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【心儲けに失敗した男】 #649


[マイナス同調 :
人の悪口などを言って
同じ共感を得て
結束力を発揮する軍団]


「ねぇ
あの子ってムカつかない?」

「私もそう思ってたんよ」

という風に
何故か悪口だと同調しやすい

これをうまく利用している軍団がある
表面上はベンチャー企業だが
その実態は
ほぼカルト宗教に近い
会社の代表である社長は
実質教祖である
社員という信者に対し
マイナス同調のマインドコントロールを行い
結束力を発揮して行った

先に書いたように
マイナス同調は
本当に誰にでも起こりうる事
その心の隙間に入り込むのが彼らだ

社長も社員も
表向きは前向きな事を言っている
実際その前向きさが無い事には
マイナス同調は成長しない
プラスがマイナスの餌になるわけだ

最近では
メディアにも多く紹介され
社長もよくテレビで見かけるようになった
半年もするともう文化人枠で
情報番組のコメンテーターなどをしていた
一見前向きなコメントに隠された
マイナス同調のセリフを忍ばせ
めるで説得力のある人物であるかの如く
周りの人間まで魅了して行った

彼が出版した本もバカ売れした

自分がmcのラジオ番組や
テレビ番組も始まった

もう彼の勢いは止まらないのでは
そう思われた

しかしマイナス同調は
しょせん悪口でしかない
矛先が変われば
意外ともろかった

矛先が変わり
マイナス同調のターゲットが
教祖である社長へと向けられた
内部のクーデターにより
あっさりと二番手あった男へと
社長の椅子は譲られた
社長は会長となったが
それは名ばかりで
会社内に彼の部屋も席も無く
居場所が無くなった

彼は自費で都内にマンションを借り
そこを事務所とし
新しい執筆を始めた

このスクープを狙っている
ライターも若干名居る

その人間より
先に自分が書くべきだと
会長は考えている

ありがたい事に
テレビやラジオの仕事は
途切れなかった

そして遂に
自ら作り上げた帝国を崩壊させる
分かりやすく言うところの
暴露本が出版された
あくまでもこれまでの
ビジネス本という同じくくりで
しかし
今回のものはマイナス同調の仕組みや
仕事の進め方をアカ裸に描き
最終項では
社内クーデターのキッカケと原因と
首謀者の名前を挙げ
これはマイナス同調では無く
人をおとしいれる悪の集団に
変わり果ててしまったと訴え
だから私は一刻も早く
そこから逃げ出す必要性があったと
締めくくられた


この本は初版こそ売れたが
実際の内容に読者はモヤモヤとした
なんとも言えない気分にさせられ
最後には言い訳臭い
自分を庇護しているだけの
ペラペラな内容だった

かつての彼の何とも言えない
カリスマ性が無くなってしまった

実質これが原因で
テレビやラジオなどの
メディア露出が無くなってしまった
自爆してしまった

その後
会長職も退き
都内の事務所もたたみ
姿を消してしまった

数年後
彼に似たホームレスを見たという人間も居たが
真実かどうか定かでは無い

その後で実際に分かったのは
彼は既にこの世にはおらず
精神的に病んでいたらしい
遺骨はお母さんが引き取ったそうだ


マイナスのエネルギーを
最大限に利用した男は
結果的に自分自身が
マイナスのエネルギーに
飲み込まれてしまったのかもしれない





ほな!

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