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ハワイ島で太陽恐怖症について考える

ハワイ島の新居に越して4ヶ月、肌がこんがりと焼けてきた。腕はスマートウォッチで隠れているところと比べて確実に2トーンほどは黒くなっている。いわゆる小麦色の肌だ。
 
それを見て懐かしい気持ちになった。最後に小麦色の肌になったのはいつだっただろう?20年前?いや、もっと前かもしれない。
 
アラカンの私は10代、20代前半は日焼け止めを塗った記憶がない。大学に入るまでは化粧もしなかったから真夏もすっぴんで過ごしていたので、地黒の肌は小麦色以上に濃くなっていた。でも真夏の太陽を体に浴びると、「あー、生きている!」と生命力が体の底から湧いてくるのを感じたのを覚えている。夏が好きだった。
 
当時は夏になると小麦色の肌の美しさを謳うコマーシャルも多かった。それがいつの頃からか太陽に当たるのは肌に良くない、シミやシワの原因になるから日焼けを極力避けるようにと言うメッセージにとって変わった。少し調べてみると1985年に南極オゾンホールが見つかって、紫外線は肌や目に有害だという情報がきっかけとなり、日焼けは怖いというイメージができたそうだ。
 
これが化粧品会社の美白商品を売ろうという戦略と相まって、太陽を少しでも浴びたら美容に悪いという情報がどんどん流れるようになったようだ。だから今、日本では日焼け止めをはじめとする美白化粧品、洋服、日傘など紫外線から肌を守る商品がたくさん売られている。
 
私も知らないうちに太陽に当たると、「気持ちがいい」というよりも「肌が危ない」と感じるようになっていた。「紫外線は危険だよ」「日焼けするとやばいよ」という催眠にかかって紫外線恐怖症、いや、もっと言うと太陽恐怖症になってしまったようだ。
 
それでもハワイに来る前はアメリカの北部の州に暮らしていたこともあり、真夏にハイキングでもしない限り、あまり日焼けのことは気にせず暮らしていた。だがトロピカルなハワイでは太陽を避けようとすると生活が成り立たなくなる。
 
それでは日焼け止めをしっかり塗ればいいと思われる方もいるだろう。だがハワイ州では数年前に「サンスクリーン法」ができ、オキシベンゾン、オクチノキサートなどサンゴ礁の白化を起こすことがわかっている化学物質が入った日焼け止めの流通や販売が禁止された。サンゴ礁の破壊を防ぎ海の生物を守るためだ。
 
禁止されているのはあくまで流通と販売なので、日本やアメリカ本土からそうしたケミカル系の日焼け止めを持ってきて使用しても罰せされることはない。でも美しいサンゴ礁やそこに生きる魚たちのかわいさや美しさを思うと使えない。しかもサンゴに悪いものは私たちの健康にも良くないだろう。ケミカル系の日焼け止めをつけると肌がピリピリする。
 
だがいわゆるリーフセーフ(サンゴ礁にも安全)という日焼け止めはベタベタとして付け心地が悪いうえに、完全に日焼けを防ごうと思うと肌が白くなるくらいまで塗らないといけない。だから帽子を被ったりや長袖を着るが、外に出るまでに色々やることが多くて日中に外に出ることが億劫になってきた。
 
でも最近、思った。日焼けを恐れてハワイの生活を楽しめないなんて何か間違っていないか?そして日焼けを避ける日本の風潮は行き過ぎではないのだろうか?
 
実は私はハワイに越してから体調がいいのだ。下記の記事にも書いたが、空と太陽と近いから睡眠のリズムが整って規則正しい生活になった。そして前は少しうつうつとした気持ちで目覚めることが多かったが、今目覚めの気持ちは明るい。
 
太陽に当たるから脳内のセロトニンが増えて気分が明るくなる。睡眠がしっかり取れれば休息が取れるから病気になりにくいし、認知症の予防にもなる。太陽に当たると体内でビタミンDが作られるので骨粗鬆症予防になる。太陽は恵みだ。
 
70代や80代になって色白でシミはないが骨粗鬆症や認知症になるのと、シミシワはあるが健康で頭もクリアなのとではどちらがいいだろう?アラカンの私は体の健康をとりたい。海で泳げるくらいの体力を維持して美しいサンゴ礁を楽しみたいし、フラも踊っていたいし、こうやって文章も書き続けたい。ハッピーでいたいのだ。太陽恐怖症の呪いから回復しつつあるのかもしれない。
 


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