ナンバMG5の伍代くんは人を狂わせる

どうも、太刀川です。いきなりですが皆さん。今から十年ほど前に、週間少年チャンピオンで連載していたナンバMG5という漫画をご存知でしょうか。
私この漫画が大好きなんですよ。普通のヤンキー漫画をパロった、メタヤンキーとでもいう作風。お気楽な作風に見えて、教育の本質や、社会の階層にまで食い込む後半、そして、すべてが終わっていくラストまでのヒリついた空気、最終回近くは毎週チャンピオンを開いては、「うわー!こうなるのか……」とドキドキしていたものです。

そんなこんなでもう十年も前からこれは実写化すると映える! 皆この漫画の魅力を知ってくれ!と言い続けていた私ですが、今回のドラマ化で、十年越しの夢がかなって大変満足です。

さて、それはさておき、今回のドラマ版を見て、原作を電子書籍で買い直して読んでいたんですが……今読み返すと一つ気になることがあるんですよ。

それが、伍代くん。最初は敵として出てくるも、主人公の相棒として活躍してくれる~という二号ライダーみたいな枠のイケメンなんですが、今になってから読み返すと、びっくりするぐらい変なキャラなんですね。
なんていうか、自分のことクールな一匹狼だと思っているただの世話焼き兄さんというか……。

そんな伍代くんの軌跡を原作を中心に見ていきましょう。
あっ、言い忘れていましたが、ネタバレも含みますので、ここから先は原作を履修してからがおすすめです。原作は各種電子書籍ストアで購入できます。私はいつも使っているbookWalkerというサイトで購入しましたが、キャンペーンで5巻まで半額でした。LINE漫画などのサイトでも同様の措置があるそうなので、まずお試しで読んで見るのをおすすめします。

ドラマはTverで一話と最新話が無料で見れますので、こちらもぜひお試しあれ。



伍代くんの軌跡 初登場~共闘まで

さて、説明するまでもないですが、伍代くん、初登場時は敵として出てきました。不良が集まる市松高校でも一目置かれた強キャラとして登場します。なお、ドラマ版だと、びっくりするぐらい高い所から飛び降りてのド派手な登場でしたが(あれ、スタントなんでしょうか?)原作だと

ナンバMG5-1巻-P149-3より

とこのように滑り台を降りながら登場してきます。(かわいいな!)

鳴り物入りで登場した伍代くん、剛に膝をつかせるなど、なかなかの実力を見せた上に、カマをかけて特服が難波剛であることを見抜き、さらに正体を隠して白百合に通っているところまで見抜いてしまいます。なんて恐ろしい敵なんだ!

正体がバレたことで自暴自棄になった剛ですが、意外にも伍代は剛の正体をバラすつもりはありませんでした。伍代は、ヤンキー界で名前の知れている難波家と、一度はタイマンしてみたかっただけだったのです。ということでタイマンすることになった二人ですが

ナンバMG5-2巻-47Pより

「調子……くるうな……」がはじめてきました。ここらへんから伍代くん、クールな一匹狼ライバルから、主人公に振り回される苦労人キャラへ変貌が始まります。

二人のタイマンは市松の不良の乱入によって中断、反抗的な伍代は先輩達に袋叩きにされます。そこに剛が助けに乗り込んで、一時的に共闘。まあここらへんの流れは無料公開しているドラマ1話でも見れるので、みてもらうのが早いでしょう。

なお、この乱闘シーン、原作とドラマだと一点違う所がありまして、原作だと乱入してきた松が不良に蹴り飛ばされ、さらにバイクに引かれそうになった所を伍代が救うんですが、

ナンバMG5-2巻-P84 より 

ドラマ版だと、後ろから襲われそうになった剛を助けるというシーンに改変されています。原作版の方が「お前ら絶対に許さねぇ!!」感が出るんですが、まあこれは撮影上の問題でしょう(犬を実際に蹴り飛ばしたり、危険な目に合わせるわけには絶対に行きませんからね)

それはそうと、伍代、お前犬を助ける不良だったんだな……文脈乗りすぎじゃん。

さて、そんなこんなで、いかにも共闘してくれるライバルみたいな顔して登場した伍代くんですが、次の回あたりから段々おかしな方向に進み始めます。

二人で原宿に服を買いに行くの何?

ナンバMG5-2巻-P121 より

実写ドラマ版だと二話に当たる内容。学校で写生会に出かけることになった剛。しかし、剛の私服はヤンキー的なものしかありません。困った剛は伍代に助けを求め、そして二人で原宿に服を買いに行きます。

進展早くない?

もうなんか親友みたいな顔してない、君ら? この間タイマンしてた仲だよね?なんで休日に服を一緒に買いに行ってんの??
頼まれると断れない伍代くんの人の良さが出てしまっています。もうクールキャラ失敗だろ。

ナンバMG5-2巻-P136より

ちなみに結構親身に選んでくれたりします。人が良すぎる。どうでもいいでけど、連載当初、この半袖と長袖一緒に着るの流行ってたよな!!と懐かしい気持ちになりました。

その後、剛に「オメーのことを二年が狙っているぜ」みたいな情報までくれたりすると、完全に人の良さを出してくる伍代くんですが、一応

ナンバMG5-2巻-P183

こんな感じでテンプレライバルキャラみたいなセリフも口にしますが、休日に一緒に服買いに行ってからのこれは無理あるだろ。逆だよ、順番がよ!今更クール気取っても遅いんだよ!

実家にお呼ばれするの何?

そんなこんなで、人の良さを見せていた伍代くん、服を選んだくれたお礼に飯をごちそうすると言われて、剛の実家にお呼ばれします。

だから進展早くない??もう完全に友達付き合い始めて一年とかの関係でしょそれは???

メチャクチャな難波家のメンバーに振り回されながらも、なんとなく難波家に居心地の良さを感じる伍代。ここで、伍代の家庭環境と難波家が対比して語られます。

ナンバMG5-3巻-P21 より

伍代くんの母親は、カリスマ料理研究家の伍代里美、しかしあまりに忙しすぎるため、伍代くんは皮肉なことに毎日コンビニ弁当。手料理の味なんて忘れています。家庭も両親が離婚して母親との二人暮らし。家族仲が良い難波家での体験にはかなり思うことがあったようです。

ってなんで私はヤンキー漫画で孤独なイケメンが心をひらいていく様を見せられてるの????

そして、五代くんはそのまま流れるようにお泊り。

ナンバMG5-3巻-P26より

そしてこの顔である。落ちたなこいつ……。

そして翌日二人は一緒に登校。仲良すぎか。伍代くんも難波家は気に入ったようで、

ナンバMG5-3巻-P35

デレます。凄いデレます。こんなデレ方することあるんだ。ヤンキー漫画で???

あとなにげに難波家からの評判もよく「剛がつれてきた男だからな……」と

ナンバMG5-3巻-P32

兄貴にもこんなこと言われて、気に入られます。もう難波家に住めばいいんじゃないかな。

そして一緒に登校することで、毎朝剛がやっている、ヤンキー服から普通の高校生に変装する作業を知り、

ナンバMG5-3巻-P40より

この顔です。伍代くん、基本的にこんな感じの後方彼氏面がめちゃくちゃ多いキャラです。ふっ、流石だぜお前は……みたいな顔すんですよねこいつ。

そんなこんなで完全に剛陣営に取り込まれた伍代くん、剛の正体バレを救うために、わざわざ特服を着て囮になり助けてくれます。結果ボコボコにされながらも、

ナンバMG5-3巻-P161より

「別にお前のためにやったワケじゃねぇぜ!」
みたいなことを言いますが、完全にツンデレのテンプレです。
この一件を通して友情を深めた伍代くん。その後も

ナンバMG5-6巻-P48-P49

二人(+松)で海に行ったりと、青春を謳歌します。マブダチじゃん……?どうでもいいですが、この扉絵めっちゃいいですよね。最高。
なお、この時の伍代くんは朝七時に叩き起こされて海に行くからバイク貸してくれよなんて無茶ぶりをされるわけですが、文句はいいつつも一緒に海に行ってくれます。

ナンバMG5-6巻-P55より

本人もモノローグで言っていますが、マジでそれ。
伍代くんは本当に不良なの??ただ、喧嘩が強いだけのイケメンじゃないの???しかし、そんな伍代くんを過去の因縁から狙うものが出てくるのでした……。

ヤンデレが出てくるの何?

ナンバMG5 -6巻-P154 より

夏休みが終わって、突然登場したのがこの男。中学時代の伍代の親友、真宮です。中学時代は最強のコンビだった二人も、真宮が段々と悪事に手を染めるようになり、決別。最終的に真宮は少年院に入ります。
出所した真宮は、再び伍代を誘うために、伍代の前に現れるのでした……。

って重いよ!!!なんだこいつ!!こんな伍代に執着する重い男、出しちゃっていいの???

完全になんか変な文脈がついているような気がしますが、恐ろしいことに、もうこのあたりの原作は、完全に伍代くんで話を回しています。五代くんはヒロインなの??

真宮も真宮で、「この顔の傷をつけたのはお前だろうが」と言いながらも、「お前を誘いに来た」と出所して真っ先に伍代に会いに行く辺り、相当執着しています。それだけ伍代の存在が大きかったということでしょう。五代くんは人を狂わせるの?

真宮は勝手に伍代の舎弟を名乗っている島崎を拉致して、伍代を呼び寄せます。親友ならともかく、自称舎弟なんかで伍代は来るんですかね。と聞かれての、真宮の返事がこれ。

ナンバMG5-6巻P183 より

伍代くん、信用されすぎ。
むしろ真宮が伍代くん好きすぎるが故の高評価かもしれません。まあ、来るんですけど。

伍代は最初、剛に相談しようとしたような描写もありますが、美術部のことを嬉しそうに語る剛を前に

ナンバMG5-6巻-P190より

こんな表情だけ浮かべて、去っていきます。この表情が本当に良いんだ。自分の過去の因縁に剛を関わらせてはいけない。剛の青春を犠牲にしてはいけない。ってのを決意した顔。最初に剛に相談しようとした所も含めて、非常にエモいシーンです。下手にセリフで説明しなくても、今までの伍代くんを見ている読者なら、「こいつはこういうことするよ」って理解できるんですよね。ここはドラマ版でもめちゃくちゃ良かったのでぜひ確認して下さい。

その後、伍代くんは一人で死地に向かいます。なんかこいつ、いつも一人で死地に向かっている気がするな……。
その後、伍代くんはヤクザの仕事に足を突っ込み始めた真宮を拳でわからせ、アツい友情を見せてくれたりします。

ナンバMG5-7巻-P63より

アツい……アツすぎる男だぜ……。伍代くんの凄い所は、クールに振る舞いつつ、その実友情に厚い男であるみたいな挙動をしておきながら、友情に厚い部分は周囲の人にモロバレって所ですね。周囲からの信頼が強すぎる。

その後も、伍代、大丸、剛のトリオで初詣にいったりと、割りと順当に友達付き合いは続けていく伍代くん。ただ、まあこうしていじられる様に、友達は少ないらしい。まあ、その数少ない友達との関係が強化コンクリートみたいにガチガチなんだけど。

ナンバMG5-10巻-P181 より

なお、ここらへんで、伍代くんは実は彼女がいないことが判明します。

ナンバMG5-13巻-P14 より

作中でも突っ込まれてますけど、相手は絶対に自分のこと彼女だと思っているんだよなぁ……。いままでの言動見ると、多分誘われたら文句いいつつも来てくれるような感じなんでしょうか。
なお、原作では、クリスマスを久々に休みを取った母親と過ごしたりしています。いい子か?ここのシーンはすごくしんみりするので、単行本でぜひ。

なお、ドラマ版だと、クリスマス・イブの日に島崎と餃子を食いに行ったりしているんで、彼女いないということに信憑性が増しました。そこ、掘り下げるんだ……。(それはそれでスタッフ凄いぞ!)

完全に二号ライダーになっているの何?

ストーリーは飛んで、名作横浜編です。こちらはマジで名作なのであとで別記事をあげようと思うんですが、横浜編での伍代くんの活躍にフォーカスして見ていきましょう。

横浜で剛が見かけたレディースは、なんと同じ美術部の後輩牧野だった!?から始まる横浜編ですが、この話に伍代が登場するのは中盤から。
千葉に帰る剛が、身バレを防ぐために品川で降りて、伍代のマンションに押しかけるところからの登場です。

ナンバMG5 -15巻-P183 より

迷惑しつつも、ちゃんと泊めてくれる伍代くん。あと、品川で降りて伍代のマンションに行くってことは、伍代くん、港区男子だったんですね。
こいつ……無敵か?

なお、この回では伍代くんがガンプラを作っていることが判明したりします。意外とインドア派なんですよね。伍代くん。ゲーマーだし。ここらへんから面白キャラにどんどん変貌して行きます。

まあ、このお泊りのときに「俺を巻き込むんじゃねーぞ」「てめーに何頼むんだよ」と言われてたことについては、ちょっと根に持ってたのか、
「レディース、横浜魔苦須を助けるために横浜まで連れて行ってくれ!」と頼まれたときは、

ナンバMG5 -16巻-P79 より

と、拗ねたりしますが、

ナンバMG5 -16巻-P79 より

剛の真剣な顔に負けて、結局バイクで送ってくれます。

その後、倉庫でバトルになるんですが、剛が3階から落とされたことに対して激高し、

ナンバMG5 -16巻-P153 より

こんな感じでキレたりします。その後、剛不在の間、幹部相手に大立ち回り、時間を稼いでくれるんですね。ちなみに、伍代くん、剛が守りに来たレディースの面々とは今日が初対面なので、レディースのメンバーからしてみれば、突然現れたイケメンがなぜか戦ってくれてしかもめちゃくちゃ強いという謎の状況なんですよね。やっぱ人が良すぎるよ。

ナンバMG5 -17巻-P71 より

そして、この顔とセリフである。西部劇のガンマンか??最後に名前を教えてくれと言われて

ナンバMG5 -17巻-P79 より

こんな感じで立ち去ります。完全に仮面ライダーですよね???来年から仮面ライダーGODAI始まるの??

ナンバMG5 -17巻-P65

それはさておき、伍代くんの携帯懐かしくなりました。あったなぁ……

熱海編~そして面白キャラへ~

さて、話は飛んで原作MG5の最終章、熱海編に突入です。
ナンバMG5は、途中から改題して、ナンバデッドエンドになるんですが、MG5はここまで。ラストの章ということもあって、短いですが、猛と剛を中心にしんみりとした話にまとまります。詳しくは単行本を読んで欲しい!

さて、この章での五代くん、もともと伍代が熱海に別荘(というかマンション)を持っているので、そこに皆で泊まりに行く。というところから話が始まります。メンバーは、剛、伍代、大丸、松、そして、なんと猛。RPGで言うところの最強パーティみたいになっていますね。全員戦士だけど。

さて、熱海に行ったはいいものの、五代くんはマイペース。剛達が街のトラブルに巻き込まれている間、クーラーの効いた部屋でゲームやっています。
ここで名言が登場。

ナンバMG5 -18巻-P78 より

ラスボスクリア後のじゃがりこは やっぱ うめぇわ……
これ、当時私の周囲二メートルぐらいで突発的に流行りました。段々と面白キャラを確立してくる伍代くんです。熱海編での五代くんは「熱海のことに俺らが関わるのはおかしくね?」というスタンスなので、一歩引いており、出番はあまりないのですが、

ナンバMG5 -18巻-P151 より

なんだかんだで松の散歩の担当やってたりと、面倒見の良い所がちらほら見えます。

熱海編はこの後、剛と猛の最高にカッコいいセリフのやり取りで幕を閉じるのですが、こればかりはマジで単行本見て下さい。死ぬほどいいシーンだから。ちなみにドラマでも舞台は熱海ではないもののちゃんと拾われていて、嬉しくなりました。

さて、長くなりましたが、どうでしょうか。何だコイツ??ということが伝わったでしょうか。一人でも多くの人に伍代くん、何???の気持ちになってくれれば幸いです。次回はデッドエンド編での伍代くんのムーブを見ていきましょう。今日はここまで!

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