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アダム・カヘン『共に変容するファシリテーション』にて(キング牧師)

今回の記事は、過去の記事「アダム・カヘン『共に変容するファシリテーション』にて(愛)」のつづきです。時空を超える「愛」がありました。

 ティリッヒの神学を博士論文にした米国の公民権運動の指導者マーティン・ルーサー・キング・ジュニアは、暗殺される8カ月前に南部キリスト教指導者会議で行った最後の議長演説で、この責務について表明した。

力は、適切に理解されるならば、目的を達成する能力にほかなりません。それは社会的・政治的・経済的変革を起こすのに必要な強さです。……歴史上の大問題の一つは、愛と力の概念が、たいていは相反するもの、対極にあるものとして対比させられてきたことです。その結果、愛は力の断念と同一視され、力は愛の否定と同一視されています……今こそ、この誤りを正さなければなりません。私たちが理解しなければならないのは、愛なき力は無謀で乱用をきたすものであり、力なき愛は感傷的で実行力に乏しいものだ、ということです……現代の深刻な危機を生み出しているのは、まさにこの道徳なき力と力なき道徳の衝突なのです。

――pp.240-241 結論「愛、力、正義に対する障害を取り除く」

 先ほど引用したキング牧師の演説は、後にこう続いている。「力の最たるものは正義の要求を実行する愛であり、正義の最たるものは愛に逆らうすべてのことを正す力なのです」。キング牧師は、愛、力、正義はどれも社会変革を実現するために必要であると考えていた。私は、この3つのすべてが、変容型ファシリテーションの可能性を実現するために必要だと考えている。

――p.247 結論「愛、力、正義に対する障害を取り除く」

私は、その「愛、力、正義」を、次の図のように読み取ります。

この図は独学の具体例の一つにすぎません。

球体の「言語共同体」に、ピンク色の「回転軸」を通し、球体内でドーナツ状の「可能性」を浮かべます。共同体の回転軸に「正義」をピンク色の矢印の方向に流すと、共同体の可能性が緑色の矢印のように動きます。すると、「力」の周囲は右回転して見え、「愛」の周囲は左回転して見えます。

ファシリテーターがグループの取り組みで力に対する障害を取り除くための支援ができるようになるためには、ファシリテーター自身の中の力に対する障害を取り除けるようになることが必要だ。私は普段から自己実現の衝動を心地よく感じている。特権と男性性に関する私自身の経験がこの志向を支えてきた。私の自己実現の衝動は、一緒に取り組むグループのために奉仕する上で、自分の才能を開拓し、活用する上で大いに役立っている。ファシリテーターとしての私の進化は、自分の強い方の衝動(力)を弱めることではなく、弱い方の衝動(愛)を強めることによって、私の力と私の愛の両方を使えるようになってきていることだ。ファシリテーターは、取り組みに対して全力の貢献と最大限のつながりの両方を捧げなければならない。そうすることによって、参加者たちも同じことができるようにサポートできる。

――pp.241-242 結論「愛、力、正義に対する障害を取り除く」

以上、言語学的制約から自由になるために。たぶん、つづく。