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2022/08/17

BGM: BONNIE PINK "犬と月"

休みである。雨が降る中、休みの日の「朝活」としてイオンに行き、ジェイ・マキナニー『ブライト・ライツ、ビッグ・シティ』を読む。この小説は実に力強い、それでいて粗暴というわけではなく繊細で優しい声を備えていると確信する。大都会で展開される一見すると洗練された青春物語のようで、実は母を喪失した悲哀に囚われた男がどうその死を乗り越えるかという古典的でオーソドックスなストーリー。言わば喪失と再生を描いたものであり、そんなストーリーはこちらの胸を確かに打つ。高橋源一郎による翻訳も実にいい。面白い本を読んだと思った。

ジェイ・マキナニーのこの作品は80年代のJ・D・サリンジャーと呼ばれるまでの反響を勝ち取ったそうだが、実を言うと私はサリンジャーをそんなに知らない。『ナイン・ストーリーズ』は愛読してきたのだけれど、肝腎の『キャッチャー・イン・ザ・ライ』はさほど読めていないのだった。それでさっそく図書館に行き村上春樹の翻訳版を借りる。読めていないということであれば私は『グレート・ギャツビー』だってバズ・ラーマン監督版の映画を観てくらいしか知らない人間なので、実にお粗末。まあ、人間なのでそんな「抜け」もあります。

断酒会に参加する。そこで、いつものように体験談を語る。私はいかにバカだったか。新卒で就職できず、人生終わったと信じ込み(当時はニートやひきこもりが今ほど重要なトピックとして「可視化」されていなかったのだ)、酒に溺れた日々を過ごした恥ずかしい過去を語った。そこで愛着障害について教わる。親から適切案愛情を得られなかったから起こる障害とのことで、私は別段両親から虐待されたわけではまったくなかったのだけれど、その代わりクラスメイトからいじめられ人間不信に陥ったことを思い出し、学校教育が原因でのトラウマに陥ったとは言えるのではないかと思った。

とあるnoteで、ジェイ・マキナニーについて語られた内容の文章を読む。マキナニーが彼の文学上の「師」であるレイモンド・カーヴァーに教わった真理についてだ。それはシンプルなもので「毎日休まず書き続けること」だったらしい。だが、これがいかに難しいか。私はこの日記を朝に書き続けているが、習慣化するまでやはり「めんどくせー」と思うこともあった。実を言うと今も「また朝が来たなあ」と思うこともある。でも、書き続けると日によっては奇蹟のように面白いことも書けるし、しょうもないことしか書けないこともある。そんな凡庸な日々の繰り返しの中からこそ「名作」は生まれうるのかもしれない。


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