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読書記録「中原の虹 2」

2013年1月4日読了
著者 浅田次郎

浅田氏はだんだん中国人化しているのか、中国語のみのセリフが増えたような気がする。蒼穹の昴では中国語の台詞のあと日本語でも言ってくれていたのに。

この巻では清朝最後から二番目の皇帝になる光緒帝の最後の最後を描いている。西暦でいうとおそらく1906年から1908年。

好きなシーンは戊戌の変法で亡命した梁文秀(モデルは梁啓超)が東京で玲玲とともに暮らしている風景。譚嗣同と玲玲との間にできた子が生まれており、文秀は譚嗣同の字である復生(フーション)と呼ぶ。その優しげな文秀の姿に本当の識者で国を思うものの懐をみるような気がした。

他にも義和団の騒動で科挙が中止となり、さらに五年後に科挙が廃止され嘆く男も印象に残った。脈々と続いてきた歴史さえもバタバタと倒れていく混乱ぶりが分かる。

張作霖が力をつけ、袁世凱が傲慢になり、列強は清を植民地にしようと虎視眈々。西太后は「この国とこの国の民は、誰にも渡さない」という目的のみのため、三歳の溥儀を選出し光緒帝とともに息絶えた。

次に読みたい本は『新訳 紫禁城の黄昏』 (岩倉光輝訳、本の風景社)

年表

916 契丹人の耶律阿保機が遼を建国
1115 女真人の完顔阿骨打が金を建国(1125遼を滅ぼす)
1206 蒙古人のチンギス・ハンが即位しモンゴル帝国が成立(1234オゴタイ・ハーン金を滅ぼす)
1271 国号が元と改称(フビライ・ハーン)
1351 紅巾の乱
1368 漢人の朱元璋(洪武帝)が明を建国
1616 女真人のヌルハチが後金を建国(万暦帝の頃、1619サルフの戦いで明を破る)
1636 ホンタイジが後金を清と改称
1643 順治帝(1645辮髪令)
1661 康熙帝
1722 雍正帝
1735 乾隆帝
1795 嘉慶帝
1820 道光帝(1840-42アヘン戦争)
1850 咸豊帝(1851-64太平天国運動(洪秀全)、1856-60アロー戦争、1864李鴻章が太平天国滅ぼす)
1861 同治帝
1874 光緒帝 載湉(1894日清戦争、1898康有為らの変法自強運動、戊戌の政変、1900義和団事件、1905科挙廃止)
1908 宣統帝 溥儀

※古いPCに保存してあった読書記録ですが、もったいないので公開しました。

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