【探究学習】プレゼン通った!も夢じゃない。静岡の中高生がどストライクに地元を救う。
静岡県内の中高生が、地元の資源を生かして探究した成果を発表する「2021 静岡カップ」が1月30日にオンラインで開かれました。前編に続き、練りに練られた企画が飛び出します。
今年度、一般社団法人「シヅクリ」が提供する地域探究プログラム「engine」(エンジン)には、静岡の企業 15社と17校の中高生計2041人が取り組み、事前選考を通過した8校18チームが「静岡カップ」に出場しました。
地元の、あの人を、笑顔にする
後編で紹介する2チームは、連携する各企業が思わず前のめりに! 企画の目的には一点の曇りもありません。住む人の安心に繋がったり、社会貢献もできて、地元の「あの人」たちの喜ぶ顔が目に浮かぶ、そんな明快なゴールを見据えています。
細部まで具体的に練られた企画は、すぐに実現可能な予感です。
まずは、地元の「夜道の危険」に光を当てた、静岡市立末広中学校・チーム「デンジャラス」の発表を見てみましょう。
キラキラ照らし、夜道の事故よ、さようなら!
皆さんは夜の道で「暗いな」と思ったことはありませんか? 今の季節は特に日が落ちるのが早く、学校からの帰り道もとても暗く感じます。外灯だけでは光が届かない場所もあるのです。「道が暗くて怖いなぁ」そんな声を聞いて私たちは「白線や標識を光らせたらどうだろうか?」と考えました。
私たちの提案「命や幸せを守る!キラキラナイト!」略して「キラナイ」です。
突然ですが皆さんは静岡県の交通事故発生件数を知っていますか?
なんと、静岡県は1位なのです。
驚きました。
では私たちの地域ではどのようなのでしょうか?
調べてみると事故の多い交差点が私たちの通学路にもあることがわかりました。このような事故はどうして起こるのでしょうか?原因として考えられることはいくつかあります。
そのような事故の原因を回避するために、何かできることはないだろうか?
そこで私たちは、鈴与商事さんの「太陽光」と「電気」というリソースに地域の「道路」というリソースを組み合わせて、
「白線や標識を光らせよう」という企画を提案します。
この企画を考えた目的は、夜でも雨の日でも、白線や標識を見えやすくすることによって、事故防止につなげることです。
そして、街の整備にもつなげていきたいと考えました。
まずは、白線について説明します。白線を光らせるために、最先端の太陽光発電のペロブスカイトを使います。
例えば、学校の窓にペロブスカイトを貼り付けて蓄電し、発電した電気を使って白線を光らせます。また太陽光で足りない分は、鈴与商事さんの電気を使って補います。白線の色は、夜の暗闇でも目立ち、目に優しい緑かオレンジがいいのではないかと考えました。
次に、標識について説明します。標識を光らせるために、ボールにペロブスカイトをつけて使います。電球の色は、標識の元の色に合わせた色にして光らせます。
また、白線、標識を光らせるための電気のオンオフは車のライトと同じように、暗くなるとセンサーが反応する仕組みを使います。
ところで皆さんは、ペロブスカイトって何? と気になっていませんか?
これがペロブスカイトです。
ペロブスカイトはとても薄く、曲げることができるほど柔らかい素材でできています。
ペロブスカイトのメリットは、やはりその素材の良さです。軽くて薄く、柔らかいので、色々な場所で使うことができます。そして貼るだけで高い効率の発電ができることです
一方、デメリットは何でしょうか?
それは実用化の目標が2025年となっていて、今すぐにはできないことです。
ですが私たちの企画から実用できるようにしたいと思っています。
さて、実用化された場合、どのようになるのでしょうか。私たちの通学路を使って説明します。こちらの写真を見てください。
このように暗い道でも、白線や標識を光らせることができれば明るくなり、安心・安全に歩くことができます。
この企画が実現すると、暗かった道が明るくなり、事故が防げます。また、不審者がいなくなり防犯対策にもなります。
そして何より、私たちのまちが安心して安全に暮らせる住みやすい街になります。そんな街にはたくさんの人が溢れ、賑やかになります。
「事故や事件の少ない幸せな街」として、私たちの町が有名になることができます。
「命や幸せを守る!キラキラナイト!」
略してキラナイ!
これでデンジャラスの危険ではない提案を終わります。ありがとうございました。
「夜道キラキラを裏付ける、リサーチがすごい」
発表を聞いた人たちから、こんな感想が出ました。
「末広中学校を通って自転車通勤しているのですが、確かに暗くて危ないんです。運転している大人も、白線や標識が見えずにヒヤッとしますし、夜道がキラキラになる技術に、事故の解決と町の安心安全も組み合わせたところがすごい。2025年を待たずに、ぜひ鈴与商事さんとすぐに警察へ売り込みに行きましょう」
「日本にあるテクノロジーを、自分たちの地域で使いたい!の発想と、そのためのリサーチ力が本当に素晴らしいですね。キラキラナイト、というネーミングも地元に愛されること間違いなしです」
次は、農家のおじいちゃんに扮した演技も光る、翔洋高校・foolishiの発表です。
わしのみかんは捨てられず、インスタバエしてお届けじゃ
皆さんこの数を見てください。何を表している数だと思いますか?これは1年間で世界中から出る食品廃棄量です。
世界中では約13億トン、日本では約610万トンという食品が廃棄されています。もし、あなたが農家さんで自分の作った野菜が目の前で廃棄されてしまったらどう思いますか?
(おじいさん)今年はたくさん取れたけど、形とか大きさがバラバラで商品にならないものが多いなあ。。
コロナウイルスの影響で出荷量が減っちゃって、売れ残りも多いね。ご近所さんに配るのも限界があるし。。味は美味しいのに。
もったいないな!んんどうしよう。
形や大きさ、味はバラバラだけど味は美味しいのに…っと思いますよね?
そこでそんな農家さんの願いを叶えるべく、一生懸命作ってくれた野菜や静岡の魅力を全国の皆様に届けるために作った企画、その名も…「しず食」!
しず食は、静岡銀行と静岡の農家さんや漁師さんで共同して開設し、静岡の特産物を販売するオンラインショップです。
このプロジェクトは、静岡銀行、静岡の農家さん、漁師さん、全国の消費者のトライアングルでできています。
とくに、生産者と銀行は、銀行が生産者に融資をし、生産者は大きい機械を買ったり、土地を広げたりすることで、事業の拡大ができ、銀行は融資の金利を得ることができます。
んおおおお!? 静岡銀行のチラシだ!
なになに? 静岡銀行がオンラインショップしず食を開設するだと!?
まず、活動を知ってもらうために静岡銀行のホームページやCM、全国の店内で宣伝します。
また、しずぎんダイレクトライトというメールのシステムを使ってしずぎんユーザーの方に、オンラインショップに直接飛べるURLを貼ったメールを配信します。
しかも、訳あり商品を売る項目もあるんだなぁ、
このように、農家さんが困っている、味は美味しいけど規格外で商品にならないものを「しず食」では、訳あり商品として価格を下げて販売する事で、売れ残りを減らすことができるのと同時に食品ロスの削減に貢献することができます。
なんか広瀬すずちゃんがインスタに投稿してるぞ。
なに?なに?
しず食だと! なんか面白そうだし見てみよう!
訳あり商品とか売ってるんだー。
おーこのみかんとか美味しそうじゃん、値段も安いしちょっと買ってみよう!
このように、まずはいろんな人にこの取り組みを知ってもらうべく静岡出身の有名な人に協力をしてもらったり、
しず食のインスタグラムやツイッターなどの公式SNSを開設し、静岡観行にあまり関わりのない人や、若い世代の人にもでも、活動を知ってもらえるようにします。
翌日、宅急便が届くと…
しずぎんが配達までしてくれるんだ!早速食べてみよう。
美味しい!静岡にはこんな美味しいみかんがあるなんて知らなかった!
インスタにあげちゃお〜
#しず食 !オッケー!
このように、静岡銀行の公式SNSをフォローして、ハッシュタグしず食で投稿すると、次回使えるクーポン配布などのキャンペーンを実施すれば、静岡銀行は全国への知名度が上がり新しいユーザーの獲得などが期待できます。
今年はわしの作ったみかんを全国の人に食べてもらえて嬉しいなあ!
訳ありみかんも売れて食品ロスもほとんどないし!
しず食のおかげだねえ〜
しず食についてご理解いただけましたでしょうか。今回では説明しきることができませんでしたが、○○円以上預金することでサービスを提供したり、しず食でできることは無限大にあります。
今回のプロジェクトを通して、静岡には県民でさえ知らない魅力がたくさんあることに気づきました。そこで、これからは魅力の発信力が静岡の活性化に繋がると思いました。
しず食で世界に革命を起こしましょう!
「地域の“顔”の、銀行を巻き込んで繋げたフードロス」
発表を聞いた人たちから、こんな感想が出ました。
「フードロスはすでに多くの取り組みもありますが、よく整理し、地域の銀行を巻き込んで繋げていったところが素晴らしかったです。皆さんの演技もよかった!」
「この企画のリソースは、静岡銀行のメールシステムを使う、ということだけど、銀行の信用力、ってすごく大きいですね。規格外商品や半端もんって、不安がちょっとある、でも銀行がやっていることに間違いはないだろうというブランド力がかみ合っている、すごい可能性ですね」
「しず食っていうネーミング、シンプルで何かがすぐに分かっていいです。しずぎんさん!ぜひ実現に向けて一緒にやってください」
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