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【御恩と奉公】をヒントに組織マネジメントを考える

すべての小学生が義務教育で学ぶ【御恩と奉公】を覚えていますか?

「御恩」:将軍は、御家人の領地を認めて保護したり、功績があったときには新しい領地を与えたりしました。
「奉公」:御恩を受けた御家人は、将軍に忠誠を誓い、戦いのときには一族を率いて将軍のために戦いました。
このような、土地を仲立ちにした主従関係を「封建制度(ほうけんせいど)」といいます。

進研ゼミ中学講座

鎌倉時代、源頼朝は武士たちをまとめあげるために、「御恩と奉公」という「ギブ・アンド・テイク」の仕組みを構築し、一世を風靡しました。源頼朝は武士たちに土地を与えたり、土地の領有権を認めたりと、明確な「ギブ」を行いました。対して、武士たちからは、平家に勝つために戦ってもらう「テイク」を要求しました。

この仕組みは、労働に対する対価が明確であったため、武士との信頼関係を構築しやすく、鎌倉中期の元寇までは機能しました。しかし、元寇ではモンゴル帝国に勝利したものの、領土を奪うことができず、忠誠を尽くした武士に「ギブ」を返すことができませんでした。結果として、鎌倉時代の終焉とともに、御恩と奉公の仕組みは終わりを迎えました。

さて、この教訓は現代の組織マネジメントにも活かせると思います。

経営者は「テイク」ばかり要求していないか?

離職率が高く、社員のエンゲージメントが低い企業は、「奉公」ばかりを求め、社員への「御恩」が曖昧であることが多いです。ノルマや目標、勤務規則は厳しいにもかかわらず、処遇のルールが不明瞭であれば、「頑張り損」となり、社員は貢献意欲を失います。

そこで、人事ポリシーにおいて「社員との約束」を明らかにすることをご提案します。これは、評価制度や給与制度の公正なルールを開示するだけでなく、そこで働く社員にどんな価値を提供するかを明文化したものです。

経営努力によって「社員との約束」にコミットし続けることで、社員との良好な信頼関係を築くことができます。

サンスターHPより
ドミノピザHPより

インセンティブは有限のリソースとなっていないか?

鎌倉時代の【御恩と奉公】が機能不全となったのは、領地というリソースに限りがあったことが原因です。幕府が管理する土地は有限であり、永久に付与し続けることはできません。

企業にとってわかりやすい有限なリソースは「カネや地位」でしょう。社員に対する対価(御恩)が有限な報酬である「カネや地位」である場合、必ず奪い合いが生まれます。

もちろん、「カネや地位」も重要な報酬ですが、それだけでは長続きしません。サンスターの掲げる【共にはたらく仲間への報酬】のように、仲間や充実感、やりがい、感動、感謝など、奪い合いにならない内側の報酬にも目を向けていくことが重要です。

まとめ

現代の組織マネジメントにおいて、社員と企業の関係は、鎌倉時代の「御恩と奉公」によく似ています。経営者は、社員に対して明確な「御恩」、すなわち報酬や評価制度を提供し、彼らが安心して「奉公」、つまり企業への貢献を行える環境を整える必要があります。曖昧な報酬や有限なリソース(カネや地位)の奪い合いではなく、仲間との信頼や充実感といった内側の報酬にも目を向けることで、長期的な信頼関係を築き、組織全体のパフォーマンス向上を図ることができるでしょう!

現代版・当社版の「御恩と奉公」の仕組みを築くとともに、社員に開示していきましょう!

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