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鈴木祐(著)|科学的な適職
どうも、読書家のヒデです。
今回はクロスメディア・パブリッシングさんから2019年12月21日に出版された、鈴木祐さんの『科学的な適職』をご紹介したいと思います。
みなさんは今の仕事に満足されていますか。
今の仕事が自分にとって、最も適した職業だといえますか。
胸を張って「今の仕事が自分にとって最高の仕事だ」と言える人は、少ないのではないかなと思います。
コーネル大学の研究で、人生の終盤を迎えた老人に「人生で最も後悔した事はなんですか?」というアンケートを取ったんです。
そうすると、特に日本では「仕事を第一にしすぎた」「働きすぎてプライベートをなくしてしまった」「長時間労働で体を壊した」など、人生の終盤を迎えた老人になっても、仕事に関しての悩みが1番多かったんです。
その多くの原因が、就職や転職の際に、視野狭窄に陥ってしまって、適職選びに失敗してしまったからなんです。
高い給料という「お金につられて」就職や転職をしてしまったり、今の職場が嫌で、将来の自分のためではなく、今の現状から逃げ出してしまう「逃避」で選んでしまうのが多くの原因なんです。
そもそも人間の脳というのは職業選択に向いていないんです。
私たち人類が職業を自由に選択するようになったのは、19世紀に入ってからなんです。
それまでは、狩猟採集民であれば、狩に精を出す部族の一員として生きるしか道はありませんでしたし、江戸時代であれば、商人の子供は商人、武士の子供は武士、そうした世襲制の仕組みに従って、親の仕事を継いでいたんです。
そうやって私たちは、人類の歴史の9割以上を「仕事を選ぶ」ということに悩まずに暮らしてきたんです。
そんな私たち現代人は、職業を選択するために適応した脳に発達していないんです。
特に今は、終身雇用が崩壊し、人生100年時代と言われる中、手本となるロールモデルがいないんです。
本書の著者、鈴木さんは、それをふまえた上で、仕事選びの意思決定の精度を高め、正しいキャリアを選び取り、最終的に「人生の後悔」を限界まで減らすことをゴールにしていると言います。
著者の鈴木さんは、本書を執筆するにあたり、10万本の科学論文と、6000人を超える海外の学者や専門医にインタビューを行い、組織心理学や経済学などのジャンルからも、数千の研究論文を集め、それらを元に本書を書き上げたんです。
そんな本書『科学的な適職』の〝適職〟とは、「なんとなくあなたに合っている」というものではなく、〝あなたの幸福が最大化される仕事〟と定義しています。
世の中の多くの人が、仕事が終わると「今日も1日終わったー」と言ってませんか。
例えば、19時に帰宅して、24時に寝るとしても、本当なら5時間も自分の時間があるはずです。
それなのに、仕事が終わったら、残りの時間はまるでないかのように、自分の時間を自己投資ではなく、ダラダラと浪費に使ってしまう人が多いのではないでしょうか。
ですが、仕事をすることで、幸福度が最大化されていたら、自分の時間も有意義になるのではないでしょうか。
そんな幸福度を最大化させるためのノウハウを教えてくれる本書から、仕事選びの場面で、誰もがはまりがちな定番のミスを、3つご紹介したいと思います。
好きを仕事にする
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まず1つ目のミスは好きを仕事にするです
えっ!?ちょっと待って!
いろんな人が「自分の好きなことを仕事にしよう」と言ってるじゃないですか?
「好きなことで生きていく」というワードもバズっていたじゃないですか?
と思われる人も多いと思いますが、本書では、好きを仕事にしても幸福度は上がらないと言っています。
たしかにApple創業者のスティーブ・ジョブズもスタンフォード大学の卒業式で「たまらなく好きなことを見つけて、好きを仕事にしよう」と言ったり、論語の孔子も「自分の愛することを仕事にすれば、生涯で1日たりとも働くなくて済む」と言っていたり、好きな事を仕事にしようと言う人は多いのも事実です。
ですが、スティーブ・ジョブズにしても孔子にしても、もともと好きだったものを仕事にしたわけではないんです。
スティーブ・ジョブズはインドにも修業に行くくらいスピリチュアルが大好きな人で、それを突き詰めていたら思想家になっていたんです。
ですが、たまたまウォズニアックと出会って、彼が発明した製品にビジネスの匂いをかぎとったから、Appleを創業したんです。
孔子にしても本当は政治家になりたかったんです。
歴史を振り返れば、自分の好きなことを仕事にしているわけではないですが、成功している人はたくさんいるんです。
例えば、ゴッホは聖職者になりたかったし、ココ・シャネルは歌手になりたかったし、ナポレオンは小説家になりたかったんです。
そして科学的にも、多くの職業研究で「自分の好きなことを仕事にしようがしまいが、最終的な幸福度は変わらない」ということが分かっているんです。
とは言え、日本人が「好きを仕事に!」というフレーズに惹かれるのは、無理もないことなんです。
というのも、139カ国の企業に行った調査によれば、「熱意を持って仕事に取り組んでいる」と答えた日本人は全体の6%だけだったのに対し、「やる気がない」という回答は70%にも上っているんです。
この数字は世界で132位と最下位クラスなんです。
そんな状況では、「好きを仕事に!」というフレーズに惹かれてしまうのも無理のないことなんです。
ですが、それだと幸福にはなれないんです。
ミシガン州立大学の研究によると、「好きなことを仕事にするのは幸せだ」と考える適合派タイプと、「仕事は続けるうちに好きになるものだ」と考える成長派タイプでは、「仕事は続けるうちに好きになるものだ」と考える成長派の方が、幸福度が高かったんです。
なんとなく続けていたら楽しくなってきたという事は、よくあることなので、仕事を選ぶ際は、「好きなことを仕事に」ということだけに軸足を置かずに、視野を広げて探してみるのがいいのかもしれません。
給料の多さで選ぶ
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2つ目のミスが給料の多さで選ぶです
誰でもお金が欲しいという気持ちはあると思うので、どうせ働くなら収入の多さで仕事を選ぶのは、自然なことだと思います。
ですが、これには問題があって、給料が多いか少ないかは、私たちの幸福度や仕事の満足度とは、ほぼ相関関係がないんです。
例えば、経済学の研究では、健康レベルが「普通」から「ちょっと体調が良い」に改善したときの幸福度の上昇率は、収入アップから得られる幸福よりも6531%も大きいことがわかっているんです。
一方で、年収が400万円の人が、そこからさらに5%幸福度を高めようと思ったら、800万円以上の年収が必要になるんです。
要するに、年収400万円の人が、たとえ年収が倍になったとしても、健康の改善による幸福度の上昇レベルには、はるかに及ばないんです。
さらに、お金から得られる幸福というのは相対的に決まりやすいんです。
私たち人間は、周りと比べて年収が高い低いと、どうしても他人と比較してしまうんです。
自分の年収がたとえ1000万円だったとしても、周りの年収が3000万円だったとしたら、周りと比べて自分の年収は低いと感じ、幸福度は上がらないんです。
劇作家のバーナード・ショーは「20代の頃より10倍金持ちになったと言う60代の人間を見つけるのは簡単だが、そのうちの誰もが10倍幸せになったとは言わない」と言っています。
人は、幸せになるためにお金を稼ごうとしていますが、それは、幸せを犠牲にした上に成り立っているのかもしれません。
生きていく上でお金は必要なものですが、それだけで職業を選ばない方が良いのではないでしょうか。
業界や職種で選ぶ
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本書では、ペンシルバニア大学の研究で、学者、評論家、ジャーナリストなど、248人の専門家を集めて、3〜5年後の経済や企業の状況などを予測してもらい、5年後にその予測データをまとめたところ、「専門家の予測はほぼ50%の確率でしか当たらなかった」と書かれています。
確かに、どんな専門家でも未来を100%予測するのは難しいと思います。
ですが、「どの業界が伸びるか」ではなく「どの業界が衰退していくのか」というのは、今あるサービスやテクノロジーを見渡せば、ある程度わかるのではないでしょうか。
例えば、過去に携帯電話が普及したした時点で、公衆電話を製造している業界は衰退していくと予測できるし、今、AI技術の発達に伴って、今後は単純な事務作業はなくなっていくだろうと予測はできると思うんです。
サウジアラビアの元石油相の言葉に「石器時代が終わったのは、石がなくなったからではない」という言葉があります。
要するに、仕事も業界も、そのもの自体がなくなって衰退していくのではなく、それに代わる新しいツールを、人間が開発したからなくなっていくんです。
公衆電話も、電話がなくなったわけではなく、携帯という代わりになる新しいツールができたから、衰退していったんです。
事務職も、人間の代わりにAIができるから衰退していくんです。
私たちは、これをやれば必ずうまくいくとか、必ず成功するという成功確率を上げるのは極めて難しいんですが、これをやったら確実に失敗するというのは、今この瞬間からなくすことができるんです。
これをやれば必ずうまくいくというのはコントロールできませんが、これをやったら確実に失敗するというのは、それを選択しなければいいだけなので、コントロールできるんです。
仕事を選ぶ際も、今伸びている業界を見極めて選ぶか、今の世の中にあるサービスやテクノロジーを見渡して、衰退していく業界を選ばないようにすることが、大事なのではないでしょうか。
まとめ
ということで今回は、鈴木裕さんの『科学的な適職』をご紹介させて頂きました。
本書は、多くの研究から導き出されたエビデンスをもとに、科学的に適職を選ぶノウハウを教えてくれる1冊です。
今回ご紹介した項目も、本書の「仕事選びにおける7つの大罪」のうちの3つしかご紹介できていません。
本書には他にも、「仕事の幸福度を決める7つの徳目」「最悪の職場に共通する8つの悪」など、今の自分の仕事を見つめ直したり、職業を選択する上で参考になる内容ばかりです。
みなさんもぜひ本書を手に取って、「幸福が最大化される仕事」を選んでみてはどうでしょうか。
今回は以上です
最後まで読んでいただき、ありがとうございます
それでは素敵な1日を
読書家のヒデでした
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