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100円のかっこいいねこのスカート

シリーズ・現代川柳と短文 002
(写真でラジオポトフ川柳090)

 100円ショップで思い出すのはシティボーイズの2001年のコントだ。電柱にきたろうといとうせいこうが登っている。きたろう演じるデザイナーは、自分がデザインした皿が100円ショップで売られていたことを悲哀たっぷりに語る。コントはその「悲哀」という漠然とした概念を、言葉を使わずに浮き彫りにして、静かに終わっていく。傑作だが説明がむずかしい。心の中で「なにをそれっぽく悲哀めかして語っているんだ」とツッコミを入れながらも、しかし観たあとひとりになると泣いてしまうようなコント。あれから20年が経ち、そこで対象化されていた「悲哀」は現実のシビアさに吹き飛ばされてしまったように思う。もはや悲しむ時間すら奪われた時代。いや、おれはなにを悲哀めかして語っているんだ。最後に、当該のコントが含まれる公演『ラ・ハッスルきのこショー』の作・演出を務めた坪田塁さんのブログをどうぞ。そう、宮沢章夫でも三木聡でもなかったからこそ出来たコントなんだと思う。

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