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【資金繰り】って、言葉が曖昧だと思います! あと【倒産】も。

「資金繰り表を作って、提出してください」
「資金繰りが大変なんだよ」
「資金繰りを良くしたい」
「資金繰りを頑張りたい」

皆さんは、「資金繰り」と聞いて、どんなイメージを持つでしょうか?
①銀行に融資相談するときに、提出を求められる資料(資金繰り表)
②会計事務所が作ってくれるもの(資金繰り表)
③創業当初、資金を集めるのに苦労した日々(資金調達)
④月末近くに、通帳とにらめっこして、払えるかどうか不安になりゾクッとする感覚。。(資金不足)

経営者、経理担当者、会計事務所担当者、銀行員、
それぞれイメージするものは違っているかもしれません。

今回は、「資金繰り」について、定義してみたいと思います。
あと「倒産」についても再確認します。



シキングリ

「シキングリ」言いやすいですよね。
響きが悪くないせいでしょうか、
皆さん「資金繰り」の一言に色んな意味を込めてしまっていると感じます。

銀行員
「資金繰り表を作って、提出してください」
「将来の資金の見通しを表にして、返済できることを説得してください」
(将来予測)

社長
「資金繰りが大変なんだよ」
=「赤字続きで、税金や家賃の滞納をしている。早くお金を集めて払いたいうまくいかない。大変。。」
(資金集め)

社長
「資金繰りを良くしたい」
=「毎月、支払できるか不安な状況。。この状況から早く抜け出したい。」
(資金調達、もしくは経営改善)

経理担当
「資金繰りを頑張りたい」
=「前回は、1ヶ月前に社長に資金不足することを進言して怒られた。次はもっと早く危険を予測できるように精度を高めたい。」
(将来予測)


資金繰りの意味 は2段階

①今後の入金と支払の見通しを立て資金が不足しない状態とすること。

②資金が不足する予測となったとき、資金調達の手立てを講ずること。


資金繰り(将来予測)の手引き


1ヶ月の入金、出金を箇条書きにする。
 (飲食店のような現金商売などで極端に資金が少ない場合には、
 【1週間】や【1日】など期間を短くしてください。)

【入金ー出金】差額を計算する

③(1)②が大きくプラスの場合。
   ①②を参考に将来予測を立てる。
   (年一の支払や数年に一度の支払も見込む。)
   もっと資金を投資して、事業拡大できないか検討する

③(2)②がぎりぎりプラスの場合。
   ①②を参考に将来予測を立てる。
   マイナスになる月がないか確認する
   利益率を上げる策を検討し、「(1)大きくプラス」に近づける。

③(3)②がマイナスの場合。
   ①②を参考に将来予測をすぐ立てる。
   手元預金と比較して、いつ頃資金が不足するか検証する
   不足に備えて資金調達を検討する


資金ショート=倒産ではない。

資金不足という言葉を使ってきました。
資金ショート資金がショートする、という言葉を使うこともあります。
資金ショート=倒産でしょうか。
あれ?倒産って具体的にどんな状態でしょうか。

倒産の定義

日常的に使用する「倒産」という言葉は、法律用語ではありません。一般的には「企業経営が行き詰まり、弁済しなければならない債務が弁済できなくなった状態」を指します。具体的には、以下に挙げる6つのケースのいずれかに該当すると認められた場合を「倒産」と定めます。
1 銀行取引停止処分を受ける※1
2 内整理する(代表が倒産を認めた時)
3 裁判所に会社更生手続開始を申請する※2
4 裁判所に民事再生手続開始を申請する※2
5 裁判所に破産手続開始を申請する※2
6 裁判所に特別清算開始を申請する※2

※1 手形交換所または電子債権記録機関の取引停止処分を受けた場合
※2 第三者(債権者)による申し立ての場合、手続き開始決定を受けた時点で倒産となる

https://www.tdb.co.jp/tosan/teigi.html

帝国データバンクでは、上記の様に説明されていました。

1 銀行取引停止処分を受ける※1
手形取引が減った今、これによって倒産する事業者は少ないです。

2 ~6
これを社長自身が決断して、倒産という状況になる。
これがほとんどだと思います。
一応、債権者がお金を返さない会社を倒産させることもできるのですが、
倒産させて回収できるお金が増える訳でもなく、一般的ではないようです。

「資金不足(資金ショート)、即ち倒産」ではないことがわかりました。

「資金不足による未払で取引先や従業員に愛想をつかされた。」
「改善の見通しが立たない。この事業は諦めよう」と社長が決断し、手続きをとったときに初めて倒産になります。


資金繰り(資金調達)の手引き

さて、
第三者に強制的に倒産させられる可能性は少ないことがわかりました。
如何にして資金を確保するか検討しましょう。

支払を遅らせる
 →黙って遅らせてはいけません。信用問題になります。合法的に可能な支払を遅らせましょう(条件変更など)。

入金を早める
 →売上金を早く入金してくれるよう頼んでみる。
 →前金で受注できないか頼んでみる。

在庫や資産の現金化
 →使ってないもの、定価で売れないものを可能な限り現金に換える。

銀行融資

保険や倒産防止共済の契約者貸付

などがあります。
約束した支払に遅れないことが一番ですが、
その通りいかないこともあります。
そんなときは、上記の方法を試してみてください。


事業継続の判断

最後に、事業継続の判断について書いてみます。
お医者さんになってみます。

借入の残高はなかなか減らないが、事業は黒字で、生活できている
 →「経過観察です。毎月の資金繰りを注意深く確認し、悪化しないようにします。」
赤字が続いている
 →「すぐに手術が必要です。悪い部分(赤字事業)を切除します。黒字化を目指します。」
③事業が赤字役員報酬も取れず個人資産を投入している
 →「(勝機が見えないのであれば)すぐに大手術です。再生医療を施します。会社の破産や保証人の自己破産という法的制度を活用して債務をゼロにしてもらい、生活を建て直します。」


長くなりましたが、
「資金繰り」や「倒産」について、書いてみました。

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