とても困った。 僕はメンバーの2人と違って本当に頭が悪いので明確に「なりたいもの」を意識して今の今までしっかり生きてこなかったのだ。 だからテーマから少しズレた話をしてしまうかもしれない。 恥ずかしい話、幼い頃は「自分には大きな可能性があるのだ!だから将来は努力しなくても何者かになっていて矢鱈に胸元の空いたアロハシャツを着て、サングラスをかけて、赤くて長い車に乗って、

          「なりたい自分」by Emma.

          「なりたい自分」by マツオカショーマ

          なりたい自分。 先日斗馬君がコラムを綴ってくれてから、自分がどのような人間になりたかったのだろうと思い返している。 何だろう。 将来の夢とかはなんだったけな。 幼稚園の時、箒をギターに見立ててみんなの前で弾き真似をしたら、予想以上に喜んでくれた。そこから僕は人前で演奏をすることの悦びを知ったのだと思う。 幼稚園の頃の夢=ミュージシャン。 小学校の頃は、当時あっていたテレビドラマや映画を観て海上保安官になりたかった。実際にイベントに行ったりしながら巡視船に乗せてもら

          「なりたい自分」by マツオカショーマ

          「なりたい自分」by きたとうま

          子どもの頃の夢を覚えていますか? その夢はどのくらい叶いましたか? なりたかった自分と今の自分。 その差はどこで生まれたんだろう。 そういうことを今日は書こうと思う。 きっと誰もが理想の生き方を抱いて過ごしている。 将来の夢、とまではいかなくても小さな、こんな自分になりたいという感覚は皆持っているだろう。 例えば、笑顔が多い人になりたいとか。 落ちてるゴミを拾うような自分になりたいとか。 元気に過ごしたいとか。 理想通りに生きているだろうか。 僕はできていない。

          「なりたい自分」by きたとうま

          「表現とユーモア」by きたとうま

          みなさんこんにちは。 R.a.F.のドラム担当、きたとうまです。 ラフコラム第2周目のテーマは「表現とユーモア」。 私より先にメンバー二人が、人を笑わせるとはなんぞや、と書き綴ってくれた。 自分の内側をさらけ出した文章は読み応えがある。 まだ読んでない人は是非、目を通してみて欲しい。 さて、本題だ。 今回私は、 ”何のための” 表現、 ”何のための” ユーモア、 なのかについて言及していきたいと思う。 まず、「表現」という言葉はものすごく抽象的で広い意味がある。 音楽や

          「表現とユーモア」by きたとうま

          「表現とユーモア」byマツオカショーマ

          「君って、面白いよね。」 人生の局面で、幾度となくこの言葉をぶつけられた。其れも耳にタコが出来る程。 はぁ。またこれか。自分では面白いことを言っている、している自覚は何にもない。至って真面目に生きて、真面目に受け答えをしているのだ。 正直、この言葉を聞くと一種の自己嫌悪に陥る。もちろん言った側は悪気があって言っている訳では無いことくらい百も承知だ。 初めて言われたのは小学生の時だ。僕は足も速くなければ、勉強ができるわけでも無い。かと思えば、ルックスが良い訳でもなくスタ

          「表現とユーモア」byマツオカショーマ

          「表現とユーモア」by Emma.

          前回に引き続き、 Emma.です。 今回は表現とユーモアについて話をしたいと思います。 幼い頃から僕にとって表現とユーモアは密接な繋がりがあって、かつ自分は面白いことのできる楽しい人間だという誤解を背に抱えながら生きてきた。 その誤解が解けた今、たぶん僕は理想と現実のギャップに挟まれてしまっているのだ。 「暗い話ばかりすると人が離れる」だとか「面白いこと言えない奴に価値はない」だとか「ユーモアのセンスがないなら言葉を使うな」だとか言われて、そんな心無い意見に首を縦に振

          「表現とユーモア」by Emma.

          「記憶と音楽」by Emma.

          僕は子供の頃から音楽が好きだった。 だからギターを手に入れて、アンプに繋いで最初のストロークをして、正直言って痺れた。赤いストラトだった。 それからずっと僕は自分が特別な人間だと勘違いしてきた。 こんばんは。 初めまして。 さようなら。 R.a.F.のベース担当のEmma=sympson.です。 若い頃は「音楽は最高」「音楽は人生」だなんて稚拙なことを考えてた。 でも違った。 特別なんてことはない。僕は普通でも、特別でもない。生きることも死ぬこともなく、ただそこ

          「記憶と音楽」by Emma.

          「記憶と音楽」by きたとうま

          音楽とは、記憶の栞である。 音楽は、記憶から生まれる。 そして、 音楽は、あの頃の記憶を呼び起こしてくれる。 こんばんは。 R.a.F. ドラム担当のきたとうまと申します。 前回のコラムで松岡君が綴ってくれたとおり、俺たちのバンドRain after Flogs. では同じテーマを掲げて3人がリレー形式にコラムをまとめていく。 コラムの第一回テーマは「記憶と音楽」。 壮大なテーマにしてみたが、初回というのもあり半分は自己紹介のようなものになるだろう。 どうぞよろしく。

          「記憶と音楽」by きたとうま