ナンバMG5、伍代くんの軌跡 ~難波家崩壊編~

深夜に失礼。太刀川です。今日も、前回に引き続き、今回もナンバMG5一のおもしろキャラ、伍代くんの軌跡を見ていくことに……したかったんですが、来週に最終回を迎えるドラマ版がどうやら凄いことになりそうなので、予定を変更して原作との相違点についてお送りします。

ちなみに前回まではこちら

ちなみにドラマ版はこちらから最新話9話が見れます。

そして、原作版がなんとブックウォーカーで半額+コイン半額キャッシュバック、キャンペーン中!原作が実質半額で読める!この機会に是非!ちなみに私はタイミングが悪く、コイン半額になりませんでした……悔しいのう……。

伍代くんと将来


ナンバデッドエンド -6巻-P31 より

広島編が終わってから、少しして、将来の進路の話になります。将来何をしたいのか。とひょんなことから話になった伍代くん。「旅」と答えます。

「アフリカとか南米のジャングルとか アラスカとかよ 日本とまるっきり違うとこって面白そーじゃねーか」との弁ですが、ま、とりあえずはぶらぶらして見聞を広めたいってことですね。

剛は、周囲の友達からも将来の夢を聞き、次第に自分の進路を考え始めます。

ナンバデッドエンド -6巻-P42 より

いや、まあ一人完全に考えてないやつがいるんですけどね。伍代ェ……
スナフキンは進路じゃないだろ!!

スナフキンはともかく、剛は、元部長に背中を押され、美大進学を考え始めます。しかし、そのためには家族に本当のことを言わなくてはなりません。

ナンバデッドエンド -6巻-P121 より

ちなみに、剛の進路希望ですが、それぞれ「多摩美術大学」「武蔵野美術大学」「東京造形大学」という実在する美大をそれぞれパロったものになっていたいりします。(どこも結構有名な美大です)

しかし、この進路希望調査表を置き忘れたことから……

ナンバデッドエンド -6巻-P151 より

兄である猛についに本当のことがバレてしまいます。おそらく日本最怖の「俺、バカだからよく分かんねぇんだけどよ……」です。

このシーンの前で、猛は「本当のことを言え」と伍代くんに詰め寄りますが、伍代は頑なに口を割りません。このシーンの威圧感も凄いのでぜひ確認してみて下さい。結局、猛は、「今のオメーのツラで全部わかったよ」と言い残して去っていってしまうんですが。(伍代くん、そんなに分かりやすい顔してた!?)

この高架下で剛を問い詰めるシーン、猛の表情がいいんですよ。剛に嘘を告白された時、まず悲しそうな顔をするんですよね。

ナンバデッドエンド -6巻-P158

この表情がなんとも言えない。怒りよりまず先に、悲しみが来るんですね。大切な弟にウソをつかれていた。それが悲しい。この後、猛は怒りに任せて剛を殴りつけるんですが、その時も怒りだけでなく、複雑な表情を見せます。それがね、なんとも言えなくて……。

ただ、関東最強の男、猛の怒りは危険すぎる。止めに入った大丸もワンパンで倒されてしまいます。続いて伍代も「そこどけ……」と言われるのですが、伍代くんははっきり答えます。

ナンバデッドエンド -6巻-P166 より
ナンバデッドエンド -6巻-P167 より
ナンバデッドエンド -6巻-P168 より

ここで、大事なキーワード、「難波の話を聞いてやれよ」ってのがでてきます。ナンバMG5では何度かこのキーワードが出てくるんですよね。これ後々まででてくるので、要チェックです。

それはそうと、「これは家族の問題だ!オメーはすっこんでろ!!」って言われて「俺のツレだからよ……」と答える五代くんはかなりぶっ飛んでると思います。もう家族の絆レベルに絆が深いこと前提じゃん。は?俺の絆は家族のそれに匹敵するレベルだが?みたいなことを真顔で言いますからねこいつは。凄いよ!伍代くん!

結局剛は家族に全てを告白します。しかし、難波家の父と母は、曲がったことが大嫌い。結局話はまとまらず、ついに剛は言ってはいけないことを口にしてしまいます。

ナンバデッドエンド -7巻-P41

ああ……剛……。

ナンバMG5、テーマの一つに「生まれ」というものがあると思うんです。階級社会といいますが、ヤンキーの世界に生まれた剛と、一般人の世界には大きな隔たりがあって、その2つは同じ世界でほとんど交わらずに生きている。

複雑なのは、剛はヤンキーの世界が嫌いなわけじゃないんですよね。家族のことは好きですし、兄のことも男の中の男として尊敬している。難波家の面々だって、決して悪人としては描かれません。両親は曲がったことが大嫌いという哲学を持っていますし、勝は子どもたちが拾ってきた犬のために大切なへそくりを切り崩し、猛は松のために自分の大事なものを手放してまでお金を作ります。(このエピソードはドラマ未登場ですが、めちゃくちゃ泣けるので、ぜひ単行本で読んでください)

センスと倫理観がちょっとズレているところはあるにせよ、別に毒親というわけでもないんですよ。(話は聞かないけど)それは、今まで色んなエピソードを通じて丹念に描写されていたことです。だからこそ、それ全てを否定してしまう剛のセリフは、これ以上ないぐらい重い一言なんですよね。当然それは難波家の崩壊を意味していて……。

剛は難波家から去ってしまいます。

家出の先で

ナンバデッドエンド -7巻-P51 より

家出した剛と松は、伍代の家に上がり込みます。
って同棲かよ!!!!???

伍代くん、広島編で親友と認識してしまったからか、距離感がおかしくなっています。好感度のパラメータがあったとしたら、ゲージ突破して隠しルートに入っとるレベル。あと何気に料理が上手いということが判明しここで更に属性積んでいくの?あまりの無法ぶりに衝撃が走ります。完全に行動がスパダリなんよ。(スナフキンだけど)

ナンバデッドエンド -7巻-P55 より

なんかもう、一生いてもいいみたいなこと言ってるし。甲斐性が高すぎる。狂うだろこんなん。

ナンバデッドエンド -7巻-P62 より

あと、どうでもいいですが、この同棲パートで伍代くんが志村けんが好きなことが発覚します。ちょくちょく面白属性足してくるんですよこいつは。まあドリフのDVDを見せるのも、剛に元気を出してもらいたいからなんですけれども。

ナンバデッドエンド -7巻-P67

大丈夫?寿司食べる?
伍代くん、落ち込んだ伍代を励まそうと必死なんですが、「落ち込んだ時に築地で寿司をごちそうしてくれるイケメン」というスパダリを超えた何かになりつつあります。でも、それは素直に元気がでそう。

死ぬほど甘やかしてくる伍代くん(あとドリフのDVDも見せてくる)と、大丸も含めた三人で絵の描きあいっこをしたりして、段々と立ち直ってくる剛。藤田さんとメールをすることで、一つ大事な目標を思い出します。

ナンバデッドエンド -7巻-P86

剛、とりあえず学費の足しにするためにバイトを始めます。それを大丸に報告する時の伍代の顔が良いんですよね。


ナンバデッドエンド -7巻-P93

微妙に嬉しそうなホッとしたような顔。やっぱ後方彼氏面が似合う男です。

ナンバデッドエンド -7巻-P108

ちなみに伍代くん、松の散歩もやってくれてます。前から思ってたけど、面倒見が良すぎるヒモを飼う素質ありますよ。

あと、吟子にも「いるなら絶対に伍代の所」と認識されてたりもします。妹もそういう認識なんだ?

ナンバデッドエンド -7巻-P155

ヤンキー漫画の終わりと、グリとグラ

さて、ここからドラマ版と原作で大きく話の順序が入れ替わります。ちょっとこの改変が非常に興味深かったので、一旦伍代くんの特集から離れて解説させて下さい。非常に重要なテーマに絡む部分なので。

原作ではカラオケボックスでバイトを始めたあたりでグリとグラが登場しますが、ドラマ版だとそれに先駆けて登場します。あと、名前もグレとグロになっていますね。流石にグリとグラはまずかったか。

このキャラクター、原作だとかなり重要なキャラクターです。何が重要かって、暴力の行き着く先を象徴するような真っ黒なキャラクターなんですよね。

グリとグラって、喧嘩はそこまで強くないんですよ。二人+取り巻きで殴りかかっても剛が本気出せば撃退されるし。伍代と大丸にも負けるし。過去には猛に瞬殺されてますが、所詮その程度の人間。ケルベロスの光一とか、広島ヤクザの安藤の方がずっと強かった。

でも彼らは非常に執念深いんです。タイマン張ったらダチ!喧嘩で解決!というヤンキー漫画の世界にはいちゃいけないキャラというか……ここでヤンキー漫画としてのナンバMG5は終わりなんですね。
ここから先は、地獄の底で泥だらけになって殴り合うノワール映画の世界なんです。

ナンバデッドエンド -8巻-P144 より

渋谷をテリトリーとするヤバい不良、グリとグラは、過去に難波猛に瞬殺されたことから、猛に恨みを持っています。
そこで、剛をまず襲って猛を呼び寄せようとするんですが……。

剛は最初そこで、無抵抗を選ぶんですよ。もう喧嘩はしたくないので。家出をした剛はもうヤンキーの世界の住民じゃない。だから殴られてもじっと耐える。

でもそれで何が解決するわけでもないんです。殴られてボロボロになっても、グリとグラは手を休めるわけでもない。大体殴らせてやるからそれで満足しろ、なんて約束は守るわけがありません。

んで、この時グリだったかグラだったか、どっちかが剛にこういうわけですよ。

ナンバデッドエンド -8巻-P146 より

彼らの言っているいることはつまりこういうことです。
お前も結局ヤンキーじゃん。暴力で物事を解決してきたじゃん。今更ヤンキーやめて暴力から足を洗いましたなんて行った所で通るわけ無いじゃん。お前も俺も同類なんだよ。クズなんだよ」と。

いくらお前が頑張ってもお前は暴力からは逃れられない。お前が暴力を捨てても、暴力はお前を離しはしない。残酷な話です。

バイト先の先輩にも手を出すグリとグラに、剛はついにブチギレます。そして、取り巻きを含め二人をボコボコにするんですが、この時の喧嘩本当に辛いんですよね。爽快感が一切ない。泣きながら、血まみれになりながら、それでも拳を握って叩きつけるしか無いそんな絶望感漂う喧嘩。

原作ではここである種の救いが入り、一旦状況は好転します。詳しくは原作読んでください。しかし、ドラマ版だとそのまま流れるように剛の……いや、まあこれはドラマ版を見てもらうこととしてですね。

ドラマ版はここからどうなるのか、非常に気になっています。来週の予告を見る限り、もしかして原作のこれで終わったらハッピーエンドなのになぁ……って所で終わらせる?のかと思ってドキドキしてしまいます。

いや、原作読んだ人なら分かるんですけど、ナンバMG5ってこの後、凄いいい展開があってまるで青春ドラマみたいな流れになるんですよ。そこは普通に感動するんです。だからそこを最終回に持ってくればめちゃくちゃ綺麗に終わるはずなんです。

でも、そこからがね……本当の絶望の始まりなんですよね。

ドラマ版ナンバMG5の制作班がどう考えているのか。今までの描写を見る限り、とにかくテーマをブレずに外さずやっているので、おそらく原作最終版の意味もちゃんと解っていると思うんです。それをわかった上であえてドラマ版のみの視聴者には良いところだけを見せようとしているとすると……怖いよ!!もうそれはジョーカーとかの発想なんよ!!

いまから来週が気になってドキドキですね……。来週、再び、お会いしましょう。


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