486.【WACK峮峮スピンオフ#41】ありがとう、峮峮!
大家好。今回はWACK峮峮スピンオフの41回目、第2部の17回目、最終シーン・フィナーレ回です。
コマンドJulieが峮峮(チュンチュン)を救い出すシーンは、電子書籍の書き下ろしとなりますが、このnoteではWACKの皆さんに感謝を込めて、このフィナーレ回を公開いたします。
……Julieに助けられ、ルシファーから本来の自分に戻った峮峮。しかし、その罪の重さに打ちひしがれていました。「みんな許してくれるよ」と励ますJulieに、まだ許してもらえるとは思えない峮峮。つらさを引きずりながら、如水珈琲店に向かいます。
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ノートガルドの街ソフィア地区、そこには緑川さんの教会、St.Mikarin教会がある。峮峮が最終フォームに変身した教会だ。その教会を懐かしそうに眺める峮峮の視界がゆがんだ。教会が雨にそぼ濡れたように煙っていた。
「ダメ、もう涙が……やっぱり行けないよ……」
「大丈夫だって、みんなわかってくれるから」
Julieは峮峮の肩を抱き寄せながら、如水珈琲店に向かった。入口で躊躇している峮峮、それを見てJulieが扉に手をかけた。Julieに励まされるように、峮峮が中に入り、Julieとポンちゃんが後に続いた。
3人が中に入ると、薄暗い店内に多くの人が集まっていて、峮峮は驚いた。Julieとポンちゃんも、何が起きたのかと思っていた。そして、3人が入っていっても、店の中は静まり返り、物音一つしなかった。
「こんにちは、お久しぶりです……」
そう挨拶した峮峮に、誰も反応しない。
「コンニチハ、峮峮デス。ミナサン、元気デスカ?」
峮峮は日本語で言ってみたが、誰も反応しない。
みんなから無視されてると思うと、峮峮は泣きそうになったが、Julieにポンポンと肩を叩かれて、勇気を振り絞って言った。
「あたし、みんなに迷惑ばかりかけて……本当にごめんなさい。ゴメンナサイ!」
そう言って、峮峮が頭を下げた途端、パンパパパパパーン!クラッカーが激しく鳴り響いた。
「峮峮ちゃん、こっち、こっち」
ワディさんが峮峮の手を引くと、そこにはくす玉。店内が急に明るくなった。
「これ引っ張って!」
くす玉の紐を峮峮が引くと、くす玉が割れて、紙吹雪と共にメッセージが。
謝謝、峮峮!ありがとう、チュンチュン!
如水珈琲店は拍手に包まれた。
「サイレント・トリートメントかぁ。やられたなぁ」
Julieが峮峮と顔を見合わせて笑った。2人とも笑顔と涙でぐちゃぐちゃになっていた。
「これから表彰式です!」
ワディさんが音頭を取る。
「パパパパーン、パパパパーン……」
「ワディさん、それ結婚行進曲!」
「あ、これちゃうわ。え~と、ファンファーレは……ま、いいか」
みんなの笑いと共に、高らかに読み上げるワディさん。
「表彰状!呉函峮(ウー・ハンチュン)殿」
敬虔な表情でワディさんの声に聞き入っていたみんな、最後しっかりとナンパしてたので、爆笑の渦となった。
峮峮もその意味を知って笑った。そして涙を拭うと、峮峮はみんなの笑顔がようやく見えるようになった。
ずっと見守ってくれた町長のワディさん、変身を手助けしてくれたうさうさん、謎解きで解決に導いた白さん、球場で励まし小説を助けてくれたみこちゃん、「個」展を案内してくれた如月桃子さん、少林寺拳法の手ほどきをしてくれたひとわけいぶきさん、謎解きを手伝ってくれたミーミーさん、コピーを書いて応援してくれたゼロの紙さん、素敵な衣装を作ってくれたかこさん、最終フォームに導いてくれた緑川凛さん。そして、峮峮と一緒に入ってきた、通訳を頑張ってくれたポンちゃん。それから、最高の親友Julie。
多くの人に支えられてたんだということに、峮峮は気づいた。
「本当にありがとう!みんな、ありがとう!」
そんな峮峮とJulieを真ん中に招き、祝福のパーティが始まった。ご馳走が並べられて、乾杯の音頭が取られた。
みんなから贈られる「ありがとう」の声。「みんな見ていてくれた。みんな私を受け入れてくれた」ということに、峮峮は気づいた。努力が報われた。こんなにうれしいことはなかった。
うさうさんを見ると、峮峮は近づいて、首に下げていたペンダントを外した。
「うさうさん、今までありがとう。これ返します」
「ずっと持っててくれたのね。ありがとう」
そして、峮峮は力強く言った。
「もう大丈夫。一人で歩いて行けるから」
「峮峮ちゃん……」
2人は抱き合ってお互いを讃えた。2人に惜しみない拍手が送られ、如水珈琲店は明るく煌めいていった。
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この峮峮スピンオフをご贔屓いただき、本当にありがとうございました。また、電子書籍が上梓されましたら、よろしくお願いいたします。
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