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目だったか耳だったかの人だった

 現代川柳と400字雑文 その21

 耳鼻科がテーマの物語(舞台脚本)を書いたことがある。といっても、耳と鼻が専門の医者が、新しく作った病院の専科を「じび科」という読みにするまでの物語だ。当初は誰もが「みみはな科」だと思っていた。たしかにその読み方ならわかりやすくはあるだろう。しかしもっさりしてはいないか。ここは思い切って「じび科」である。という、つまりどうでもいい話だ。そうした「どうでもよさ」ばかり書いてきたので、いつしかその報いで、なにをしても「ふざけている」と思われるようになった。たとえばある作品で「学歴は重要ではない」とはっきりセリフで訴えたところ、笑いが起きた。むろんそれがねらいだ。ふざけている。ただ、それはどうでもいいことではない。ずっとどうでもいいことを描く作風でいたら、気づくと「当たり前なことをでかい声で言う」ようにもなっていた。学歴は重要ではない。どうして笑うんだ。

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