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感じ得る全て、即ち畢生の一切が、頭蓋骨に納められた湿った脂肪の塊から至ることを、猪目の臓腑から深刻に受け取らなければならない。

一本の釘が海へ落ちるのを見た
大工は新しい釘をとりだす
一本の釘が海へ落ちるのを見た
大工は新しい釘を屋根に打ち付ける
一本の釘が海へ落ちるのを見た
やがてここには白い家が建つ
一本の釘が海へ落ちるのを見た
私は、一本の釘が海へ落ちるのを見た

嗚呼、迎えるは苦痛は久遠のように、沛然と迫り来る刻の滴りに苛まれ、喉元に宛てがつた創でさえ、沈黙の暴瀉に掻き消され、遑なき無言シジマに憂き身を窶す、
嗚呼、過ぎたるは苦痛は刹那のように、幾重に紡いだ寂寞の、淡い屏息を咽喉に詰まらせ、皮肉も何も腐り給うた窮骸は、夜一夜の甘瞑に馳せながら、闌夕を倡佯す、

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