UI・ビジュアルデザイナー向け プロダクトマネジメントに踏み出す「はじめの一歩」
こんにちは、株式会社MutureのUIデザイナーらいです。
早いもので気づけば今年もあと少しですね。私の体感、師が世界新記録で爆走してます。
そんな年末、ひょんなきっかけからMutureとクライアントであるマルイの皆さんの有志で月の後半アドベントカレンダーを実施することになりました!この記事もそのうちの一つです。
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マルイのDX推進担当者からMutureのPdMまでさまざまなメンバーが自由なテーマで書いてますので、ぜひ他の記事も読んでみてください!
デザイナー×プロダクトマネジメントを考える
私は今回、いちUI(またはビジュアル)デザイナーがプロダクトマネジメントに関わっていきたいと考えた時、これまで得たスキルは活かせるのか?最初の一歩として何をしたら良いのか?という内容について書いてみます。
👶 こんなモヤモヤを持っている人におすすめです
デザイナーとして手を動かすのは得意。このスキルを他へ活かしたいな
プロダクトマネージャーに興味はあるけど、どうやったらなれるの?
「視座を上げたい」とはぼんやり思うけど、何をしたらいいの?
プロダクトマネジメントとデザイナー、相性が良い理由
私はこの半年弱プロダクトマネジメントの領域に少しずつ関わるようになったのですが、日々デザイナーとしてやってきた行動がプロダクトマネジメントでも活用できそうだと感じた経験が何度かあり、この2つには共通する要素が多くあるのでは?と考えるようになりました。
今回テーマに挙げる要素は、そんな共通項の中でも特に強くデザイナーが活用できると感じたこちらの3点です。
1. 可視化してわかりやすく伝える力
2. 物事を構造化して整理する力
3. 理想を思い描く力
こう書いてみると、デザイナーは皆日常的にやっていることですよね。
例えばバナーやLP作成(構成〜図版まで)、図解などはまさに可視化してわかりやすく伝えるスキルが発揮されています。
細かい所では、デザインで使う要素を関連性でグルーピングするのは構造的整理といえますし、機能改善を考える際にありがちな「これを使う人はそもそも、最終的には何を望んでるんだっけ?」という立ち返り方ができるのも顧客が本当に望む未来の状態、つまり理想を思い描く力あってこそです。
そして、それぞれをプロダクトマネジメントの視点に置き換えると次のようなメリットがあると考えられます。
1. ビジュアライズすることで皆のイメージを揃え、共通認識を作れる
2. 複雑な情報を整理することで、議論をスムーズに進行できる
3. 目先のわかりやすい改善が今本当に必要なのか迷った時に、本来の目的へ立ち返り考えることができる
特に初期フェーズのスタートアップは0からプロダクトを作っていく「何も分からない」状態で、メンバー皆が抽象的で複雑性の高いことを考えている状況です。そこで、そんなモヤモヤを構造化・分解したり、あえて本来のビジョンや目的へ思いを馳せることができれば、組織全体にとってかなり大きな価値になるのではないでしょうか。
このように、共通する要素とそこから想像できるメリットを考えてみると、視点をうまくデザイン領域からプロダクトマネジメント領域へ転換することさえできれば、デザイナーが持っている力を存分に発揮できるといえそうです。
ということで、さっそくこの視点の転換→プロダクト領域でスキルを活用するために必要なステップについて考えてみます。
1. 頭の中にKPIツリーを作り、視野を広げる
数年間UIデザイン領域に集中してきた身としては、いざプロダクトマネージャーと対等に話すようになって一番苦労したのが視野の違いを埋めることでした。
私もPdMも同じことを話していて、何なら最終的な意見は似ているのに、なんだか根拠の強さがまったく違う!と感じることが多くありました。
その差を埋めるために役立ったのが「頭の中にKPIツリーが描く」ことです。
「KPIツリー」とは、KPIをツリー状に可視化したものです。枝葉の末端にあるKPIを中間目標として段階的に達成していくことで、最終的に目指す指標=KGIの実現が叶えられます。
これが頭の中に描けるようになると、全体像を踏まえて物事が考えられるようになり、先ほど書いた3点(可視化してわかりやすく伝える力・ 物事を構造化して整理する力・理想を思い描く力)すべてを強化する「視野の広さ」が得られます。
なぜKPIツリーなのか
指標が業績ベースの考え方なので、PdMはじめビジネスサイドやマーケティングのメンバーとプロダクトの全体像の捉え方自体を揃えられるというのがKPIツリーを用いる一番のメリットです。デザイナーが特に盲点になりがちな、数値や事業構造といった観点を持つことができるようになります。
ここで一度、視野の差があるとどんな影響があるかを具体的に考えてみます。
視野が狭いと、点でだけ考えがち
まずは視野が狭い場合のアンチパターンから想像してみます。
Aという施策の振り返りミーティングがあると仮定しましょう。
KPIツリーが頭になくても、直接話題になるもの=目標に対する進捗はどうか・開発はスケジュール通りに行えたかなどは普通に話せます。
しかし、他の施策との関連性や全体目標から逆算した時に何をどの程度担っているかがわからないため、今の施策を本当に続けるべきか?更に注力すべきか?他に優先度をあげてやるべきことはないか?などの観点が持ちづらくなります。
その結果、わかりやすい短期の目標進捗だけを良し悪しの判断軸にしてしまい、本質的な議論からは一歩遠ざかることになります。
視野が広がると、観点が増える
今度はKPIツリーを描けているとどうなるかを考えてみます。
施策Aについて話をする時には、すでに頭の中で今回のKPIを含めた全体像を踏まえられています。
全体俯瞰によってビジネスサイドやマーケターの観点も把握することができており、各ロールと目線を揃えた議論がしやすくなります。
また、例えば短期の目標が未達成の場合にも「今月は目標未達だったが、四半期の進捗としては悪くない」「施策Bの進捗が良いので、Aを縮小してBにもっと力を入れよう」というように全体から逆算して考えることができるようになります。
たとえ点で考えた時と同じ結論に至ったとしても、判断のプロセス・観点の多さが異なるため思考の深さと根拠の確からしさ、つまり意見の強度に違いが出ます。
根拠の数を例にすると、こんなイメージです。
もちろん思考力自体や言語化力なども重要ですが、まずは観点に気がつけないと考え始めることすらできません。
これが、私が最初に感じたPdMとの視野の違いでした。
まとめると、全体を捉えることで点ではなく線で考えられるように、また主観ではなく客観、かつ多角的な観点を根拠とした強固な判断軸が持てるようになるということです。
まずは自分の関わるプロジェクトのKGIを分解してみる
メリットがわかったので実際にKPIツリーを作ってみます。
KPIツリーの作成は、最初のうちは馴染みがないため難しく思えますが、やっていること自体はシンプルな構造化です。ツリー形式の図に落とし込むことだけに慣れれば、デザイナーは割と得意だと思います。
観点が出せるというのがまず第一歩になるので、完璧に描ける必要はありません。近くに話せるPdMがいたら、ぜひフィードバックをもらってみましょう。
2. フレームワークで客観視する
「フレームワークの活用」と聞くと、少しとっつきづらく感じる人もいるかもしれません。
実は、フレームワークは状況や物事の整理だけではなく主観と客観を切り離すツールとして役立てることができます。
なぜ主観と客観を分ける必要があるのか
客観視点があるとメタ的に現状を整理できるので、自然と視座を上げることができます。視座が上がると考えられる観点が増えるので、深く・広く構造化できるようになったり、より精度高く理想の状態を描けるようになります。構造化についてはKPIツリーの項目で触れたので、今回は後者について考えてみます。
前提:デザイナーは理想に思いを馳せやすい説
元々デザイナーはさまざまな領域に関わり横断しながらデザインを進めていくことが多いので、数値にとらわれすぎず理想を思い描きやすい立場と言えます。また、発散が得意だったり、ビジョナリーなテーマで発想を広げやすいという特性も兼ね備えています。
要は、他のロールよりも理想を考えやすいという長所を持っています。
客観視できると、「そもそも」力も上がる
プロダクトマネジメントの領域で特にこのスキルが活かせるのは、議論の煮詰まりからチームの視野が狭まってしまった時です。
例えば機能改善でよくあるのが「顧客の具体的な要望にだけ注目してしまう」問題で、そんな時デザイナーは「そもそも顧客は何を求めていたっけ?」と立ち返って考えようと皆に提案します。
前提を揺さぶるための問いです。チームにとっては、これまでの内容を覆すことになるのでカロリーは高めです。
その時、立ち返るという行動をなぜ今行うべきなのか、その根拠となる材料が多く客観的なものであればあるほど、提案の説得力がより強化されます。
なぜフレームを使うと主観と客観が分けられるのか
試しに自社サービスのビジネス構造などなんでも良いので一度何かのフレームワークへ当てはめてみると気づくのですが、枠に沿って考えていると記載している最中にメタ認知が働き、自ずと客観視点を持てるようになります。
ここで重視したいのが、記載するそのプロセス自体に価値があるということです。
フレームワークの枠ばかりにとらわれると、正しく使うことばかり意識してしまいます。あくまで「考える手がかり」的に使ってみるという姿勢で、まずは要素が少なくシンプルで、初見で構造がわかりやすいフレームワークを使ってみるのが良いと思います。
私は最初に守破離を教わりました。
KPIツリーと同様に、成果物をクオリティー高く完成させられなくても問題ありません。客観視点が持てる感覚があれば、第一歩としては十分だと個人的には思います。何事も慣れと言いますし。
また、一度フレームに沿って考えてみることで、自分が一体何をわかっていないかを明らかにできるので、全体像を掴めないモヤモヤを解消するのにも役立ちます。悩みのポイントが明確になるので、他メンバーへの質問や相談がしやすくなるという副次的な効果もあります。
デザイナーが考えやすいフレームワークの紹介
客観視するトレーニングでは、Kuramitsuさんのこちらの記事がたいへん参考になりました。
ユーザー体験を客観的に捉えるため、ユーザーがプロダクトを使う瞬間についてのショートストーリーを5行の文章で書く「ユーザーストーリーシート」が紹介されています。デザイナーとして普段考えていることを変換する形だったので、非常に考えやすかったです。
3.デザイナーが得意な「図解」がチームを前進させる
最後はデザイナーの本領発揮とも言えるビジュアライズ、可視化してわかりやすく伝える力です。
Mutureが大事にしている相利共生、そしてMutureという社名の由来についてもこんな感じで図解されています。
何をどうわかりやすく伝えるかの中身ですが、スムーズなプロダクト開発にはチーム全体に偏りなく、以下のような大事な情報が行き渡っているという前提が必要になってきます。
情報格差があるとスピードが鈍化しますし、誤解を解いたり同じことを何度も説明するというようなネガティブなコミュニケーション・コストが膨らむとメンバーのストレスとなり、チーム全体にとって悪影響です。
もちろんNotionやjiraなどを利用したカンバン形式のタスク管理や議事録・Slack上での気軽なコミュニケーションなど、適したツールを活用することでカバーできるケースも多くあります。
ただ、抽象度や不確実性の高い課題は特に「一度ミーティングで話しましょう」という感じで対話になる機会が多いと思います。
そんな難しい議論の整理に有効なのが、ビジュアライズのスキルです。
参加メンバーの理解度の差を埋めるだけではなく、皆が各々で頭の中になんとなく描いていたものが視覚的な情報によって統一されるというメリットもあります。つまり、口頭のみで話すよりも早く、確実に共通認識を作ることができると言えます。
見る側としても、テキストよりも図の方がスッと頭に入ってくるという体験は結構ありますよね。
私が以前ビジネス知識を得るために読んだ「コンサル1年目の教科書」には通常版と図解版があったのですが、あまりのビジネス知識の無さから図解版の方にかなり助けられました。
これまでこの記事で書いてきたようなツリー構造やフレームワークでの整理自体も、そのまま図解に活かせるものです。
見えるもの、考えられること、話せる人が増えると仕事が楽しくなる
ここまで3つの方法を書いてきましたが、私はプロダクトマネジメント領域に踏み出すことで開発担当以外のメンバーと対等に話せたり、自分がわかる・話せる・考えられる範囲が広がって、仕事が楽しくなるというのが一番のメリットだと感じています。
また将来PdMになる予定が特にない人も、一度踏み出してみると仕事が楽しくなるかもしれません。おすすめです。
ちなみにデザイナーから考えるPdMへのキャリアについては一度ポッドキャストでCXOレイヤーの先輩たちと自由に議論したことがあるので、興味のある方は聞いてみてください。
デザインスキルは経営にも活かせる
今回と似た話で、会社経営にもデザインスキルが転用できることが多そうです。先月の “SaaS Design Conference” での、Muture経営陣であるよねさん・じゃみさんの登壇「デザイン経営では語られない、経営するデザイナーの選択と歩み。」についても記事化しているので、ぜひご覧ください。
肩書きにとらわれず仕事がしたい方はぜひMutureへ!
私がUIデザイナーでありながらこれだけ自由にプロダクトマネジメントに関われているのは、Mutureの個人の意向を尊重してくれる社風のおかげです。
アソシエイトPdMからデザイナーまで絶賛募集中なので、ぜひお気軽にお声がけください!
では、ここまで読んでいただきありがとうございました。
明日の記事もお楽しみに!
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