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片頭痛と流産と食事の質、歯の本数とADHDとアロマとアルツハイマー、エリスリトールと心血管疾患、糖尿病と認知症、小児の糖尿病発生率、ケトン食と精神疾患、高血圧と大腸がん|9/19(火)〜26(火)医学論文&健康関連ニュースまとめ

9/19(火)〜26(火)にラハール公式X(Twitter)で紹介した、医学論文や健康関連ニュースをまとめました。

https://twitter.com/rahall_jp




【論文紹介】片頭痛と食事の質


『Associations between diet quality and migraine headaches: a cross-sectional study』

262人の片頭痛患者を、食事の質のスコアの上位・中位・下位の3群に分けて調べたら、質が良くない下位群と比べて、質の良い食事をしている上位群では、片頭痛の頻度や片頭痛関連障害が少なかったよという論文です。

食事の質は、健康食指数(Healthy Eating Index-2015)と代替健康食指数(Alternate Healthy Eating Index 2010)で評価されました。

食事の改善は、片頭痛の頻度や期間や重症度と片頭痛関連障害を減らす可能性があります。


✔️Healthy Eating Index-2015とは:
「摂取が推奨される九つの要素(全果物、ジュースを除く果物、全野菜、緑野菜と豆類、全粒穀物、乳製品、たんぱく質供給源、魚介類と植物性たんぱく質供給源、脂肪酸比(多価および一価不飽和脂肪酸:飽和脂肪酸))と摂取を控えるべき四つの要素(精製穀物、ナトリウム、添加糖類、飽和脂肪酸)」により食事を評価する

引用元:
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/report_pdf/201909004A-buntan3.pdf


✔️Alternate Healthy Eating Index 2010とは:
「全粒穀物、多価不飽和脂肪酸(PUFA)、ナッツ、長鎖オメガ3脂肪酸の摂取量が高く、赤身/加工肉、精製粉、甘味料入飲料の摂取量が低い食事を反映した健康食指数」

引用元:
https://www.carenet.com/news/journal/carenet/39440


💭赤肉・精製穀物・塩・果物ジュースや加糖飲料を控え、それ以外を植物性食品を中心に多く摂取する食事は、他の様々な疾患に対しても予防や治療に役立つことが報告されていますが、片頭痛についてもその可能性が示されました。片頭痛でお困りの方は、可能な範囲で食事の質向上に取り組んでいただけると良いと思います🥗

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【論文紹介】流産と食事の質


『Women’s Adherence to Healthy Dietary Patterns and Outcomes of Infertility Treatment』

不妊治療を受けた妊婦612人を分析対象とした調査で、米国心臓協会(AHA)が推奨する健康的な食事パターンの遵守率が高いほど、流産が少なかったよという論文です。

食事パターンと妊娠喪失確率減との関連は、DASH食、健康食指数(HEI)、代替健康食指数(AHEI)、3種類の地中海食でも観察されました。


AHAの食事指数、DASH食、健康食指数、代替健康食指数、地中海食の共通点:

✔️果物、野菜、ナッツ、豆類、全粒穀物、魚、オリーブオイルまたは一価不飽和脂肪の摂取を推奨
✔️赤身肉の摂取は推奨せず
食事パターンによってはこれにプラスして、アルコールの適度な摂取を推奨、ナトリウムと飽和脂肪と甘い飲み物は推奨せず、の条件が加わります。

先行研究では、植物油・野菜・魚・豆類の摂取量が多く、スナックの摂取量が少ない食事パターンは、体外受精による不妊治療中の妊娠と関連していることが示され、また他の研究では同様の結果が地中海食でも見られることが報告されています。

この研究と同じ著者の研究では、葉酸・ビタミンB12・ビタミンD・低農薬の果物や野菜・全粒穀物・魚介類・乳製品・大豆食品を豊富に含む食事が、不妊治療後の妊娠の可能性の上昇と関連していることが示されています。

💭流産の原因には様々なものがありますが、食事をより健康的なものに替えることで、流産になる確率を減らすことが出来るかもしれません。母体の健康は胎児の健康に直結していますし、妊婦さんはできる範囲で健康的な食事パターンに則った食事を摂っていただけると良いと思います🤱

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【論文紹介】歯の本数とアルツハイマー


『Association between number of teeth and Alzheimer's disease using the National Database of Health Insurance Claims and Specific Health Checkups of Japan』

歯の本数とアルツハイマー病の関連を調べたら、歯の本数が少ないほどアルツハイマー病リスクが高かったよという日本発の論文です。60歳以上の歯周病400万9345人とう歯(虫歯)66万2182人の、残存又は欠損した歯の数が分析されました。

アルツハイマー病の罹患率は、歯周病患者では、残存歯数が20〜28本の人と比べ、10〜19本の人は1.11倍、1〜9本の人は1.34倍でした。
同じく、う歯による抜歯を行なった患者では、欠損歯数が1〜13本の人と比べ、14〜27本の人は1.4倍、28本の人は1.8倍、アルツハイマー病に罹りやすくなっていました。

💭脳の健康のためには、歯の本数をなるべく多く保つことが大事です。歯の数があれば、食べ物をよく噛むことができ、栄養の吸収にプラスになりますし、脳への刺激にもなります。甘いものはなるべく少なめにして、食べた後は歯を磨くなど、オーラルケアに気をつけて行きたいですね🦷

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【論文紹介】ADHD児の親族とアルツハイマー


『Attention-deficit/hyperactivity disorder and Alzheimer's disease and any dementia: A multi-generation cohort study in Sweden』

アルツハイマー病とADHD(注意欠如・多動症)の関連と家族性(遺伝性)を調べたら、ADHD児の親はアルツハイマー病リスクが1.55倍高かったよという論文です。この関連は、より弱まるものの祖父母または伯叔父母でも見られました。

1980年〜2001年に生まれた213万2929人が調査対象で、そのうちアルツハイマー病の診断を受けた親は3042人、祖父母は17万1732人、伯叔父母は1369人でした。

発症時期が遅い(65歳以上に発症)遅発型アルツハイマー病より、発症が早い早発型アルツハイマー病で、ADHDとの関連はより強く見られました。
また、こうした関連は他の認知症でも見られました。

💭ADHDは早発型のアルツハイマー病とより強く関連するようですから、お子さんなどがADHDの患者さんだという方は、早めから気をつけておかれると良いのではと思いますね。また、そうした方は他の認知症に関しても、予防的な行動(運動や食事など)になるべく取り組んでいただけたらと思います🧠

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【論文紹介】エリスリトールと心血管疾患


『The artificial sweetener erythritol and cardiovascular event risk』

人工甘味料エリスリトールとアテローム血栓性疾患の関連を調べたら、血中エリスリトール濃度が高い人は、低い人と比べて心臓発作や脳卒中のリスクが2倍だったよという論文です。

2回の調査の対象となった合計4000人余りのうち、約4分の3に心血管系の症状があり、約5分の1は糖尿病でした。

併せて行われた実験により、エリスリトールは血液の強い凝固誘発作用(血栓形成作用の亢進)があることが分かりました。血中にエリスリトールが無い場合と比べて、ある場合は、血栓が10倍近く多く形成される場合があります。

また、健常なボランティア8人にエリスリトールを摂取してもらったところ、血栓症と関連する閾値をはるかに超えた血中エリスリトール濃度が、摂取後2日を超えても観察されました。

著者はこの研究について、「心血管系疾患や糖尿病のリスクを持つ人は、さらなる研究が行われるまで、エリスリトールの摂取を控えた方が良いことを裏付けるデータが得られた」と述べています。

💭砂糖の代用品として多くの食品に用いられているエリスリトールですが、摂取によって血栓が出来やすくなることが分かりました。血栓症を避けるためには、なるべくエリスリトールを摂取しないようにしていただくと良いのではと思います🫀

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【論文紹介】糖尿病予備軍と認知症


『Prediabetes, intervening diabetes and subsequent risk of dementia: the Atherosclerosis Risk in Communities (ARIC) study』

前糖尿病(糖尿病予備軍)と認知症の関連を調べたら、前糖尿病の患者は認知症になりやすく、より若い年齢で糖尿病になった人ほど認知症リスクもより高かったよという論文です。

研究開始時点では糖尿病ではなかった11,656人(前糖尿病はそのうち20%の2,330人)を24.7年追跡しました。

前糖尿病の患者は、そうではない人と比べて認知症発症リスクが1.12倍でした。
また、追跡期間中に糖尿病を発症しなかった人と比べて、発症した人の認知症リスクは、60歳未満で発症した人は2.92倍、60代で発症した人は1.73倍、70代で発症した人は1.23倍でした。

「前糖尿病の人が糖尿病へ移行するのを防ぐことは、認知症リスクを減らすことになるのではないか」と著者は述べています。

💭「糖尿病になると認知症になりやすい」「糖尿病予備軍も危ない」、このことを念頭に、今は健康な方や糖尿病予備軍の方はもちろん、いま糖尿病を患ってみえる方も、食事や運動による体重管理・血糖管理などに気を配っていただければと思いますね🍚🏃

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【論文紹介】小児の糖尿病発生率


『Global, Regional, and National Epidemiology of Diabetes in Children From 1990 to 2019』

過去30年の小児の糖尿病発生率を調べたら、死亡率や障害調整生存年数は世界的に減少しているものの、発生率は増加していたよという論文です。204の国と地域の0〜14歳の糖尿病患児144万9897人が調査されました。

1990〜2019年の調査期間中に、小児糖尿病の発生率は39.37%増加していました。
発生率を地域別で見た場合に最も高かったのは北米、国別で見た場合に最も高かったのはフィンランドでした。また、発生率が最も上昇していたのは北アフリカと中東でした。

💭小児の糖尿病では、これまで一般的だった1型糖尿病ではなく、肥満に関連した2型糖尿病が増加し、さらに発症の低年齢化も報告されています。小児期の食生活はその後の人生に影響する非常に大切なものですから、周りの大人がなるべく質の良い食事やオヤツを用意してあげられると良いですね🧒👦👧

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【論文紹介】ケトン食と難治性精神疾患


『The Ketogenic Diet for Refractory Mental Illness: A Retrospective Analysis of 31 Inpatients』

難治性の精神疾患に対する、最長で248日間のケトン食(ケトジェニックダイエット 1日の炭水化物摂取量が20g以下)の効果を調べたら、有効である可能性があったよという論文です。

調査されたのは、双極性障害(13例)、統合失調感情障害(12例)、うつ病(7例)。ケトン食療法の後、うつ病の評価スコアなどが改善し、体重や血糖値などでも大幅な改善が見られました。

https://medical-tribune.co.jp/rensai/2023/0124555262/
尚、こちらの医療記事(医療系有資格者のみ閲覧可)によると、米ソフトウェア企業CEO夫妻の子息の双極性障害がケトン食で改善したことから、夫妻が多額の研究費を負担してケトン食療法の臨床試験を計画中とのことでした。

💭低炭水化物食は、長期的には健康にはあまり良くないという報告があったりしますが、短期的に取り組むのは良いのかもしれません(痩せ型の人は行わない方が良いと思いますが)。今後の臨床試験の結果が気になりますね🧠

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アロマとアルツハイマー


『アロマで認知症対策~嗅覚障害の改善期待(鳥取大学 浦上克哉教授)~ 』

✅植物の香りを使ったアロマセラピーが、アルツハイマー型認知症(AD)の予防や初期段階での改善に役立つ可能性
✅嗅覚障害が記憶障害に先駆けて表れるのはADだけ

✅ローズマリーカンファーとレモンを2:1で混ぜた香りで嗅神経を活性化させる方法が、ADの嗅覚障害に効果が期待できる
✅AD17人・血管性認知症6人を含む計28人で実験を行ったところ、ADに対しては認知機能の改善が見られた

✅化学合成した香りは長年使うと肝臓を悪くする危険性があるため、無農薬栽培された植物の天然アロマオイルを使うことを推奨

💭アルツハイマー型認知症の方は、日常の中に天然アロマオイルを取り入れていただくと良いかもしれません。但し、精油によっては犬や猫や鳥などのペットの動物にとっては危険な物もありますので、動物と一緒に暮らしている方がアロマセラピーを自宅で行う場合は、予め獣医などに相談するのがおすすめです👃

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【論文紹介】高血圧と大腸がん


『Untreated Hypertension and Subsequent Incidence of Colorectal Cancer: Analysis of a Nationwide Epidemiological Database』

https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/JAHA.121.022479

未治療の高血圧の人と大腸がんの関係を日本人の成人222万112人で調べたら、収縮期血圧が140mmHg以上または拡張期血圧が90mmHg以上の高血圧の人の大腸がんリスクは、血圧が正常な人と比べて17%多かったよという論文です。

大腸がんリスクは、血圧がより高くなるほど(正常血圧<正常高値<ステージ1高血圧<ステージ2高血圧)増していました。
特にステージ2高血圧の男性は、正常血圧の人と比べ、大腸がんリスクが24%上がっていました。

尚、先行研究でも、高血圧の患者の大腸がんリスクは、正常血圧の人より15%高いことが示されています。

💭喫煙に次ぐ主要な死因である高血圧に関連した日本の死者数は、年間10万人以上と言われます。日本人の高血圧の原因としてはまず塩分摂取の多さが挙げられ、それ以外に肥満、飲酒、運動不足、ストレスなどがあります。特に男性の方は、これらの改善に取り組んでいただけると良いですね📈📉

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