見出し画像

#63 デキる部下の扱い方

【私の仕事術:❻部下の育成】
優秀な部下は指導せず見守り、困った時だけサポート

私が初めて課長になったのはソニーファイナンスで30歳の頃でした。課長になったばかりの時は、事業計画達成はもちろん、部下の教育や指導もしっかりして育てるぞ!と、心に熱い気持ちを秘めていました。

私だけじゃなく、役職がついたばかりの部下や後輩を見ると、上司としての自覚が出てきたなと思う人はたくさんいます。急に面倒見がよくなったり、これまで自分でやっていた仕事を何かと下の子達に指示してやってもらったり、上司らしい事をするんですよね。

部下を育てるには一人一人の事をしっかり見て、しっかり指導していこう!と思いがちですが、私の経験上、実はそうではないと思う事があり、今はこう考えています。

優秀な部下は、指導せず見守るだけでOK!
困った時にだけ手を差し伸べる。


なぜ、このように考えるようになったのか、1つのエピソードを紹介します。

とある家電量販店のクレジットカードを作るプロジェクトがありました。私は商品企画部の課長として参画し、部下にはシステムに強い後輩がいました。

システム開発で大変な仕事の1つに要件定義があります。なぜ大変かというと、
❶考えないといけない事が多岐に渡る
❷対応方法がいくつもあるとその中からどれを選択するか考えないといけない
❸関係者間で常に情報の共有とアップデートをして進めないといけない

からです。その為、常に全体を俯瞰し細かい所も押さえておかないといけません。

その大事な仕事を、後輩が中心となって進めてほしいとお願いしました。

上司としての威厳を出したかったかもしれませんが、最初はいろいろ指示を出していました。部下も「わかりました!」と言う通りに進めてくれました。彼の働きっぷりは社外や取引先からも評判になるぐらいで、あれよあれよと進んでいきます。

ある日、指示を出そうとしたら、私が考えているかなり先まで見通した内容になっていて、「あ、そこまで出来ていたのね」というやり取りが数回続いたのです。

最初は話を聞いていた部下も、だんだん私に報告する時間がもったいないと思ったのか、手間と思ったのか、言葉の端々にそれを感じるようになり、私もどう接するか正直悩みました。今振り返ると、その時の私は部下に全てを任せるだけの度量がなかったのです。

そんな時、ふとロイヤリティプログラムでよく使われるお客様をランク付けする三角形のヒエラルキーを思い出したのです。

画像1

セールスプロモーションやマーケティングの世界では優良顧客は、何もしなくても商品やサービスを購入してくれるので、一般的には「購入してもらおう」と購入を促すキャンペーンをしても意味がない(そのような事をしなくても買うから)と言われており、「購入し続けてもらおう」「購入をやめないようにしてもらおう」というリテンション(つなぎ止め)施策を強化します。

優良顧客が顧客でなくなる、離れてしまうのは会社にとって大きな痛手ですから、マーケティングに強い会社は優良顧客が困った時に「いかがいたしましたか?」と、さっと手を差し伸べ、お客様の想像を上回る対応で感動を与え、ずっとご愛顧いただく事に注力します。

これがふと頭をよぎり「そうか!ロイヤリティプログラムのヒエラルキーと同じかもしれない!」と気付いてからは、部下の様子を見つつ、とにかく「困った時があったらすぐに教えて」とだけ伝えて、あとは完全に任せる事にしてから非常に関係が良好になったのです。

部下も完全に任せてもらっていると意気に感じたのか、ますます仕事を頑張ってくれるようになりました。

それ以降、優秀な部下に対しては、あれこれ口出しせず、仕事を任せるようにする、これが私なりの「デキる部下の扱い方」です。

この記事が参加している募集

#習慣にしていること

130,600件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?