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EP.14 シニアマーケティングのきっかけ!お客様のクレームからの学び

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いつもお読みいただきありがとうございます。

今回は、当社がシニアマーケティング事業に着目した原点とも言うべきクレームエピソードです。お客様の声を形に!今では、活発なアンケート調査や直接的にヒアリングにて高齢者の生活実態の情報が蓄積されて来ていますが、自己満足サービスにまい進していた時期がありました。



◆「風呂に入ったら、用はない!帰らせろ!!😠」

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 それは、唐突に起こりました。デイサービスの現場に顔を出した際に、不意にお客様からそう言われたのです。

 2008年当時、創業の勢いのまま、1日滞在型デイサービスを3施設展開。諸々のトラブルを乗りきり落ち着きを取り戻した頃の出来事です。

【 通所介護サービス またの名を デイ(一日) サービス 】 

 文字通り、ご自宅での介護の課題を通いで1日を通して自宅での介護課題を改善するサービスを提供するものです。介護保険制度にデイサービス事業の規程が明文化されていますが、長くなるのでここでは記載しません。

ざくっとどんな感じか説明すると、朝車でお迎えに行き、施設にお連れする。そこで、健康チェック、体操(集団・個別)、入浴、食事、様々なレクリエーション活動、軽食(おやつ)を召し上がって頂き、夕方車でご自宅にお送りする。概ね施設滞在時間6時間、送迎を含めると7~8時間のサービス提供です。

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 世の中にあるデイサービスの99.9%はほぼこのモデルでした。私たちも、他施設をいろいろ見学して、事業を開始したのでなんの疑いもなく運営していました。そしてスタッフコミュニケーションも活性化して、お客様に満足頂けるようにサービスの向上やレクリエーション品目を増やしたりイベント企画を立てたりと日々会議やミーティングを行っていたのです。

 そんなある日、何やらスタッフともめている男性がいました。「どうされました?」

「風呂に入ったら、用はない!帰らせろ!!😠」

「まぁ、そんなこと言わずに、今日の午後に楽しいイベントを企画していますので、楽しんでいってくださいよ!」

そう、たしなめていろいろとご説明。介護施設をご利用される方は、身体の問題で介護が必要であったり、認知症という脳の疾患にる記憶やコミュニケーション障害などがあったりしますのでこの時はそんなに深く考えずにいました。しかし、このお声が治まることがなかったのです。

◆判明した自己満足ミスマッチサービス

 そんなこんなで一部から上がっているお客様の声の原因を探るべく、自社サービスの検証で1週間一緒に過ごしてみることに。

わかったことは・・・。

「つまらない・・・😟」

 スタッフが一生懸命考え、準備してきたレクリエーションやイベントは、私にとって期待外れのものでした。

それは、なぜか!!

 介護保険制度は65歳以上の介護が必要な方が利用できます。(一部特定の疾病で介護状態になった場合40歳以上で利用可)

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 65歳以上、お亡くなりになられるまで使えるサービスです。主に70代後半から90代くらいの方が多いですが、100歳を超える方ももちろんいます。仮に、70歳の方と100歳の方がいたとして同じサービスを受けることになるのです。さらに、病気や身体状況、障害の程度も千差万別。そんな背景があるにもかかわらず、レクリエーションやイベントは、集団で行うことが大半なのです。スタッフは、利用されているすべての方に楽しんでもらおうと企画を考えていましたが、出来上がってくるのは状態の悪い方、認知障害の重い方でも楽しめるものになっていたのです。極めてレベルの低い、言ってしまえば幼稚なものになりがちなのです。

 不満のお声を頂いたお客様は、脳梗塞になり、片麻痺で自宅で入浴ができない為、利用されることになったので入浴のサービス以外必要ないということです。ましてや、食事も自立、リハビリは病院と自宅で精力的に行っている。レベルの低いレクリエーションを集団で行うことに楽しみを持てなかったのです。

 1日のサービスに限定(思い込みや決めつけ)して、それにお客様を無理やり当てはめていることに気が付きました。

◆不満のお声は、男性から上がっている⁉

 思い込みや決めつけを捨て、一度原点に返り「自分が受けたいサービス、家族に受けてもらいたいサービスの実現」という理念のもと、顧客分析を行うことをしました。ニーズのミスマッチと共に、属性分析をするとデイサービス利用のお客様に明確な傾向がみつかりました。利用の男女比が偏っているのです。

男性:女性 = 2:8

 極端に男性利用者が少ないのです。それも、3施設すべて・・・。そして、不満のお声は、すべて男性からあがっていました。女性利用者からは、「ここで友達もできたし、楽しいわよ🤗」
「スタッフの皆さんもよくしてくれるし、いいところだわ😘」
「毎回、いろんな催しがあって飽きないわよ🤭」 etc
と満足しているというお声が大半。

んっ!? この違いは!!!

◆大規模ニーズ調査へ

いろいろ見えてきたので、仮説を検証するために3施設を利用されている全てのお客様とご家族様へ大規模ニーズ調査を行うことにしました。 

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デイサービス利用の目的の8割は、入浴!

 思い込みや決めつけをせずに、真摯に生のお声に耳を傾けることが本当のマーケティングの原則だと信じて活動していくことになります。

・すべての答えは現場にある(現場にしかない)
・百聞は一見にしかず、まさにその通り
・思い込みや決めつけは、視界を曇らせる
・マーケティングはお客様の本音を拾うこと

◆死亡事故場所No.1は浴室!!

入浴にターゲットを絞ると、さらに視界が開けます。在宅生活の中での死亡事故箇所TOPが、浴室なのです。これは、行政の調査資料が出ています。

 転倒や階段からの転落などは、お怪我で済むことが大半であるのに対し、脱衣場でのヒートショック(温度差による心臓麻痺)や、浴槽内で足の踏ん張りがきかなくなりそのまま姿勢を維持できず、溺死・・・、死亡事故につながっているのです。
 最悪のケースとして、ご家族が仕事で不在の日中に高齢者が一人で入浴し、溺死。仕事から帰ってきた家族が発見する・・・、と言うことが実際にあります。こんな不幸はありません。

安心・安全な入浴環境をどのように作っていくのか、これはとても大きな課題であることがわかったのです。

 ここから、全国初の入浴特化型短時間デイサービスプロジェクトが開始されることになりました。

 今回のエピソードからどんなことに気が付かれたでしょうか?大切なことは、実は目の前にすでにあるのかもしれません。

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