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風と共に去りぬにレイア姫とハン・ソロ、あるいは悪役令嬢の源流を見た

 今年のてんぐの映画開きは、WOWOWの風と共に去りぬとNHKのBSシネマの用心棒というクラシック映画の名作映画でした。
 今年もクラシックというかレトロな映画を見ることが増えそうです。

 まあ用心棒はともかく風と共に去りぬは3時間42分というスケールだけじゃなく時間も超大作ですから、三ヶ日かけて少しずつ見ておりました。
 そして、見るたびにスカーレット・オハラの所業に絶句しております
 黒人奴隷たちの労働の成果を搾取することで成り立ってる南北戦争以前の豪奢で優雅な田舎地主のお嬢様時代に執着し、欲しいと思ったら他人だろうが身内だろうが結婚相手だろうがお構いなしに略奪していくスカーレットの所業を、この映画の前情報一切なしに見たら、彼女を主人公と認識できるかどうか甚だ怪しいです
 これ、どう見たって悪役の所業なんだもん

 一緒に見てた奥さんが指摘したんですが、これってウェブ小説やウェブ漫画でお馴染みの悪役令嬢転生ものの源流なんじゃないかな。
 というか「生まれ変わったらスカーレット・オハラだった件について」なんて状況になったらどうしましょう。目もくらむようなハードモード転生人生が腕組みして待ってそうです

 一方、てんぐの方はスカーレットとレット・バトラーを見てると、「この取り合わせってスターウォーズのレイア姫とハン・ソロの原型なんじゃないかな」って思ったんですよね。
 レイア姫も反乱軍の指導者をやってるときは大概まともですし、コミックを読むと、それを認識しやすいです。

 個人的には、ナー・シャッダの決斗が一番オススメかな。まあ、プレミアついちゃってとんでもない金額になってるけど。

 そんなレイア姫も、ハン・ソロと絡むと途端に話の通じないワガママな暴君になりますし、ハンはハンで「お前本当は俺のことが好きなんだろ?」と自惚れてるようなろくでなしになります。

 スカーレットとレット・バトラーを見てると、あの反乱軍兵士も内心では呆れてたんじゃないかなってEP5のホス基地で描かれたレイア姫とハン・ソロの痴話喧嘩が重なってきます。

 もっと想像すると、新共和国が発足した後も、希望もなければ正義もないのに「帝国のために!」と帝国再建活動やその支援をしているシンパ集団の動機も、スカーレットやアシュレーたち南部の地主階層が大幅に美化して回顧する心境と重なるんじゃないでしょうか。

 さて、用心棒の方はどうだったかというと、こちらも時代やジャンルを越えた普遍的な魅力を感じました。
 実際に荒野の用心棒という形で西部劇にされたわけですし、やろうと思えば武侠ものやゴッドファーザーのルーツでもある20世紀初頭のシチリア島、D&Dなどの剣と魔法の異世界ファンタジー世界でだって翻案できるでしょう。
 となれば、スターウォーズのスピンオフの元ネタにできて不思議はありません。
 ではスターウォーズの用心棒に向いてそうなキャラクターは誰か。
 最有力候補はやはりドラマアソーカの名敵役となったベイラン・スコールでしょう。

 なお、BSシネマで1/21の午前10時から椿三十郎が、1/28の午後2から時隠し砦の三悪人も放送されます。

 実は椿三十郎は用心棒以上に好きですし、本家の隠し砦の三悪人は腰を据えて見てない映画のひとつです。
 この機会を逃さず録画したいです。

 偉大な映画をイメージ元とするというのはスターウォーズの伝統様式のひとつです。
 風と共に去りぬや黒澤映画を見て、そこにスターウォーズの源流を見出すのも、ごく自然なことでしょう。


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