東京大学大学院 情報学環学際情報学府 先端表現情報学コース 合格体験記#2
この記事は東京大学大学院をはじめとした外部大学院の受験を考えている方に自伝的な合格体験レポートを通して雰囲気をお伝えしたいと思い執筆しています。
※この記事は合格体験記#1の続きになっています。先にそちらの方を参照頂ければ幸いです。
受験準備や試験対策ついては以下の記事でまとめているので是非チェックしてみてください。
受験準備
さて、#1の方では12月ごろに受験の決断をしたと書きましたが、受験対策を始めたのはもう少し後のことでした。
学部3年後期の授業はそれなりに重く、3年次の授業が終了するまでは受験の対策を始めませんでした。
2月
期末試験は2月中頃にあり、無事に試験が終わりました。ここですぐに勉強を始めたかと言えば...実はそうでもないです。
自分の中でかなり覚悟を決めていたので、趣味を一旦封印して受験をしようと考えていました。自分にとってTRPGに参加したり、作ったり、それを運用する時間はとても大切でした。もっと言えば、この時間がないことが考えられないほど依存の対象です。それをパッとやめるのは到底無理だったので2月はしっかり遊ぶことに決めました。
3月〜4月(英語試験対策)
3月からはようやく院試の勉強を開始します。
3月17日にはTOEICがあったのでまずはその対策を始めました。(TOEICの申し込み締め切りは1ヶ月前なので注意が必要です。私は2月中にTOEICの申し込みだけは済ませていました)
勉強時間としてはこの頃はまだ1日あたり1〜2時間程でした。もともと英会話が好きだったのもあり、特別な対策はせず、3年生の時に受けたTOEICは700点台だったので800点くらいは欲しいなぁという気持ちで勉強していました。英語が苦手な方はもう少し早く勉強を始めて勉強時間も増やした方が良いと思います。
自分は対策にこの本だけを使いました。この本は一つの模試を3週間かけてみっちり復習という形式のものでかなり勉強になるのですが、難易度はかなり高いと思います。しかしながら模試の正しい復習の仕方が身につくので非常に有用だと思います。
700点以下の方は文法が固まってない部分が多いと思うので先に基礎固めをしてから取り組むことをお勧めします。あとは、公式問題集をこの本と同じ方式で回せばもう少し高得点が狙えるかと思います。
結果としては805だったので最終的にはこのスコアで出願しました。思えば、3週間の対策で805というスコアを取れたのはかなりコスパが良かったように思えます。
さて、TOEICの結果が出るのには3週間ほどあり、次の申し込み期限は発表前であるため、流石に一発勝負というわけにもいかないので4月のTOEICも受験することにしました。また、私の出願した学科ではTOEIC利用で問題なかったのですが、どうやら東大はTOEFL推しという話を聞いたので一応受験しました。
こちらの感想については以下の記事で公開しているので割愛します。
そんなこんなで4月半ばまで英語の勉強だけを続けていたわけですが、結果としては初めのスコアより良いスコアが取れず、受験に対しては無駄な時間になってしまいました。ただ、スコアには出なかったものの自分の根本的な英語力や文章構成力などが各種英語試験を経て成長を感じているのでその点に関してはあまり後悔しないことにしています。
この頃の勉強時間は3〜4時間になり、徐々に勉強の習慣はついてきたように思えます。
4月〜5月(研究室見学)
英語試験の対策中ではありましたが、4月の頭には研究室見学に行きました。東大の認知関連の学際研究を調べていたところ総合文化の方の研究室が見つかったので、見学させていただきました。
その研究室は、学府と総合文化の両方から学生を受け入れているらしく、4月に総合文化全体の説明会、5月には学府全体の説明会に参加しました。
5月に行われた学府の説明会では、別の研究室も見てみようと思い、研究室別説明会では、VR研究室の方でお話を聞きました。説明終了後に、自分の興味や研究に関する質問をさせていただき、こういう方向性の研究はできるのかという確認をしたところ、研究室の方向性にはあっていて支援できるという回答を頂いたので、認知研究室との併願を考え始めました。この辺のすり合わせは非常に大切だと考えています。
その後、個別にアポイントメントを取り、VR研究室の教授と1時間ほどお話しさせていただいたのですが、話した感触がかなり良く、短い時間でしたがこの方とならやっていけそうだと思い、出願を決めました。
正直な話をすれば、両研究室とも過度な束縛はなく、幅広い知見を持たれた先生の研究室でしたので、自分のやりたいことができるのならどちらでも良いと考えていました。
ただ、強いて言えば認知研究室は駒場にあり、VR研究室は本郷にあるので、通学の関係上近い本郷が良いとは考えていました。
また、両研究室とも総合文化と学府の両方から受け入れをしていたのですが、個人的に学府の雰囲気の方が自分には合うのではないかと考えていました。
さらに、両研究室とも学府に属してはいるのですが、厳密にはコースが違うので、学府受験では併願ができませんでした。ここで、私が出願した先端表現情報学コースには特別選考枠があり、芸術系のバックグラウンドがある人材も取り入れていました。また、名前にもある通り、研究者のみならず表現者を養成するコースでした。
私は、アートのバックグラウンドはありませんが、作曲をしたり、ステージで歌唱や芝居をしたり、TRPGやリアル謎解きイベントの制作するなどの創作・表現活動が好きだったので、学府受験ではこのコースに属するVR研究室に出願することを決めました。
ちなみに総合文化のほうでは、認知研究室を第一志望、VR研究室を第二志望という形で出願しました。
4月後半は、上記のような研究室見学及び研究室決めをしながらも、総合文化の筆記試験の過去問を解き始め、認知科学の書籍を読んだり、論文のリサーチもしていました。
認知科学の概観を掴むために自分が主に読んだ3冊を紹介します。認知科学研究を志す方にはとてもおすすめです。認知心理学の教科書に関しては、認知研究室の先輩にご紹介頂いたものになります。
5月〜6月(研究計画と筆記試験対策)
5月半ばには今所属している研究室で重めのゼミ発表があったので一週間近くは丸々そちらの準備に時間を取られました。
また、4月後半から5月〜6月にかけてとてもたくさんの人にお会いし、お話を聞いていただきました。これによってかなり自分の考えていること、やりたい研究、できる研究の方向性が固まったように思えます。
5月前半には無理やり計画書の草案を完成させ、先方の研究室の院生の方や、認知科学及び関連研究者、学部の研究室の教授など、様々な人に添削及びご意見を頂きました。
とりあえず完成させてたくさんの方に意見をもらう、これが合格への最短ルートだと思います。自分で悩む時間も大切ですが、人に見てもらうことで更に自分の思考を広げることができます。添削は研究内容に関わらず、文章構成、表現など様々で、自分の草案や考えがいかに稚拙なのかを痛感させられます。
でもこれは全くもって悪いことではないです。そもそも経験の少ない(世の中の研究者と比較すればほぼないと言っても過言ではない)学部の四年生が持ってくる研究計画というのは正直ゴミみたいなものです。それを認めた上でどんどん人に頼って自分を高めて行くのが一番良いと思います。
この時期は辛かったです、何度書き直しても書き直してもどんどんと改善点が出てきます。確か最終提出時には改稿回数は20稿を超えていたと思います。書きながら論文を読んで書き直すのを繰り返すわけです。
同時に筆記の勉強をするわけですが、正直これが救いでしたね。東大の問題に疲れた時は自院の問題を解いて休憩していました(かなり限界ですね)研究に無理やり向き合い続けると流石に頭がおかしくなります。自分は併願をしていたので様式が違う2つの計画を書く必要があり正直頭が壊れそうでした。
振り返れば、100本近く論文を読んだのではないでしょうか?流し読みしたものはありますが、少なくとも50本はしっかりと読んだと思います。半分くらいは英語論文でした。個人的に英語を読むのは嫌ではないのですが、時間的効率を考えると日本語の方が読むのが速いのでバンバンDeepLに入れて、ChatGPTに要約させてました。ツールを使いこなすのも才能らしいですね。ぜひ活用するべきだと思います。
そんなこんなで提出ギリギリまで研究計画は改稿を続けて漸く提出しました。
ちなみにこの頃は日によりますが、1日4〜6時間程勉強していました。
第2節 終
ここまでが直前期までにやっていたことになります。次の記事では直前期から受験本番について書いていきたいと思います。