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もしも、誰とでもつながる魔法の箱が大学にあったら。 |インターン日記

そんな “もしも” を、叶える話。

コロナ禍で人々の繋がりは希薄となり、日常は大きく変化した。
中でも、大きな影響を受けているのはきっと大学生だろう。

授業はオンラインとなり、サークルも活動がストップ。友人を増やすことも難しくなり、“華のキャンパスライフ”とは到底呼べない、孤独な日々だ。

そんな学生たちの一助となるべく、qutoriではこんな実験を行なっている。

すごくぎゅっとまとめて書くと、大学のキャンパスに個室ブースを置き、そこに入るだけでオンラインで全国のいろんな大人と話せる。そんな魔法の箱プロジェクト。まるでもしもボックスみたいだ。

その運営をする中で感じたことを、今回は綴っていこうと思う。


「こんにちは。これ、聞こえてますか?」

ある日、いつものようにオンラインで待機をしていると、少し戸惑ったような声色である学生がこう話しかけてくれた。

彼は大学2年生で、将来について悩みを抱えているとのことだった。こないだ成人式を終えたばかりらしい。めでたい。無事に式を開けてよかった。

「大学のキャリアセンターってなんだか硬いイメージがあって。もっと気軽な相談をしたいんです。」

なんで来てくれたの?と尋ねると、そんなことを口にしてくれていた。

調べてみると、現にキャリアセンターへの相談件数は減少しているらしい。コロナ禍で学生もなかなか気軽には足を運べないようだ。

大学4年生の私も、このnoteを書きながら、1年前の就活生時代を思い返してみた。が、キャリアセンターを利用した記憶はない。たぶん使ってないのだろう。

すごいなあ。自分が20歳の頃なんて、何にも考えてなかったのに。そんなことをぼんやりと考えながら、話を聞いていく。

どうでもいい無駄話。今悩んでいること。これからやってみたいこと。
言葉を重ね、少しずつ、心の中のモヤモヤを打ち明けてくれた。

こんなことをやってみたくて、でも何から始めたらいいかわからなくて。都内に暮らすべきなのか、実家がいいんだろうか。お金はどれくらいかかるんだろう。副業ってどんな感じなんだろう。自分はなにが好きなんだろう。

およそ90分ほど話しただろうか。初対面とは思えないほど、あっという間に時間が流れていた。

「ありがとうございました。自分だけでは見つからないような選択肢をたくさん知れてよかったです。これから色々調べてみます!」

画面越しに笑顔でそう言い、彼はブースを後にしていった。

彼が画面から消え、PCには自分の顔だけが映る。
心なしか、自分の表情も朗らかにみえた。


ゆるさと、選択肢と、

「役に立つ情報がもらえた」

学生にとって、もちろんこれはとっても大事だ。相談された大人は、“人生の先輩として、少しでも参考になるようなことを伝えて役に立ちたい”と張り切ることだろう。でもきっと、

「悩みを誰かに聞いてもらえた」
「自分の思いを受け止めてくれた」

という感覚も、もしかしたら学生にとっては大切なのかもしれない。

人と会わなくなり、雑談が減ったからこそ、「なんでもないお喋り」の時間が必要になっている気がする。

カチッとした就活相談となると、ビジネスマナーや面接のコツなど、いわゆるノウハウ系の話が多くなる。どんな対策をして、ガクチカがどうの、グルディスがどうの…と。大切なことは重々承知しているが、なんだか話を聞くだけで肩に力が入ってしまう。

ピシッとスーツを着て、就活を頑張って、大学を卒業し、新卒で社会人になる。もちろんこれも正しい考え方だ。

けれど本来は、もっと選択肢を増やし、世界を広げてあげるような大人がいてもいいのではないか。

休学して世界一周したっていいし、起業したっていい。
田舎でゆったり暮らそうが、都会でバリバリ働こうが自由だ。

「こんな生き方があって、こんな世界もあるんだよ」
「だから、思い詰める必要はないし、たくさん道はあるんだよ」

そんなメッセージを届けてあげる大人がいてもいいのではないか。
人は、選択肢にすらないことを、選ぶことなどできないのだから。


誰とも会えないからこそ、誰とでも繋がれる

私は千葉の自宅にいて、彼は神奈川のキャンパスにいた。
同じ大学の先輩なわけでもないし、もちろん会ったこともない。本来決して出会うことなどない相手だったはずだ。

でも、こうして悩みを話してくれて、晴れた顔つきで帰ってくれた。
そして、たぶんほんの少しだけ、彼の世界を広げるお手伝いができた。

コロナ禍で日常は大きく変化し、人々の繋がりは希薄となった。
ただ、今まででは考えられない、新たな繋がりが生まれていた。

「東南アジアで日本語教師をしたいが、いまいち情報が少ない」
「山梨と東京の二拠点生活をしている社会人の話を聞いてみたい」
「地方に住んでいるが、都内の企業の人と話したい」

いつか、どんな悩みであろうと、自分のキャンパスに行くだけで、繋がり、話せるようになる日が来るのではないだろうか。

誰とも会えないからこそ、誰とでも繋がれるようになる。

この実証実験は、これまでの大学生のアタリマエを大きく変える、新たなコミュニケーションの在り方を生み出すきっかけなのかもしれない。

いつか、謎の箱をキャンパスで見つけたら、勇気を持って一歩踏み出してみて欲しい。

きっと、まだ知らない世界があなたを待っているはずだ。

(担当: qutori 安田舜)


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おしまい。

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