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【親子】 #821


小さな時は別に気にもしていなかった

でも
小学生の頃におかしいと思った

なんで私だけお兄ちゃんやお姉ちゃんたちと顔や瞳の色や髪の毛の色が違うんだろ?
もちろんお父さんとお母さんとも違う

私はお母さんにどうして?って聞いた

そしたらお母さんは優しく
こう言ってくれた

「アナタはね
養子なの

お父さんとお母さんは
子供が作れなくてね

だから
お兄ちゃんやお姉ちゃんも
皆んな養子なの
でもね
私たちにとっては大切な子供たち
大切な家族だと思っているのよ」

「えっ
養子ってなに?」

「養子ってのはね
アナタたちを産んでくれたご両親が
何かの理由で
どうしても育てる事ができなくて
育ててくれる人を探して
育ての親を見つけてお願いする事よ」

「ええっ
じゃあ
本当のお父さんとお母さんは別に居るって事なの?
お兄ちゃんもお姉ちゃんも
皆んなそうなの?」

「そうよ」

「どうして
私のお父さんとお母さんは
私を捨てちゃったの?」

「捨ててなんかいないのよ
何か…
そうねぇ
例えば
例え話よ
お父さんとお母さんはスゴく若くて
結婚もしてないのに
アナタが出来たのね

お父さんとお母さんのそれぞれの
ご両親が相談して
子供は他所へ預けましょうと
そういう風になったのかもしれないし
他にも色々な理由があると思うの

お父さんとお母さんは
アナタたち皆んなの
本当のお父さんとお母さんが
どんな理由でこうなったのかは
知らされていないし
教えてもらえないの
それがルールだから

でもね
アナタたちには
親を知る権利はあると思っているのよ

だからね
もしどうしても
本当のお父さんとお母さんの事を
知りたくなったら
もう少し大きくなってから
一緒に調べてみましょう」

私は悲しくなった
お母さんも悲しそうな顔をしていた
でもこの人はお母さんだけど
お母さんじゃない
お兄ちゃんお姉ちゃんも
お兄ちゃんお姉ちゃんだけど
本当のお兄ちゃんお姉ちゃんじゃない
でも家族だし
お父さんはお父さんだし
お母さんはお母さんだし
お兄ちゃんもお姉ちゃんも…

子供の私には訳がわからなくなった

でも
それ以来
どうしても前みたいに
素直な気持ちになれなくなってしまった

時々叱られたりしたら
本当のお父さんやお母さんだったら
許してくれたかしら
そんな事を考えたりするようになった

私は中学生になった頃から
イジメに合うようになった

クラスメイトの何人かが
すぐに
中国に帰れとか
朝鮮に帰れとか
日本に帰れとか言ってくる

帰るところは今のお家しかない

クラスには
黒人の子や
南米の子も居る

でもイジメられていないし
帰れなんて言われない

クラスでアジア人なのが
私だけだからだ

お父さんやお母さんに
イジメられている事は言えなかった
あの人たちを困らせたくなかったから

とても
優しい人たちだから

私は元々何人だったのかしら


結局後に分かったのは
私は中国人でも
朝鮮人でも
日本人でも無かった
と言う事だった

私はフィリピン人だった
今はアメリカ人だけど


大人になって
色々と調べた
SNSとかも使って調べた

でも
結局は分からなかったけど
その代わり
養子について
色々な現実を知った

中には
国をあげて
子供を拐い子供を海外へ売っている国もあった

子供はペットじゃない


お兄ちゃんやお姉ちゃんたちも
それぞれ調べたけど
結局
両親が分かったのは2人だけで
その内の1人のお兄ちゃんは
知って後悔していた


私は思った
本当のお父さんとお母さんは
今のお父さんとお母さんなんだって


その後
私は結婚し
子供も3人授かった

子育てをして気付いた事も沢山ある

親は子供と一緒に居て
楽しい事も
悲しい事も
嬉しい事も
全部分かち合う事だって

産んでくれたお母さんには
もちろん感謝はしている
それが無いと私は存在しない

産んだ方が上とか
育てた方が上とか
そんなのじゃ無いってね


世界中には
私のような子供が
沢山居る







ほな!

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