【コーヒー・アンド・ミルク】 #726
私は黒人という生き物に不愉快さを感じる
何故そうなのかって?
多分親からのすり込みだと思うよ
一度そういう風に思ってしまうとなかなか難しい
理屈としては差別は良くないと思っているし平等であるべきだと思っている
でも精神的には受け付けられずチリチリした頭髪に鋭い目横に広がった鼻と分厚い唇そして黒い肌
どうしても受け付けられないんだ
アジア人もあまり好きでは無いが黒人ほどでは無い
できるだけ自分と同じ白人ばかりの空間で過ごしたい
しかしなかなか難しい
越してきた隣人が黒人だと分かって引っ越した事もあるし
仕事場でも自分の仕事現場のスタッフに黒人が移動してきて耐えられず移動願いを出すも却下され会社を辞めた事もある
ホントはこんな自分が嫌なんだ
差別はあってはならない
しかしやはり生理的に受け付けない
苦しくなる
こんな入れ知恵した両親
特に母を恨むよ
ある日のこと
私は同僚とディナーに行き
その帰り道でひき逃げに合ったらしい
記憶が飛んでおり何も覚えていない
倒れている私から財布を盗もうとした白人男性を追い払い
自分の車で病院まで連れて来てくれたのが黒人男性だったそうだ
目覚めた時にはもう彼は居なかった
ひき逃げと窃盗とそれを追い払う黒人の姿はたまたま防犯カメラに一部始終が映っておりテレビのニュース番組で流れていた
私は命に別状はなく数日入院すれば退院できるそうだ
運び込まれた次の日
私の元へ2人の警官が事情を聞きに現れた
1人は白人でもう1人はプエルトリコ系の警官だった
私は白人とは目を合わせて話ができたのだがもう1人の彼とは目を合わせられなかった
向こうは何とも思っていない様子でこちらに色々と質問をしてくる
しかし私が答えれるのはディナーに行った事とおおよそ何時にその店を出たのかくらいだ
自分が車にひかれた事や財布を取られそうになった事や知らない男性が助けてくれた事など一切記憶にない
知りたいのはむしろこっちだ
警官が帰った後にニュースを見て助けてくれたのが黒人男性だと知った
何処の誰なんだろう
退院して暫くは自宅療養が必要だった
生活するにはそれほど不便は無かったので問題ない
テレビからは警官による不当な逮捕と取り押さえにより
また黒人が殺されてしまった
というニュースが流れる
酷い話だ人権もへったくれもない
酷い酷すぎる
更にショックな事が起こっていた
数時間後の夕方のニュースである事が分かった
殺された黒人男性は私を助けてくれた男性だと判明した
そんな…
神よ
あんまりじゃ無いか
彼には生きる権利があった筈じゃないか
白人ではなく黒人であったが為にただそこに居たというだけで勝手に不審人物と決めつけ拘束中に正当防衛と称して殺された
許せない
私は車椅子を用意してもらい友人に助けてもらいながら男性の葬儀に参列した
皮肉なものでこの事件が無かったら自分は彼が何処の誰だか知ることは無かっただろう
あの時助け出してくれて病院まで連れて行ってくれたヒーローだが白人では無かったので彼が何処の誰なのかまでは探そうとは誰も思わなかったし
しようとも思わなかった
私は彼の奥さんと幼い子供たちにお悔やみとお礼を言い
その場を立ち去った
私はこの日を境に他民族アレルギーが治った
黒人やアジア人やその他の有色人種の人とも難なく過ごせる
彼は私のカラダだけではなく
ココロまで救ってくれた
心より感謝する
そして彼の為になることなら
できる限り何でもしよう
そう心に誓った
集会にも参加した
運動にも参加した
裁判にも参加した
銃を打った警官は有罪となった
私はその後も彼の家族を支援した
そして裁判から3年後
私は彼の奥さんと再婚した
子供たちも懐いてくれている
両親とは疎遠になってしまった
残念だが
いつか必ず分かってくれる
一部の黒人たちよ
暴動を起こすんじゃない
一部の警官たちよ
不当な逮捕や拘束をするんじゃない
地球は小さいんだ
争っている暇なんて無い
そんな時間があるのなら
手を繋いで歌い合おう
ほな!
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