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【華と華】 #535

僕は恋愛において
女性に高圧的でありたいと
常々考えている

だが
実際に付き合うと優しい
というか
尻に敷かれ
ブンブン振り回されて
ヘトヘトになる
でもヘラヘラしている

もう一度言おう
僕は女性を軽視たい
高圧的に支配し
サディスティックに振る舞い
女性を平伏せたい

ホントの僕はそうなんだよ
でも
意気地なしで気が小さく
自分を知らず知らず押し殺している
ホントの自分を出す勇気が無い
ホントの自分が怖くもある

常に押し殺している
押し殺しすぎて
こっちがホントの自分じゃないか
とさえ最近は思ってしまう

こんな風に変なココロで
女の人と付き合うもんだから
相手の事が好きなのか何なのか
訳がわからなくなる

ヘラヘラしてまで付き合う必要があるのか
かと言って1人で過ごすのも虚しい



そんな僕に新しいドアを開けた物が現れた
全くもって興味の無い
恋愛対象外のそれ

表面上は友好的に振る舞った
友達として接するように

だが向こうはそれ以上の感情があるのか
金魚のフンのように
つきまとってくる
しつこい
困った

しかしとうとう根負けして
家に連れて帰る事にした

向こうは嬉しいのか
家の中を走り回る
ソファに座っていると
自分もよじ登ろうとする
だから手助けしてやり
ソファに座らせると
今度は僕によじ登ろうとし
これも仕方がないので
抱き抱えてやると
僕をベロベロと舐め回してくる

名前がまだ無かった

華と名付けた

華はとにかく僕が大好きらしく
散歩に連れて行った時に
女の人と喋ったりすると嫉妬する
露骨に吠えたりはしないが
先を急ごうとする

自分の部屋に女の子を呼べなくなった

それはそれで残念だが
徐々に華との生活が僕にとっては
とても大切なものへと変わって行った

会社であった嫌なこと
女の子の事でヘトヘトになったこと
そういうのを全部話せたし
人間の言葉分かんないのに
いつも真剣な表情で聞いてくれる

気遣いと優しさが感じられ
僕も素直な気持ちになれた

僕は知らない間に
どんどん変わって行った
女性に対して高圧的でありたい
とは思わなくなったし
実際の女性の前でもヘラヘラしなくなった



ある日
散歩していると
同じく散歩させている女性が前からやって来た

でもどうせ華の事だから
必死に先を急ごうとするんだろうと
そう思ったのに
奇跡が起こった
華の方からその女性の方へ向かって行った
ビックリだ

軽く会釈をし
少しだけ話をして別れた

その日以来
何故か偶然とその女性に出会うようになり
自然と友達になった

華も女性が飼っているジョンが大好きだ

いつしか僕たちはお付き合いするようになった

偉そうにしたい願望も無い
ヘラヘラと言いなりにもならない
お互いがお互いを尊重できる
親友みたいな関係

とても幸せだ



あれから10年
僕たちはの家には
華が2人いる
読み方は違う

犬がハナで娘がハル



華がいなかったら僕はまだ…




ほな!

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