腰痛症状に多裂筋を効かせる方法
臨床をやっていて腰痛の方の運動を担当することは多いと思います。
胸郭の柔軟性が低下している、
股関節の硬さが、
腹圧が抜けている、
など、腰痛と言っても原因は多くあります。
腰痛=腹圧が抜けている、これは多くの書籍やメディアなどで紹介されていることで、患者さんやクライアントさんでも腰痛で長年悩んでいる方は、
「腰痛だから腹筋がないんだよね」、
「腰痛だと腹筋鍛えなきゃいけないからローラー使って鍛えてるのに全然よくならない」、
「1日100回腹筋してるのに効果が出ない」、
専門家だといやいや、ということでも一般の方のこういった意見ほんとに多いです。
世間にはこれだけ【腰痛は腹筋が原因】についての認識が多いのに、背筋についてはあまり触れられません。むしろこっちの方が大事だと思っています。背筋の中でも、
「多裂筋」
この筋肉は非常に重要だと思います。
そこで今回は多裂筋と腰痛の関係、多裂筋を効果的に効かせる方法について紹介していきます。
・多裂筋の解剖
多裂筋は背部深層に位置してローカル筋に分類される、非常に長―――い筋肉です。
ローカル筋・グローバル筋についてはこちら↓↓
頚部から腰椎まで付着していて下位腰椎になるほど多裂筋が占める割合が多くなります。多裂筋の体積が増えるということですね。
多裂筋の役割を見てみましょう!
主な役割としてはこちらですね。他にも、椎間関節の滑走性をコントロールしたり、腰椎前弯のコントロールをしたり、とにかく色んな働きをします。超絶頑張り屋さんです笑
・多裂筋と腰痛の関係
多裂筋と腰痛については数多くの文献で紹介されています。
その中から一部見ていきましょう!
多裂筋の筋硬度は健常者に比べて腰痛患者では有意に低値を示した
多裂筋の筋委縮は腰痛患者の8割に見られた。
慢性腰痛患者は腰部の安定化が不十分になり脊柱起立筋の筋活動が過剰になった。
こんな感じで腰痛患者では多裂筋に何らかの異常が見られています。
では、腰痛を訴える方に多いアライメントを確認していきましょう!
【骨盤後傾、股関節伸展、腰椎後弯、胸椎後弯】
です。
これめちゃくちゃ多いです。もう一回言います。これめちゃくちゃ多いです。
特に年配の方で多い印象です。こういった方は腰だけでなく膝を痛めていることもよくあると思います。
多裂筋は腰椎を前弯させる際に働きますが、腰痛を呈している方の多裂筋は筋緊張が低くなります。筋緊張が低くなると腰椎を後湾させ骨盤が後傾します。
これに伴い、大腿後面のハムストリングスや大殿筋も機能低下を起こします。腸腰筋の機能である骨頭を求心位に保つこともできなくなります。
つまーり、安定させるところが無くなりますね。
実際に患者さんの座位を確認すると8割方骨盤後傾、腰椎後弯で座っている方が見られます。これは腸肋筋の活動が優位になり、多裂筋が使えなくなります。
さらに厄介なの胸椎後弯です。
胸椎が後湾していると伸展の可動域が作れないし、回旋の可動域も作れません。胸椎は構造上回旋を得意としますが、後弯が強いと回旋可動域が制限されます。
その結果、過剰に腰椎が動かなければいけない状態になり腰椎に負荷がかかる状況になります。
だ・か・ら
大事なのは、
これができればメカニカルストレスが減少し腰痛も改善してくるはずです。
では、その方法について次は紹介していきますー。
・多裂筋を効かせる運動療法
多裂筋が一番働きやすいのは骨盤前傾・腰椎前弯の保持です。
そりゃそうですよね。さっきと逆の働きですもん。
代表的なのがバードドッグやブリッジなどですね。
バードドッグ
対側の手足を地面に着けて手~足まで一直線にします。腰椎の過前弯、後弯には注意してくださいネ。
ブリッジ
これも効果的に効かせることができます。下記4つの中で筋活動は一番高くなりますネ。
ベッドに突っ伏して股関節伸展させるこちらのエクササイズも効果的です。
このエクササイズの良い点は脊柱起立筋などのグローバル筋の筋活動を減少させて多裂筋の筋活動を高められることです。
座位リーチング
座位で骨盤を前傾(過前傾注意)したまま股関節を屈曲していきます。骨盤を前傾したまま股関節を屈曲するので多裂筋の張力を保ったまま働かせることができます。
これらのエクササイズにプラスで胸椎の伸展可動域や回旋可動域も作っていきましょう。
エクササイズはこんな感じです。
ぶっちゃけ多裂筋を効かせられてればエクササイズはなんだっていいと思っています笑
色々挑戦してみて患者さんやクライアントさんが、「これ効くわー」っていう感覚があるものをチョイスしてみてください!
<まとめ>
・多裂筋はローカル筋で主に脊柱を安定させる役割がある
・多裂筋の萎縮は腰痛と関係ある
・多裂筋を活動させてアライメントを変える
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