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田坂広志『死は存在しない』にて(自我から真我へ)

今回の記事は、過去の記事「田坂広志『死は存在しない』にて」のつづきです。とくに、第六話から「意識の五つの階層」を取り出しました。

 そして、さらには、「死後の世界」の存在を想起させる、次のような現象についても、科学的・合理的な説明が可能になる。

「臨死体験」「幽体離脱」「故人との再会」
「霊媒」「死者との交信」「背後霊」
「転生」「生まれ変わり」「前世の記憶」


 こう並べると、筆者が、極めて怪しげなことを述べていると思われるかもしれないが、それは、逆である。
 こうした言葉で表される「不思議な現象や体験」は、昔から極めて多くの人々によって報告されているが、科学的に、そうした現象が起こる理由を説明できないがために、多くの人々が、「あの世」「天国」「霊界」といった、その実体の分からない「ブラックボックス的概念」を、半信半疑ながらも、受け入れてきた。
 それに対して、この「ゼロ・ポイント・フィールド仮説」は、そうした神秘的に見える「不思議な現象や体験」が生まれてくる理由を、それなりに科学的な基盤のうえに説明しようとするものであるため、「ブラックボックス的思考」、すなわち、実体の分からない概念を無条件に受け入れ、思考停止に陥ってしまうという落とし穴を避けることができるのである。――pp.186-187

第七話 フィールド仮説が説明する「意識の不思議な現象」

 ゼロ・ポイント・フィールドとは、単なる「情報貯蔵庫」のようなものではなく、この宇宙で起こったすべての出来事のすべての情報を「記憶」していく「超越意識」のようなものであり、これを敢えて命名するならば、この宇宙のすべてを記憶している意識、すなわち、「宇宙意識」と呼ぶべきものである。
 そして、ゼロ・ポイント・フィールドの性質について、

「記録」から「記憶」への動詞の転換
「情報貯蔵庫」から「宇宙意識」への主語の転換

 をすることこそが、ゼロ・ポイント・フィールドの正体を知るために、そして、死後、我々の意識が、どうなっていくのかを理解するために、きわめて重要なのである。――pp.214-215

第八話 フィールド仮説によれば「死後」に何が起こるのか

そして、「私」が、「自我」から宇宙の「真我」へ移行すると……。

 すなわち、我々が「死」というものを真に理解したければ、その「死」を迎える「私」とは何かを、深く問わなければならないのである。
 そして、「真の私」というものが、「自我」に拘束されたこの「現実世界の私」や「個的意識としての私」ではないことに気がついたとき、「死」というものが、本来、存在しないということの意味を、理解することができるのである。――p.232

第九話 フィールド内で我々の「自我」(エゴ)は消えていく

ここで、私が思い出す哲学者に、ルドルフ・シュタイナーがいます。シュタイナーが著す『自由の哲学』は、宇宙が思考していることに気づけなければ読めない書物です。良ければ、次の三つの記事に触れてください。

以上、言語学的制約から自由になるために。つづく。