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EP.38 入社6カ月で半分退職、継承されなかったイズム

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いつもお読み頂きありがとうございます。前回のEP37「社長の爆弾発言で新卒採用チーム崩壊⁉」からの続編です。こちらを確認してからだと話はわかりやすいと思います。

 会社の状況はできるだけ混乱を避けるためにもうまく隠し、水面下で動いていましたが、何もわからないはずの新卒メンバー(特に入社1年目)が次々と退職していく事態が発生してしまいました・・・。
 後にも先にも、入社1年目で新卒メンバーが次々と辞めていく経験はこの時限りです。

現在は、私が関わることなく全社メンバーで育成できているのですが、余裕のない幹部メンバーによる組織の混乱は、会社全体にじわじわ拡がっていく、私の中では【新卒暗黒期】と呼ぶ激苦エピソードです。



◆入社6カ月で5人退職・・・採用の失敗⁉

こんな状況下でしたが、4期生11人は4月1日に全員無事入社。

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4期生採用の責任者である人事部長指揮下で採用マネージャーが初期教育に関わっていきました。

が、しかし、採用マネージャーは4期生の入社と配属を見届けると退職の意志表示をして6月に辞めていきました・・・。

採用マネージャーに代わり、人事部長が直接4期生育成を行うことで、一定順調に動いているように感じていたのですが、6月以降にポロポロと退職者が出始めます。

理由は様々で関連性は全く無さそうに見えました。

・体調不良(人間関係の悩み)
・結婚(ご懐妊)
・起業したいから、アルバイトしながら準備したい
・おじいちゃんの遺言を聞いて、自分の夢を追いかけたい
・上に行くというキャリアに興味がなくなった

内容を聞く限り、どれも仕方がないように思いました。
しかし、私が新卒に関わってきた経験の中で、入社1年目の退職はほぼ皆無だったので何が起こっているのか全く想像ができませんでした。

 さらに4期生の採用育成の責任者である経営幹部の人事部長が退職を申し出てきました。理由は、経営危機を自分も一端として作ってしまったこと。組織にとって負担となっていることなどいろいろありましたが、明らかに疲れてしまったように見えました。

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 彼は私が信頼していた幹部でしたし、私の後任として新卒採用を任せていたのでとてもショックで、片腕もがれた感じがしました。先に退職した採用マネージャーを当社に引き込んだ責任も感じていて、何度も慰留したものの意志は固く9月に退職となりました。

 採用・教育を含めた人事周りの仕事を全て自分に戻し、改めて新卒の採用・育成を行っていく中でこの現象の原因が判明していきます。採用の失敗などではありませんでした・・・。


◆新卒メンバーへの違和感

 もともと私が行ってきたことを人事部長に引き継いだので、時間は取られるもののそんなに大きな問題だとは思っていませんでした。内定者である5期生の育成を4期生メンバーで行う準備過程の中で、4期生の姿勢に大きな違和感を覚えたのです。

 4期生は、後輩となる5期生に対する姿勢がねじ曲がっていることに気が付きました。わかりやすく言うと「どうやってイジメてやるか」に近い発想や発言が多くみられたのです。

 私が0期生、1期生、2期生と作ってきた風土には、そんな要素は皆無だったので、なんでこんな感じなのかと4期生に個別ヒアリングして徐々に原因が判明していきます。

具体的なエピソードで言うと4期生メンバーを合宿のアシスタントメンバーとして連れていくのですが、選ばれたメンバーが辞退を申し出てきました。前年までは、誰がアシスタントに行くのか希望者が多くて揉めることが通例だったのに。

理由を聴くと「私たちが受けた研修を、私は後輩にやりたくない・・・。」

「いやいや、後輩の研修プログラムは君たちが組んだでしょ?受けさせたくない研修を組んだの?」

「・・・」

研修プロジェクト自体は、楽しんでやっているように見えていたので、私には「???」しか浮かびませんでした。そして、メンバーから選ばれた以上、絶対に連れていく!と半ば強引に参加させました。

(内定者合宿の目的や実施背景については、EP19に記載しています。)


そして、無事に後輩5期生の内定者合宿研修を終えた帰り道。
4期生アシスタントメンバーとの会話です。

「5期生の内定者合宿研修どうだった?」

「最高でした、”本気”とは何かそれを知ることができました。参加出来て本当によかったです。ありがとうございます!」
「出来れば私達4期生も日下部社長の合宿研修を受けたかったです・・・」

「ン⁉ いや、合宿のプログラムは君たちが作ったものでしょ?それも、自分たちが受けたプログラムをベースにしたよね」

「そうなんですけど、やっていることは変わらないのですが、なんと言うか全然違うものなんです!!」

・・・、これは何を意味しているのか。
私の中の違和感がどんどん大きくなっていきました。


◆継承されなかったイズム・・・

調べていくと、その理由は人事部長を始め採用マネージャーの関りにありました。面接・面談技術は高く、人材研修などの経験を持っていたので、採用と育成を任せられると信じていました。そして、新卒者への研修も今までのいきいきらいふのやり方を上手く取り込んでくれていたと思います。

優秀な方でしたので、きちんとやってくれていたはずです。しかし、それはやり方のトレースだけでした。

「いきいきらいふとしての育成のイズム」が入ってなかったのです。

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 名物の内定者合宿研修などは、とても厳しいものですが本来はその中でかけがえもない価値あるものを見つけることが出来るようにプログラムされていたのですが、その意味合いは薄れて伝わっていました。

 さらに「なぜ、いきいきらいふで働くのか?」「ここでどんな成長をしたいのか?」という弊社としての“育成の想い”が私のものとは全く異なる意味合いで理解され、浸透されていたのです。

 その結果、4期生は悩んだり不安に思った時にこの会社で働く意義を見出せず、退職していたのです。

会社が財務危機に見舞われ、先行きの見えない中での人材の受け入れ。
幹部メンバーも不安を感じながら、若手に未来を語るのは本当に苦しかったのだと思います。

さらに、採用の中心にいたマネージャーの経営陣に対する不信。直接的でないにせよ新卒メンバーにマイナスの影響がでる材料はたくさんありました。

 私に責任者が変わっても、浸透した意識はなかなか変えられず、1年目でなんと7名(11名中)が当社を去っていきました。それほどまでに新卒メンバーにとって人事担当者や初期教育担当者の影響が大きいことを体感したのです。

 改めて新卒メンバーの社会人としての入口であり、企業は社会の公器としての役割を持ち受入していると再自覚した事件です。

その後、残ってくれた4期生メンバーの多くは本社勤務に抜擢されると共に後輩の育成や仕組み定着に大きな貢献をしてくれました。


◆5期生以降の採用・教育体制の再構築

 時を同じく諸々の事情から私は代表に就任。全責任を自分が負う覚悟で関わっていきます。(この話は次回EP.39をお楽しみに)

 採用マネージャーや人事担当は、人気職種です。世の中には人材業界で活躍してきた人がたくさんいて、おそらく採用や育成のスキルを持った人たちがたくさんいます。代表に就任し、より業務範囲が広がる中で採用や教育担当者を新たに採用するのが王道だと思いますが、この痛すぎる経験の反省をもとに、5期生については全てを私の手で再構築することにしました。

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自分で作ってきたスキームやプログラムを一つずつ再検証し、問題を洗い出しました。そして一つずつ、改善対応を施します。

特に、入社後の研修については、「実践型ビジネススキル研修」と命名し、私自ら月1日×6カ月間のプログラムを構築。

 5期生だけの6カ月目標を自分たちで立させ、現場業務に生かせるように連動。介護ではなく、ビジネスマンとしての視点や思考を毎回体感するものです。
 もちろん月1回、参加すれば終わるものではなく私との研修がその後の1カ月間の活動に大きく影響するプログラムとしました。

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 5期生メンバーは、この研修のトライアルメンバーとして毎月私から追い込まれ・・・、高みを目指し奮闘していきました(笑)
研修終了時には、このようなメッセージももらい、感無量。

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5期生は、その後も数々のプロジェクトを私と共に活動し、新たにメンター制度の導入や成長の為の勉強会主催など多岐に活躍してくれました。

もちろん1年目で辞めたメンバーはいません。

そう言った意味で、新卒5期生は私の中で1期生同等の特別なメンバーになっています。現在中核で活躍してくれていることが本当にうれしい限りです。

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イズムの継承は、現在においても重要テーマであり、とても難しい課題だと感じていますがこれが出来なけば、代変わりしても長く続く企業にはならないので、しっかり伝え続けていきます。


さて、今回のエピソードからは、どんなことに関心を持って頂きましたでしょうか?
 経験は全て自分の血肉に変わります。学びや経験は、他人に奪われない自分だけのものですね。


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