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飲酒と胎児の頭部変形、食物繊維&全粒穀物と非感染性疾患、空のマイクロプラスチック、アスタキサンチンで体温上昇、植物性食は人にも地球にも良い、不健康な植物性食の害、小豆の効能、男性不妊と生活習慣、円形脱毛と精神疾患、超加工食品とうつ|8/28(月)〜9/2(土)医学論文&健康関連ニュースまとめ

8/28(月)〜9/2(土)にラハール公式X(Twitter)で紹介した、医学論文や健康関連ニュースをまとめました。

https://twitter.com/rahall_jp




妊婦の飲酒と胎児の頭部変形


『妊娠中の飲酒は子どもの脳にこれだけの悪影響をおよぼす』

✅妊娠中の飲酒は「胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)」に繋がる
✅FASDは頭部の変形(人中の溝の浅化、小頭症、鼻梁が低い等)を招き、論理的思考困難、学習障害、発達不全、心臓や腎臓の問題なども伴う

✅FASD患者は犯罪の加害者や被害者になるリスクも高くなる(受刑者の10~36%がFASDの可能性)
✅FASDだと気づかれないまま過ごしている人の方が、診断された人の数よりも多いと推定

💭妊婦さんにはアルコールが胎児に及ぼす影響を正確に理解していただいて、ノンアルコールの飲料なども上手く利用して禁酒に努めていただけたらと思います。周りの方も、それを応援するような関わり方や配慮ができると良いですね🍺

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【論文紹介】食物繊維と全粒穀物と非感染性疾患


『Carbohydrate quality and human health: a series of systematic reviews and meta-analyses』

食物繊維を多く摂取していたり、全粒穀物を多く食べている人は、心血管疾患・がん・糖尿病などの非感染性疾患(NCD)のリスクが低かったよという論文です。成人4,635人を含むRCT58件の系統的レビューとメタ解析。

食物繊維を多く摂取する人は、少ない人と比べて、全死因死亡率・心血管関連死亡率・冠状動脈性心疾患発症率・脳卒中の発生率及び死亡率・2型糖尿病発症率・大腸がん発生率が15~30%減少していました。

食物繊維の摂取量が多いことは、体重・収縮期血圧・総コレステロールが低いことと関連していました。
リスクの減少効果は、1日の食物繊維の摂取量が25〜29gの場合に最大でした。

食物繊維の摂取量が多くなるほど、心血管疾患・2型糖尿病・大腸がん・乳がんへの予防効果が高かったとのことです。
また、全粒穀物についても、食物繊維と同様の結果が観察されました。

💭食物繊維を積極的に摂取することや、精白穀物を全粒穀物に置き換えることで、さまざまな疾患の予防につながると考えられます。玄米や全粒小麦が苦手な方は、五分づき米や全粒小麦を部分的に含むパンにしたりなど、少しでも食物繊維や全粒穀物の摂取量を増やしていただくと良いのではと思います🍚🍞

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空のマイクロプラスチック


『雲水中にマイクロプラスチックが存在、早稲田大学などが初めて実証』

✅世界で初めて大気中マイクロプラスチック(AMPs)の存在を実証
✅想定以上に環境・健康リスクを高めていることが明らかに

✅ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド6、ポリカーボネートなど、カルボニル基などの親水基を持つAMPsが雲水中に濃縮されていた
✅AMPsは上空の強い紫外線により劣化が速い
✅温室効果ガスの放出や雲形成を促進➡️気候変動に関与の可能性

💭マイクロプラスチックは、海はもちろん、畑など土壌中からも見つかっており、人体への影響が懸念されています。家庭で使用するプラスチック製品を他の素材の物に替えたり、化学繊維の衣服を天然素材に替えたり、少しずつ出来ることからプラスチックの使用を減らして行けると良いと思います👕

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【論文紹介】アスタキサンチンで体温上昇


『アスタキサンチンの単回摂取が間欠的自転車運動時の体温および血液性状に及ぼす影響』

アスタキサンチンの摂取群とプラセボを摂取した対照群を比較したら、アスタキサンチン摂取群の方が有意に体温が高かったよという日本発の論文です。アスタキサンチンは、血管拡張と体温上昇の作用がある可能性が示唆されました。

実験では、朝食後にアスタキサンチン6g、またはプラセボを摂取した男子大学生に、自転車エルゴメーターを体力の限界まで漕いでもらい、体温や血圧、心拍数などを測定しました。

💭アスタキサンチンに関しては、他にCOPD改善や声帯外傷の治癒促進の可能性も報告されており、摂取すると良い栄養素と言えると思います。エビやカニ、サケやイクラなど、「赤い魚介類」をなるべく食事に取り入れて行きましょう😋🦐🦀

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【論文紹介】植物由来の食事は人にも地球にも良い


『Health and environmental impacts of plant-rich dietary patterns: a US prospective cohort study』

植物由来の食事がヒトの心血管疾患リスクと地球環境に与える影響を調べた論文です。結果、植物性食品指数(PDI)が高い群では、心血管疾患リスクが低く、温室効果ガスの排出量・農地・水・肥料の使用量が少なかった(環境負荷が低い)ことが分かりました。

健康分析には90,884人、環境分析には65,625人の参加者が含まれました。
食事内容は代替健康食指数(AHEI-2010)や植物性食品指数(PDI)などで評価されました。

「この研究は、より健康的な食事パターンは地球の健康の改善にも役立つことを証明している」と著者は述べています。

💭「ヒトの健康に良い食事は、地球の健康にも良い」、これは嬉しいことですね。逆にアニマルベースの食事(肉類の多い食事)は、ヒトにも地球にもあまり良くないことが、数多くの研究で指摘されています。野菜中心の食生活を心がけて、ヒトと地球が一緒に健康になって行けると良いですね🌏

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【論文紹介】不健康なプラントベース食の害


『Health and environmental impacts of plant-rich dietary patterns: a US prospective cohort study』

プラントベース食(植物性食品のみ又は植物性食品が主)を食べることは健康に良いことが知られているけれど、「不健康なプラントベース食」は様々な疾患リスクが高かったよという論文です。126,394人を対象とした追跡期間10.6〜12.2年の調査で分かりました。

✅健康的なプラントベース食品:
全粒穀物、果物、野菜、ナッツ、豆類、油、茶、コーヒーなど
✅不健康なプラントベース食品:
精製穀物、ジャガイモ及びフライドポテト、果物ジュース、スナック菓子など

健康的なプラントベース食をよく食べているほど、全死因死亡とがん及び心血管疾患のリスクが低下していました。
対照的に、不健康なプラントベース食をよく食べているほど、全死因死亡と心血管疾患及びがんのリスクが高くなりました。

加糖飲料・菓子・精製穀物・ジャガイモ・果物ジュースの摂取量が少ないことは、リスクの低下と関連していました。

この研究は、「高品質の植物性の食品を摂取+動物性食品の摂取量の減少を特徴とする食事」が、健康に有益である可能性を示唆しています。

💭植物中心の食事は肉類中心の食事より健康に良いですが、しかし、植物性の食品でも体の負担になる物は存在するため、それらを避けて、健康的なプラントベース食を食べることを心がけることが大事ですね🥗 不健康なプラントベース食品は、たまの楽しみくらいにしておけると良いと思います🍟

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【論文紹介】小豆の効能


『Nutritional Composition, Efficacy, and Processing of Vigna angularis (Adzuki Bean) for the Human Diet: An Overview』

小豆やその抽出物は、糖尿病・糖尿病による腎臓病・肥満・高脂肪による認知機能低下などの疾患の予防と治療に、プラスの効果があることを示したレビュー論文(複数の論文をまとめて分析した論文)です。

小豆のポリフェノールはグラム当たり最大3.73mgと豊富に含まれており、健康上の利点としては、抗酸化作用、抗菌作用、抗炎症作用などがあるとのことです。
小豆は中国では利尿剤や解毒剤として使われてきた伝統薬でもあり、現代科学者の注目も集めてきました。

「小豆の健康効果は、小豆を食用と医療用の両方に用いる根拠となり、健康な食用豆類としての小豆の普及に貢献する」、「より多くの研究者が小豆の研究に参加し、より多くの人に小豆が食べられることが期待される」、と著者は述べています。

💭小豆は昔から東洋医学でも腎を補う食材として広く栽培され、中国では紀元前から食べられているそうです。むくみ防止や糖尿病予防などのために、小豆を食事やおやつにうまく取り入れて、定期的に食べて行きたいですね🫘

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【論文紹介】男性不妊と生活習慣


『Results of lifestyle modification promotion and reproductive/general health check for male partners of couples seeking conception』

男性不妊患者が約1ヶ月間の生活習慣改善を行うと、精液の質に関わる各パラメータが改善したよという論文です。妊娠を希望するカップルの、無精子症ではない日本人男性402人が調査されました。

〈精液の質を損なう要因の保持率〉
患者の98.8%が、生殖機能低下に繋がるこれらの要因を1つ以上持っていました。

喫煙 22.6%
アルコール飲用 47.0%
性器への熱ストレス 75.1%
触知可能な精索静脈瘤 25.9%
性腺機能低下症 17.0%
肥満 7.0%
高血圧 14.9%
亜鉛欠乏 16.2%
高脂血症 37.0
肝機能障害 26.9%
糖尿病 3.4%

生活改善は、タバコやアルコールを止める又は減らす、性器への熱ストレスを減らす(通気性の良い下着の着用、パソコンを大腿の上に置いて使わない、サウナや長湯を避ける)、脱毛治療薬の服用中止、禁欲期間を3日以内とする(禁欲期間が長いと精液の質が低下するため)、などが行われました。

生活改善を始めてから約1ヶ月後に検査したところ、精液パラメータ(精子濃度や総運動精子数(TMSC)など)と精子DNA断片化が大幅に改善されていました。
但し、夜間勤務、禁欲期間が3日以上、勃起不全、高血圧、肥満(BMI30以上)、亜鉛欠乏症、糖尿病のある人には改善が見られませんでした。

💭不妊の原因は、女性にある場合と、男性にある場合と、その両方の場合があります。お子さんが欲しい男性不妊の方で、不妊につながる要素に心当たりのある方は、生活習慣の改善や、治療が必要な要素に関しては治療を始めるなど、体の状態をより良くすることに取り組んでいただければと思います👨‍🍼

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【論文紹介】円形脱毛と精神疾患


『Autoimmune, Inflammatory, Atopic, Thyroid, and Psychiatric Outcomes of Offspring Born to Mothers With Alopecia Areata』

円形脱毛症の母親から生まれた子は、自己免疫・炎症性疾患、アトピー性疾患、甲状腺疾患、精神疾患を発症するリスクが高かったよという論文です。円形脱毛症の母親46,352人とその子67,364人と、対照群の母親454,085人とその子673,640人が分析されました。

このうち、円形脱毛症が進行した全頭脱毛症/汎発性脱毛症(AT/AU 頭のより広範囲の脱毛/全身の脱毛)の母親から生まれた子は、AT/AU及び精神疾患を発症するリスクがかなり高かったとのことです。

💭円形脱毛症の原因は自己免疫説が有力であり、免疫機能が誤作動せずに正しく働けるよう、ストレス管理も含めた体調管理は大事ですね。腸内環境と円形脱毛症の関連を指摘する専門家もおり、予防や治療のために腸活に取り組むのも良いかもしれません💇‍♀️

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【論文紹介】超加工食品とうつ


『High ultra-processed food consumption is associated with elevated psychological distress as an indicator of depression in adults from the Melbourne Collaborative Cohort Study』

超加工商品(カップ麺やスナックなど)を多く食べている人は、うつ罹患のリスクが高かったよという論文です。調査開始から約15年後のうつ発症の指標として、精神的苦痛の増加について、成人23,299人が追跡されました。

※超加工食品とは:インスタント食品、冷凍食品、カップ麺、ソーセージなどの加工肉、ファストフード、スナック菓子、菓子パン、清涼飲料、アルコール飲料など🍔🥤🍕🥓🥡

超加工食品の摂取量ごとに4群に分けて調べたところ、最も摂取量が多かった群は、最も摂取量が少なかった群と比べ、精神的苦痛が高くなる確率が14%高かったとのことです。

💭超加工食品は体だけではなく精神にも良くないことが示されました。超加工食品は栄養価が低い一方で、糖分塩分や有害性が指摘される食品添加物など、余計な物を多く含む食品です。飲食物を選ぶ時には超加工食品を避け、なるべく加工度の低い、栄養価の高い物を選ぶと良いですね🌾🫘🐟🍄🥬🍅🥦🧅🍐🍊

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