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短編・ショートショート

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2020年3月の記事一覧

未来

未来

 就職が決まった。と、同時に彼女と別れた。「大学の受験勉強に専念したい」と言っていたが、どこまでが本当なのか。おれは一応、がんばってね、とLINEで送っておいた。

 やれやれ。祝ってくれるのは両親だけか。アホみたいなペルソナで就活を乗り切ったおれに、お疲れ様の一言でもあってもいいもんじゃないか?

 おれは来週には引き払う学生向けのアパートでアブサンをソーダで割って飲んでいた。つまみはない。そん

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イマジン

イマジン

 おれは不思議でしかたがない。

 ケンイチのスマホを返すと、おれはビールをすすった。

 こいつはこれで幸せなのか? 大したことのない大学を出て、就職に失敗して、やっと見つけたのは給料の安い仕事だ。恋人もおらず、友達も少ない。これじゃ底辺じゃないか。しかしそんなことこいつに言えるわけもない。

「この時期は花が安いから、つい買っちゃうんだよねえ」

 ケンイチは笑いながら芋焼酎のロックを飲んだ。

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純恋――スミレ――

 ダメになるとわかっていても、いざそうなるとこたえるものだ。

 肌を寄せ合うたびに、12月の夜風のようなむなしさが互いの胸をかすめていた。スミレが下着をつけるのを見るでもなく見ながら、おれは煙草を吸っていた。言葉は無かった。そしておれたちの関係は3年で終わりを迎えた。

 風の強い夜だった。街はやけにシャイなムードで、独り身となったおれは、吹き抜ける風に、なにかを掠め取られるような気がした。妙に

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