蠍の火 まことのみんなの幸い
宮沢賢治 銀河鉄道の夜より
「ああ、わたしはいままでいくつのものの命をとったかわからない、そしてその私がこんどいたちにとられようとしたときはあんなに一生けん命にげた。それでもとうとうこんなになってしまった。ああなんにもあてにならない。どうしてわたしはわたしのからだをだまっていたちに呉くれてやらなかったろう。そしたらいたちも一日生きのびたろうに。どうか神さま。私の心をごらん下さい。こんなにむなしくいのちをすてずどうかこの次にはまことのみんなの幸いのために私のからだをおつかい下