<Vol.85>"時間どろぼう"から生活をとりもどせ〜「モモ」から学ぶこと〜

「本を紹介する」という行為は、あまり好きではありません。

なんだか偉そうに見えてしまう…という思いと、自分が紹介した本を読んでくれた方に「大したことないじゃん」と思われてしまうのが怖いからです。

ただ最近読んだ「モモ(ミヒャエル・エンデ作)」という本は、この自粛期間にとてもとてもとてもオススメです。

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決して難しい本ではありません。

不思議な小説本で、漢字にふりがなもふってありますから小学生でも読めます(むしろ小学生向けの本です)。

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ただし、この本の"重み"は大人になって初めてわかるものだと思います。

今日はこの"重み"について考えてみます。


<時間とは>

ざっくりストーリーを紹介しましょう。

この本は"モモ(女の子)""灰色の男たち"から、時間を取り戻すというお話です。

"灰色の男たち"は「時間を貯蓄する」という名目で、あらゆる"無駄な"時間を奪っていきます。

「あなたには無駄な時間がたくさんあるんですよ」
「耳の聞こえないお母さん相手におしゃべりをする時間…」
「よけいなボタンインコを飼っていてその世話にかける時間…」
「週に1度通っている映画の時間…」
「週に2回、行きつけの飲み屋にいく時間…」
「これらをすべて倹約すれば、なんと大きな時間を確保できることか」

"灰色の男たち"にそう言われた"町の人たち"は、次々と時間節約に関する契約を交わしていきます。

その結果、

「毎日ラジオもテレビも新聞も、時間のかからない新しい文明の利器のよさを強調し、褒め称えるようになりました」「こういう文明の利器こそ、人間が将来"ほんとうの生活"ができるようになるための時間のゆとりを生んでくれる、というのです」
「仕事が楽しいかとか、仕事へ愛情をもっているかなどは問題ではなくなりました。むしろそんな考え方は仕事の妨げです。大事なことはただ一つ、できるだけ短時間にできるだけたくさんの仕事をすることです」
「大都会そのものの外見まで変わってきました。建物は全部同じに見え、道路もやはり全部同じに見えます。どの家も全部同じに作ってしまうほうがずっと安上がりですし、時間も節約できるからです」

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いかがでしょう…?

"灰色の男たち"に支配された町、、これって現代の日本そのものに感じませんか?

効率、時短、生産性…どれも「仕事」をする上では重要なことかもしれません。

しかし、それによって何を失っているかに気づかなければなりません。

こんなフレーズが出てきます。

「時間をケチケチすることで、本当は全然別の何かをケチケチしているのです」
「時間とはすなわち生活なのです。そして生活とは、人間の心の中にあるものなのです」
「人間が時間を節約すればするほど、生活はやせ細って無くなってしまうのです」

これ…深すぎませんか!?

「時間とは生活である」

まさに、です。

だから「時間をケチケチするということは、生活をケチケチするということ」であり、「生活がやせ細るということは、人生を楽しめなくなる」んですね。

これって現代を生きる多くの大人が感じていることではないでしょうか。


<時間をどう使うか>

「時間を節約する」というのは「人生から楽しみをなくす」ことではありません。

一見すると無駄に思えるその時間にこそ、人生の醍醐味が眠っています。

今、コロナ騒動と外出自粛令によって仕事が休業となり「時間」が生まれた方も多いと思います。

”時間どろぼう”(別に仕事のことをネガディブに言っているわけではありませんよ)がいなくなった今、生活はどうなっているでしょうか。

自分の好きなことに時間を使う、それが人生をさらに楽しく豊かにしてくれるキーワードです。

…ということで、うちでは「イモリ」を飼い始めました笑。

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かわいいです。

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セラピスト特化型の人気コラムです。普段セラピストを教育する立場にある筆者が、セラピストとして大切なことをギュギュッとまとめてお届けします。

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