480.【WACK峮峮スピンオフ#38】峮峮(チュンチュン)最終フォームへ!
大家好。WACK峮峮スピンオフの38回目、第1部のラスト、24回目です。峮峮(チュンチュン)がついに最終フォームに変身します。
これは「WACK峮峮スピンオフ#37」の続きに当たります。「WACK峮峮スピンオフ#37」は次のリンクをご覧ください。
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峮峮は光まばゆい空間に飛ばされた。そしてまた、長い白髪と白い髭、白いローブをまとった老賢人と出会った。
「ようこそ、峮峮。今日は最終フォームの伝授をしよう」
「伝授……」
「まずバングルを見るがよい」
峮峮は体を起こして両手のバングルを見た。バングルは幅数センチほどの太いものになっていたが、特に重さは感じなかった。驚いて立ち上がる峮峮に、老賢人は続けた。
「そのバングルによって、君は最終フォームに変身する」
「え?どうするの?」
「君が得意な炸裂ダンスがあるだろう。そのポーズで左右のバングルを交差させると変身できる。氣を込めるために掛け声が必要だな。『炸裂、変身!』というのはどうかな」
「炸裂……変身、ね。やってみよう」
峮峮は右肘を曲げ、左手を突き出して言った。
「炸裂……変身!」
途端に最終フォームの衣装をまとった姿に変身した。峮峮は驚いて言った。
「え、スゴい!衣装を着てる」
「右のバングルには、最終フォームの衣装のデータが入ってる。そして左のバングルだが、少し盛り上がったところがあるだろう。そこに聖剣が入っている」
峮峮が左のバングルを見ると、確かに細い管が埋め込まれており、そこに青いものが見えた。取り出してみると、爪楊枝大の聖剣だった。
「こんなに小さいの?」
「その聖剣に『伸びろ!』と声をかけると大きくなる。『戻れ!』と言うと爪楊枝大に戻る」
峮峮はやってみようと思って氣合いを入れた。
「伸びろ!」
聖剣は120cmほどのロングソードとなり、荘厳な輝きを現した。
「わぁ綺麗!で、これをどうするの?」
「もちろん剣として使うこともできる。だが重要なのは、君の氣合いで聖剣が光を放ち、相手を壊滅できるということ。そうだな。これは『炸裂、チュンチュン剣』という掛け声で氣を込めたらどうだろう」
「やってみる」
峮峮は何もない虚空に向かって、氣を込めて言った。
「炸裂!チュンチュン剣~!」
すると聖剣から光が放たれた。驚いて、しばし呆然としていた峮峮だが、我に返って「戻れ!」と声を掛け、聖剣を左のバングルに仕舞った。
「最後に変身解除の仕方だが、両手を前に出してその両肘を曲げ、手をくるくると回すと、変身が解除される」
「こう、あ、『Nice Play』の動作ね」
元の姿に戻った峮峮、「いつもありがとう」と言うと、老賢人の姿が変化した。白い髭が消え、長い白髪はそれより短い白髪混じりの黒い髪に変わり、白いローブは黒のロングコートに変わった。
「あ……」
「このたまゆらの空間で、君とはこれから何度も出会うだろう。よろしくな、峮峮」
† † †
峮峮の体はクリアライトの光に包まれていた。その光が消えていったとき、峮峮は目を覚ました。
「あ……長いこと寝ちゃった。ごめんなさい」
「いいえ、あなたは1分ほどで目覚めましたよ、峮峮さん」
「え……?」
時間の感覚が違うので、峮峮は戸惑っていた。緑川さんは、にっこりとして言った。
「綺麗なピンクとオレンジのオーラをしてますね。素晴らしいです」
「ありがとうございます」
そう答えた峮峮だが、オキトの筒と衣装が消えていることに気づいた。ハッとして両手を見ると、バングルは太く金色に輝いていた。
「このバングル……夢で見たのと同じだ!」
「確かに、最初のとは違いますね。どうしたのでしょう?」
「夢に老人、いや黒いコートの人が出てきて、いろいろと教えてくれたんです」
緑川さんは、峮峮の様子が変化したのを確信して言った。
「それでは皆さんをお呼びしましょう」
みんなが教会の中庭に到着すると、峮峮と緑川さんがにこやかに談笑していた。昼間の明るい陽射しが、2人を華やかに彩っていた。Julieが声を掛けた。
「峮峮、どうだった?」
「Julie、ありがとう。成功したよ」
みんなのどよめきに応えて、峮峮が変身を披露することになった。
炸裂……変身!
最終フォームに峮峮は変身した。最終フォームの衣装をしっかりまとっていた。
ブルーに輝く最終フォーム。ブルーのケープを背に、トップス、ティアードスカート、タイツもブルーの香りよく、腰の青い薔薇が気品を添える。チョーカーの十芒星には紫の宝石が輝き、荘厳ではあるが、ネイビーのロングブーツはその機動性を十全にしていた。
「わぁ綺麗!」
「かこさんのデザインいいね!さすが!」
「なんかすごくうれしい!こんな風に着てもらえるのね」
そして、峮峮は左のバングルから小さな聖剣を取り出した。
「伸びろ!」
聖剣はその姿を明らかにすると、陽射しを受けて煌めいた。
「スゴい!如意棒みたいだ」
「綺麗な剣ね。威力ありそう……」
峮峮はちょっと戸惑いながら聞いた。
「これ試してみたいんだけど、ここじゃできないし……」
「それ?……えっと、ワディが管理してる廃工場がある。ここから車で10分ほどかかるけど、そこだったらできるかも」
廃工場に行こうということになって、峮峮はいったん変身を解除した。
廃工場は、鉄くずや廃材で散らかっている。シャッターを開けて入ると、手前には赤茶けたH形鋼が積み上げられている。赤茶色は錆止めの色だが、もう何年も放置されていた。
ワゴンの中はワイワイガヤガヤ、ホント楽しそうで、その雰囲気がまだ続いている。廃工場にやってきたのは、峮峮、Julie、ワディさん、うさうさん、かこさん、緑川さん、ポンちゃん。楽しそうな7人と、廃工場の煤けた空気が対照的だった。
「えぇっと、何でもいいんだけど……取りあえず、手前にあるH形鋼で試してみる?」
「うん、やってみよう」
峮峮はそう言うと、最終フォームに変身し、聖剣を左のバングルから取り出し、「伸びろ!」と声を掛けた。
聖剣を構える峮峮、いつもの笑顔の峮峮とは異なった迫力で空気を震わせた。
炸裂!チュンチュン剣~!
その声と共に、聖剣は白い光を発し、鋼材は真っ二つに叩き斬られた。
「レベル100!やったあ!」
うさうさんが持っていたチュンチュンアプリを、ワディさんが手に取ると、レベル100、攻撃力227、守備力358、かしこさ151、かわいさ419という数値が示されていた。
「峮峮ちゃ~ん!」
うさうさんが峮峮に駆け寄る。峮峮も聖剣を置いて走り寄った。そして、2人両手を取り合って、ぴょんぴょん跳ねて喜んだ。まるで2羽の兎だった。
「うさうはずっと変身に関わってきたから、よくわかってるんだろうな」
2人の喜びは、みんなに笑顔をもたらしていった。
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これで峮峮スピンオフの第1部が終了しました。今回のお話は、第2部の最初「峮峮(チュンチュン)7人の悪魔との対決へ」へと続きます。「峮峮(チュンチュン)7人の悪魔との対決へ」は次のリンクからどうぞ。
途中に出てきた「Nice Playの動作」というのは、次の動画をご覧ください(峮峮は出てきませんが)。
さて、今回登場していただいた方のご紹介です。また、ご登場の方の記事をリンクしていきます。
WACKの関連記事は次のマガジンから。
今までのWACK峮峮スピンオフは次のマガジンからどうぞ。
峮峮スピンオフは、また第2部に戻り、急展開を始めます。
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