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敬語

敬語を使えるようになっていた。地元の友達意外と話すとき以外、全員に。敬語を覚えたのは高校生になってから。中学校でも使う人はいるようだけど、自分が通っていた中学校は違った。先輩にタメ口で話しても怒られたことなんて1回もなかった。部活でも学年問わず仲が良く、一人っ子の私にとっては兄弟のような存在だ。敬語を知らないわけではないが、周りの人は誰も使っていないから出番がなかった。それに、先生に使えていたかのか不安。相手を考えない無知なムチを3年間与えていたのかもしれない。

そんな私も成長して高校生となり、敬語デビューが迫っていた。冬。12月に受験した高校の駐車場の前に合格番号が張り出されていた。家から徒歩10分の場所なので歩いて見に行った。合格していた。でも、自分の番号の後の人は落ちていた。そこで、初めて、これが受験なんだと感じた。数年後には、近所の大手チェーンピザ屋の配達バイトの面接で落ちた。おそらく、出勤可能日数の少なさとバイクに乗ったことがないのが影響したのか。

高校合格後、バスケを中学からやっていたから続けようと入部した。部活で敬語を初めて使ったときは、違和感しかなかった。この言葉が合っているのか、間違っているのか、相手の様子を伺いながら使う。たまに使うことを忘れ、3年生の1人の先輩にタメ口で話してしまうと、乳首をつねるという誰も得しないイベントがあった。その先輩は、顧問には好かれていたが部内の全員に嫌われていた。自分はなるべく話さないようにして回避していた。その部活、今思えば異様な習慣というか、伝統があった。これはまたnoteに書こうと思う。

月日が流れに流れ、現在。小学生や高校生、誰に対しても敬語で話すようになる。小学生へは、バスケを教えるときに。高校生には、一昨日、昨日のインターンシップのときに。もともと誰に対してもタメ口で話した方がいいじゃん!とアメリカンな憧れがあったけど、もうそれはない。逆に敬語を使った方が生きやすいことに気づいた。人の年齢を聞いて、使うべきかどうか判断して、会話しなくて済むからだ。敬語を使って、相手に嫌な思いをさせることがないのがいい。それでも、小学生に対してだけはいまだに、上手く話せない。ある特定のタイミングで。名前を呼ぶときだ。男子には「くん」女子には「さん」。なぜだ。なぜ、男子には「くん」をつけてしまう。「さん」をつけて私は呼びたい。喉まで「さん」はきているのに、名前を言い終わるタイミングのときには「くん」がマッハで「さん」を追い抜く。

言い訳しないでさっさと言え。

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