【思い出エッセイ】中学時代の釣り仲間
中学時代、同じ中学に釣り仲間が2人いた。
彼らと私を合わせた3人でよく海釣りに出かけていた。
昼間よりも早朝の方がよく釣れるので、午前3時くらいに待ち合わせして、そこから数時間自転車をこいで海まで行っていた。
よく親が許してくれたものだと今では思う。
当時はスマホなど持っていなかったため、Google Mapなどの地図アプリを使いながら目的地までいくことはできない。
事前に地図を印刷し、その地図に赤ペンでルートを書き込み、それを持参して時節地図を確認しながら自転車をこぐ。
当然だが、午前3時ごろには車はほとんど通らない。
車道の真ん中を思い切り自転車で走るのがとても爽快であった。
あたりも静かで、心なしか空気も澄んでいる気がして、海までの道のりは心の底からワクワクするものだった。
海に着いたらさっそく竿を取り出し各自の仕掛けを準備して釣りを開始する。
釣りというのは釣れる時と釣れない時がはっきりするもので、釣れる時はどんなに仕掛けが適当でも釣れるが、釣れない時はどんな仕掛けを試してみてもなかなか釣れない。
魚が釣れたら釣れたで勿論楽しい思い出となるが、釣れなかった日であっても我々は全力で3人の時間を楽しんでいたなと感じる。
早朝から釣りを開始して、次第にあたりは明るくなる。
各々喋りもほどほどに釣りに熱中していて、気がつくとお昼になっている。
3人のうちの誰かが「飯食おう」と言う。
残り2人はそれに賛同し、3人で海を見ながらお昼ご飯を食べる。
釣りそのものよりもその時間を楽しんでいたのだなと今になって思う。
フグが釣れたら煽り合い、サイズの大きなアイナメやメバルが釣れれば目を光らせて3人でその釣った魚を見ていた。
彼らとはかなり仲が良かったはずだが、(よくある話ではあるが)高校進学を機に疎遠になってしまった。
私は高校進学を機に釣りを辞めてしまったが、他の2人は続けているのだろうか。
恐らくあの2人と一緒に釣りをするなどということは一生ないだろう。
それどころか一生会わない可能性が濃厚である。
彼らの脳内に私との釣りの思い出が残っていてくれたらちょびっとだけ嬉しい。
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