見出し画像

【業界団体の初見解】自然死(孤独死)とは事故物件なのか?

こんにちは。R65不動産の山本です。
弊社は、65歳以上の方に賃貸住宅を仲介する不動産会社です。

65歳を越えると、賃貸住宅が借りにくくなるのですが、理由としては、

1.認知症による契約行為が続行できない恐れ
2.年金による家賃滞納の恐れ
3.自然死(孤独死)による事故物件となる恐れ

の3つの恐れが原因となっています。

特に大家さんからは、この3つ目である
自然死(孤独死)による事故物件の恐れから、長年高齢者に賃貸住宅を貸すのは難しいとされてきました。

そんな中、自然死について不動産業界団体初の見解が出ましたので
その件についてお話しします。

1.自然死は事故物件なのか

まず、自然死は事故物件なのか、ということについて見解がでました。
(事故物件は俗称で、不動産業界内では心理的瑕疵のある物件と呼ばれます。)

実はもともと、自然死の場合、事故物件かどうか定義はありませんでした。

理由はというと、人が無くなること自体は忌避したいものの、実際人が亡くなる状況は様々。病死で亡くなる場合はどの時点から心理的瑕疵があるか、明確な定義ができなかった為です。

例えば、自然死で家族に看取られながら亡くなった場合。
つまり、発見から0秒後でも事故なのか?と考えると、非常に曖昧なところですよね。

画像1

一方で、発見まで日数がかかった場合は住宅の損耗も大きいのが現状です。

状況によって曖昧な為、自然死が起きた場合、告知する告知しないは不動産会社のその場その場の判断に委ねられていました。

明確な定義が無いため、大家さんの多くは​

自然死=事故物件?ということはつまり、物件価値が下がるの?
→じゃあ、高齢者は避けたい。

という認識が成り立っていました。

このような背景から、
「自然死は事故物件なのか?」という事が長年議論されてきました。

今回の報告書では、様々な角度から話あった結果、「自然死自体は心理的瑕疵に当たらない」(自然死があっても事故物件にはならない)という結論に到りました。
ここまで具体的に考え方が出たのはほぼ初めてなので、今後の法整備の1つの基準となるだろうと思います。また、これまで曖昧だった貸し手を守る動きでもあると思います。

しかし、今回の考え方の中では、全ての自然死において告知義務が無いわけではなく、あくまで一業界団体の見解であり、また状況によっても告知義務が異なります
その点下記の場合では、自然死であっても心理的瑕疵に該当する、とあるため、お気をつけ下さい。

2.どういった段階で告知の義務があるのか

自然死(孤独死)は自然の状態のものと考え、告知義務は無し、と報告書の中で考え方が出ましたが

「近隣から入居者に異変が生じている可能性が指摘された後、孤独死の事実が発覚した場合」

裏を返すと、

「近隣まで届く異臭や異変が放置されている状態については、孤独死でも告知した方が良いです」

という考え方とのことです。
つまるところ、家族やお医者さん、近しい人が看取るならまだしも、何日も放置されている状態は、自然死といっても、告知した方が良い、という考え方です。

確かに、お隣さんやご近所さんから、
「ここは人が亡くなって何日も放置されてたんですよ」
と聞くのは、気持ちいい話ではありません。

3.事故物件にしないために大家・不動産会社が対応するべきこと

今回の見解をもとに進めると、
不動産会社や大家さんが、まず行なうべきは見守り機器をつけること
だと思っています。

それも、入居者さんのプライバシーを侵害しない、亡くなった後、すぐ発見できる見守り機器が必要だと思っています。

たとえば弊社では、電力によって見守りを行なっています。

入居者さんのご負担は月額数百円~
安価なので、大家さん自身が契約されている場合もあります。亡くなる前に発見、ということも技術的にはできます。(監視カメラをつける、警備会社と契約する等)

しかし、弊社では入居者さんのプライバシーを大きく損なうので、賃貸住宅であればあまりオススメはしていません。

亡くなられていても、寝ているのと変わらないのであれば
あまり問題にならないのではないかと思っています。

4.事故物件になってしまったら大家・不動産会社が対応するべきこと

最後に、自然死が起きてしまった後、事故物件扱いになってしまった場合の見解については

次の借主が、通常想定される契約期間の満了まで当該物件の利用を継続した場合には、貸主は、その次の借主に対し説明告知する必要はないものとする。

以上のように出ています。

つまるところ、次の方が普通に借り一定期間が過ぎれば、以降は気にならないでしょう、という考え方です。(もし気になって途中で出た場合は別です)

こちらについても大変議論がありましたが、背景としてはいつまで告知し続けるか、ということが争点となりました。
実際、孤独死があった物件でも、告知した上で募集した場合、東京都内ではほとんど家賃が下落していませんでした。

また、これは他社さんの事例から、家賃を1割2割減額した場合、むしろ問い合わせが多く、実際に入居されている実情から、孤独死が心理的瑕疵に与える影響はそこまで長期に渡らないと考えられ、このような結論となりました。

実際、弊社で行なった自然死だけを集めたサイト「ぽっくり物件.com」では最初は300件ほど、サイト公開から1年経った現在でも、物件の掲載ができなかったものの、毎月件ほど10件のお問い合わせがございます。

以上4点、孤独死についての定義の考え方を整理されていましたので、要点を抜き出し、記事にいたしました。

こちらについて、訂正事項や質問事項がございましたら、株式会社R65までご連絡くださいませ。

(参考)「全国宅地建物取引業協会住宅確保要配慮者等の居住支援に関する調査研究報告書」

(本記事は、全48ページの報告書の内容の要点を抜粋しております。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?