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始終

灰蝋の、皺腹の底から 朱い蛇がぬたると、拳は絞まるけれど。そのこうべこそ 仙椎こそ、[華、]接吻を詣すところ。〈うつけしいもの。〉その皓牙は御つて澎湃し、躰を異封な彷徨へ抓ると、広漠の隻腕が、その鉤爪の銀鱗、異景から転びでる悟性を引っ掛け、逆剥けの美妙を尾鰭としたのです。

暗がりに光をはったり、
背後に輪をかけて魅せまして。
しまったものだから

やはりすべては露骨な――感嘆符のト書である

胚列車は降クダっていく。また、夜来の雨に
蛇行した路肩は肋を潜り、
そのたましい、飛翔ヒカけ縋ったあとで
今更 目覚めたばかりでありました

ときに私、とお見かけしたのはもう何度目のことでしょう

たとえるなら薄幸の裸婦として 煙管を更かし
回生先の誉れだとして 屍肉を喰らうばかり
草木ソウボクに嬲られる猩猩でもなんでも寄せ合わせる

―― 、よろしゅう願います
唯、先生はつぶさに申しました  
いいえ、 ―― 只、黙って一切を。
ご覧になっておりました

とまあ空蝉が用なく泣く季節でございますね。

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