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28歳、恋愛の所感。

この一年、たくさんの恋をした。

いわゆるセフレ沼に陥って振られたり、大好きになった人に二股をかけられたり、音信不通で自然消滅したり、恋愛感情を抱くタイミングが合わずに結局大切な友達になったり、好きになってもらえた人を好きになれなかったり。
超が付くほど恋愛体質のわたしは、たった一年でも結構な数の恋愛をした。
恋愛だと呼べない程度の男女間のできごとを含めればさらに増えるし、生きてきた年数を考えればそれはもう数え切れない程の恋をしてきた。

わたしの”好き”は多分わたあめくらいの重さしか無い。
いつだってその瞬間自分にとって一番都合の良い異性のことが好きだ。

それだけたくさんの恋をしてきて、気づいたことがある。
一人と恋愛関係を築くことがわたしには向いていない。


自分が一番調子の良いとき、それは複数人の男性と”付き合う”という形を取らずに恋愛ごっこをしているときだ。
大抵そういった時期は仕事にも活力が湧いていて上り調子。「そのままのわたしを好んでくれるならそれでいい」といったスタンスなので自分のなりたい姿でいるために大好きな美容には精が出るし、あやふやな関係の異性は皆一様にとても優しく、それぞれに良いところがあって将来など考えていないので、誰にも大きな不満を抱かずに済む。

そんな楽しい宙ぶらりんの時期を経て、わたしがその中の誰かを特別に好きになってしまったり、逆に好かれて付き合うという形を取った瞬間どうだろう。
依存体質のわたしは一転してその一人にすべての期待を寄せてしまう。今まで軽やかに維持していた関係は途端に重くなり、複数人で分散させていた全てを求めてしまう。それぞれの良い人をかき集めたキメラなんていないのに。

付き合う前に身体の関係を持たなかったとして、何人かとのデートを経て自分を好いてくれた一人を選んで付き合ってみても、長続きしない。
それはおそらく、付き合う前の余裕があってキラキラしているわたしが死んでしまうからだと思う。

誰か一人を選んだわたしはその相手を全身全霊で愛することができるけれど、それと引き換えに仕事中でも恋愛で頭がいっぱいになってしまうし、楽しかったはずの美容は彼と会う日までの数日に120%の熱量を注ぎ、その反動で会った直後には疲れ切ってボロボロになる。服を買うにも化粧品を買うにも彼の意見を求めてしまう。

仕事が何よりも楽しくて、常に綺麗でいたい。好きな服を着て好きな自分でいる。という一番大事にしたかったはずの「理想の状態」が保てないのだ。
誰か一人を選んだわたしには、常に無理がつきまとう。
そうなってしまったわたしは彼からしてもつまらない女だろう。


結婚願望も無ければ、子供も絶対に欲しくない。
どうなりたいか?と聞かれたら、自分の力でもっと稼げるようになりたい。ずっと綺麗でいたい。その綺麗は誰の評価に依存するものでもなく、自分が納得できる姿でありたい。
それを叶えるために本当に必要なものってなんだろう。

友人知人から芸能人まで、周りの同世代はどんどん結婚していくし、一人との恋愛がうまくいかないわたしのことを心底心配したり、可哀想だと憐れむ人もいる。30歳を目前にしてもふらふらし続ける姿を「痛い」と笑う人もいるだろう。
だけど、昔から語り継がれてきた多くの人にとっての"普通"と"幸せ"が、自分にも当てはまるとは限らない。
人には絶対向き不向きもある。
運命の人とというやつに出会っていないだけなのかもしれない。
身体の関係を持った相手にあらぬ期待をしてしまうような時期も過ぎた。
恋人関係を結ばなかったからこそ、長く関係が続きビジネスパートナーになった相手もいる。
一人だけと契約にも似た恋愛関係を結ぶ必要が、果たしてわたしにはあるのだろうか。

これが正解だと決めつけるつもりも無ければ、一生このままで生きていくと誓うわけでも無い。
きっとまたすぐに誰かを好きになって、独占したいと思うときも来る。
それでも今は、なりたい自分でいることを一番に、求められる限り多くの恋愛をして軽やかに生きていきたい。
そう思う28歳の初夏であった。



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