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【勘違いの嵐】 #908


僕は天然パーマだっただけで小学校の頃からイジメを受けていたが

高校は私立の学校だったし同じ中学の生徒は誰一人居なかった

だから僕は当時人気のあったマッケンローに乗っかりテニス部に入った
人気者では無いけどイジメには合わなくなった

とっても嬉しかった

しかしそれも長続きしなかった

新人戦で他校の生徒の中に中学の時の同級生が居た
しかも僕をイジメてた子だった

彼は僕を見つけてようで同じ高校の仲間に指をさして何か話をしていた


すると僕の学校の子がそっちへ呼ばれた

どうしよう…

帰って来た
でもその日は何も無かった

新人戦では1回戦で敗退しさっさと帰ってきた

次の日学校に行ったら黒板にデカデカと
ラーメン男と書かれていた
その横には僕にソックリなイラストも書かれてあり
吹き出しで「僕、日本のマッケンロー!」とあった

皆んなに笑われた
それだけで済んだら良かったんだけど
テニス部からどんどん噂が広まり
僕がどんなイジメに合ってたかもバラされた


気が付いたらまたイジメられていた

イジメというかハミゴというか
とにかくそんな感じだった

とても嫌だったし
辛かったけど学校は辞めなかった
高校を卒業した後に何故か僕はひょっとしたらこのイジメキャラと天然パーマで笑いが取れるんじゃないかと勘違いし
お笑いの専門学校に入った


他の生徒さんは皆んなとても面白くて
僕はドンドン置いてきぼりになった
ただ良かった事は此処では誰も僕の事をイジメて来なかった

相方も見つかり僕はボケ担当だったんだけど
全然受けず
それでも諦めずに卒業後もコンビで頑張ったんだけど
相方が急に辞めたいと言い出して来た

どうして?と聞いても言ってくれなかった

あっそうか
僕と一緒に居てもきっと売れないと思ったんだろうな

僕たちは解散した

そしたら次の日に同期の別の人から電話がかかって来てコンビ組まないかと誘われた

なになに?
僕人気者なの?

彼は同期の中でも特に面白くピン芸人としてやっていたし
顔も男前でモテモテだった
そんなスーパーからコンビの誘いってなんなん?

早速待ち合わせて会って話をしてみた

彼が言うには僕はボケには向かないらしい
でも普通のツッコミもなかなかに合いそうも無い
難しい説明やけど僕がツッコミをしたらボケっぽいツッコミになると思うからボケでは無くツッコミとして一緒に漫才やろう

そういう事だった

なんや難しい事言われたけど
多分彼の言う通りにしていたら間違いない
僕はそう思えた


彼の見立ては正しかった
僕たちは見る見る内に頭角を表し
テレビ出演も増え賞レースでもバンバン賞をかっさらい
3年後には冠番組も持してもらった

その番組の企画で僕の同級生に僕の話を聞きに行くというのが放送された

嗚呼っコレでまた僕がイジメられっ子というのがバレる
仕方ないかぁ


しかし同級生たちは誰も僕のイジメの話をしなかった
それどころか高校の時のマッケンローの話をして人気があったとまで言っていた

そんなアホな
アンタら皆んなよってたかってイジメてはったやん

中には親友まがいなのまで居た
知らんし

でもテレビだからそんな事言えないし
初の冠番組だったから始まって早々の打ち切りなんてイヤ


番組が終わって相方に正直に高校生の頃の話をした

そしたら相方は

「俺な実はその話知っててん
別の番組でたまたまお前んとこの住んでた街に取材で行った時にお前の話聞いてん

そしたらな
アイツ変な奴でな自分からいじられよういじられようとしてくんねん
で皆んなが喜んだらアイツも喜んでてん

そう言ってたぞ
たまたま同じ事務所で同期って分かったら皆んな言うとった
だからイジメられてたって思ってたのはお前の妄想や

お前はなオモロい奴やねん
ただアホなだけや

でな俺ずっとお前に目ぇ付けとってん

今こうして売れてんのもお前のおかげや

これからもたのんまっせ」



マジか
僕はイジメられてなかったんだ
知らなかった
ハミゴでは無く特別待遇だったんだ

そう思った途端
学生時代が急にキラキラした思い出に変わった



ほな!

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