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「モノを作って、売る」というクリエイティブの未来 #noteshopping

『だれもが創作をはじめ、続けられるようにする』。
それがnoteの掲げるミッションです。

7月にnoteのプロデューサーに就任してからは、自分ごととしてなんども繰り返し目にし、耳にしてきたこのフレーズ。
はじめはモノを売るためにどう発信するべきかを考えていたのですが、最近海外のD2C界隈の動きを見ていると、モノを作って売るという行為はもはや生きる糧としての商売の枠を超えて、自己表現としての創作に近づきつつあるのかもしれない、と考えるようになりました。

つまり、モノを売ることはゴールではなく、noteを書いたりSNSに投稿したりラジオで発信したりするのと同じように、誰かとつながる手段になりつつあるのではないか。

『ブランドの発信』はいたるところで話題になるテーマですが、『伝えること』は『作ること』の付属品ではなく、むしろそこに内包されているものなのではないかと思うのです。

10/31(木)に開催した #noteshopping は、私のその仮説を確信に変えたイベントでした。

深津さんと登壇した第一部のテーマは、『つくる、つたえる、とどけるのシームレス化』。

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特に『伝える』は自分たちだけではなく、お客さまも巻き込んでいくことがこれから大事になっていくよね、という話をしました。

その事例として私があげたのは中川政七商店のECでの買い物体験。返品などの注意書きの裏にかわいいカレンダーが印刷されていて、その遊び心にグッときたのでした。

以前読んだ『ほんもの』という本の中で、顧客にとってのブランド価値とは『アイデンティティの回復感』である、というくだりがありました。

それはつまり、人は自分がこうありたいと思う像をブランドの中に見つけることでその対象に惹かれてしまうということ。

そしてその世界の一員となるパスポートこそが、『ものを買う』という行為なのだと思います。

そして第二部では、note for shoppingに参加してくださっている企業の中から、4社のご担当者をお招きしてトークセッションを行いました。

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左からSTORES.jpの岡さん、EC CUBEの梶原さん、Creemaの名古屋さん、BASEの神宮司さん

それぞれ、プラットフォームとして複数のブランドやECショップを見ているからこそ感じるここ最近の変化やユニークな事例についてお話いただきました。

そして当日はStores.jpとnoteを使っている左ききの道具店さんの商品を一部お借りして、商品の陳列も。

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今回は各社自前のポップアップスペースを持っているところがほとんどだったので、ECとリアル店舗の違いや販売で気をつけるべき細かいポイントなど、具体的なTIPSをたくさん伺うことができました。

そして最後に登壇していただいたのは、Takramの佐々木さん。来年1月にD2Cにまつわる書籍を出版されるということもあり、D2Cの最新事情や日本との違いについてなど、話の尽きない時間でした。

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特に個人的に聞いてみたかったのがD2CとSPAの違い。ものづくりからはじまっているのがSPA、ストーリーからはじまっているのがD2Cという区分けはとてもわかりやすくてすっきり。言い換えれば、D2Cとは思想や哲学を体現するためにリアルなモノとしてかたちに残し、仲間を集めることなのかもしれません。

そして私が常々感じているのは、D2Cとは単なるビジネスモデルの変化ではなく、ものづくりが民主化したことの現れなのだろうな、ということ。これまではバイヤーに買ってもらえなければ店の棚に並べることはできなかったため、新ブランド立ち上げはその分野でキャリアを積んだ人にしかできないものでした。

しかしECによって誰もが簡単にものを売れるようになった結果、海外で買い付けたものをECで売ったり、小さな規模で作ってみたものをマーケットプレイスで売ったりすることが容易になりました。

もちろん民主化したことによって様々な弊害もでてきていますが、一部の人だけではなく誰もが『モノを作って売る』ことを楽しめるようになったのは素晴らしい変化だと思います。

と同時に、これからD2Cの分野が成熟していくには、ユニコーン企業を目指すIT企業的な発想だけではなく、長く続く老舗ブランドを目指す人や小商いで幸福にクリエイティブの循環を回す人たちの存在が必要不可欠になっていくのだと私は思っています。

冒頭にも書いた通り、モノを作って売るということは、生活のための糧から自己表現のための創造的行為へと変化しつつあります。

すでにECやブランドを運営している人たちがnoteを通じて新たな関係性をお客さまと築いていける架け橋になるのはもちろん、ものを作って売るなんて考えてもいなかった!という人が、noteでの創作を通じて何か作ってみたいと小さな挑戦をする例ももっともっと増えていったらいいなと思っています。

モノを作ってそれを『欲しい』と言ってくれる人に出会って、大切に使ってもらえるのはとても楽しくて、意味のあること。

創作を続けていけるだけのお金を得ることも大事だけれど、それと同じくらい創作自体を楽しみ、その楽しみの過程にnoteでの発信があるといいな、と改めて思ったイベントでした。

イベントの感想やレポートは #noteshopping のハッシュタグで他にもたくさん上がっているので、ぜひチェックしていただけると嬉しいです。

そして最後に、今回は懇親会での食事/ドリンクにもこだわったのでぜひ紹介させていただきたい!!

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今回メインのケータリングをお願いしたのは、noteユーザーでもあるtiny peace kitchenさん。

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『やさしさが連鎖する経済圏をつくる』ためのプラットフォームとしての飲食店という考え方、そして身近なところから健康的な消費を作っていこうとする姿勢に共感し、今回ケータリングをお願いしました。

ケータリング依頼に当たって代表の荒井さんともお話させていただいたのですが、大学院でサスティナブルを専攻されていただけあって『本当の意味でのサスティナブルとは何か』について学ぶことが多く、『それもこれもぜひnoteに書いてください!』と提案しまくってしまうほどでした。笑
こうやってnoteクリエイターさんとの輪が広がっていくのがとても嬉しい。

そして今回はCreemaさんからご紹介いただいたTao organic kitchenさんのペーストとジンジャーシロップもお取り寄せ。

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Creemaさんで販売されているアイテムはアクセサリーのイメージが強かったのですが、こんな素敵な食のブランドさんもたくさんいらっしゃるのだな、というのが今回の学びでした。

そしてもうひとつ、BASEさんからご紹介いただいたうふふどーなちゅさん。

見た目にとっても華やかで、懇親会やちょっとしたイベントで映えるスイーツでした。

ちなみに写真だとわかりづらいのですが、今回それぞれのブランドを紹介するネームタグにECやnoteに飛べるQRコードをつけて、そのお店のことをより深く知ることができるような仕組みも作ってみました。

これからnoteでお店関連のイベントをやるときは、こうやって直接会って話したことをきっかけにnoteをフォローしあって、長く続く関係構築の一助になればいいな、と思ったり。

まだまだ試行錯誤中ですが、noteをもっと楽しく使ってもらえるように私もあれこれ実験し続けていきたいと思います。

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