📽『日の丸　寺山修司40年目の挑発』

2023.02.28 ユーロスペースにて鑑賞。

以下、日記と感想。

〜

1ヶ月前くらいに中野ブロードウェイ4階のまんだらけにて購入した雑誌『夜想』の演劇についての号を読み、そこで初めてしっかりと寺山の作品に触れた。

実際に行われた「書簡演劇」という演劇についての記録が載っていた。

手紙を用いて自らや街の一般人にむけて様々なアプローチをし、どのような反応を得たかについて記録したものであった。

「大衆にアプローチしてその反応を観察する」という実験的な姿勢に驚いた。

寺山修司という名前しか知らなかった私は彼のことを勝手に、自らの確固たる思想か何かがあって、それを作品に投影してきた人だと思っていたからだ。

〜

その後、演劇『毛皮のマリー』の映像を観たり、寺山のインタビュー動画を見たり、寺山について解説する番組、動画を見るなどした。

多くはないが、複数の寺山に関するものに触れ、なによりも〝詩人〟であったという印象を受けた。

マルチな活躍の全ての根底に〝詩的な視点〟を感じる。

寺山の言葉を読むと、自分の中には無かった詩的な視点のフィルターを通しての世界が浮かび上がり、心がときめく。

言葉にはこんな力があるのだなと改めて感動した。

寺山自身が残した言葉にもっと触れたいと思った。

〜

そして、ちょうど自分の中で寺山がHOTなタイミングで、寺山関係の映画が公開されていることを知る。

『日の丸　寺山修司40年目の挑発』

東京、渋谷、ユーロスペースという映画館にて鑑賞。

（ラブホテルや小さな飲食店がたくさんあるエリア。夜にひとりでぽやぽや歩いていてはいけないと本能的に感じるようなあやしい雰囲気。足早に歩いた。近くの名曲喫茶ライオンにはお昼に数回行ったことがあった。この近くにあるストリップ劇場も気になってはいる。）

私に理解できる内容かな？難しいかな？などと思いつつ、わくわくしながら向かった。

🚶‍♀️
　・
　　・
　　　⚫︎
　　　　●
🇯🇵（（鑑賞））🎌
　　　　●
　　　⚫︎
　　・
　・
🧎‍♂️

映画の終わり方にときめいた。

理解する、とか、何かを知る、というよりか、
無意識に目を当てていなかった部分に対して急にスポットを当てられ思考を始めざるを得ない、という体験。

〜

鑑賞を終え、さらにパンフレットを読み、
いくつか心に残ったこと☟

・この『日の丸』という番組の中でも、寺山は一般大衆に向けて質問という一石を投じ、その反応を記録していた。
（書簡演劇などと同じでそこに彼自身の思想は含まれていない。）

・水に石を投げ込むことで水というものがわかる

・凝り固まり考えることをやめた人々を質問攻めにする

・主観と客観的。
文章も、ドキュメンタリーも全て主観。

・この映画は大文字（客観）に始まり、監督の小文字（主観）に向かっていく。

・国家という閉じられた概念からの政治的ではなく、詩的な行為によっての脱出

〜

自分の中に生じた気づきなど☟
（全てわたしの主観。何の根拠もない。）

インタビューに答える1967年の人々比べて、2022年の人々の心の中の「国家」というものの存在は薄いように感じた。

ある意味、もう国家という概念から現代の人々は脱出済みのように感じた。

ほとんどの日本人は特定の宗教に属さず、
それぞれに〝推し〟がいたり（いなかったり）、それぞれのファッションや趣味を通して、詩的な文脈で生きているように私には感じられる。

国家という単位でものを考えている人は、一般の人の中には少ないのではないかな？という体感。

（自分自身の周りに見えるものを全体と捉えているので、まったく信用に欠ける体感ではある）

1967年から2022年までの50年で日本人が国家という概念から脱出したとするなら、
これからの50年で我々は次は何から脱出するのだろう？

50年後の日本人が、2023の我々を見たならば、何かに閉じ込められているように見えるのだろうか…

〜

私自身の職場での話。

最近まさに、同僚から一石を投じられた。
その投げ方、投げられたものの内容を受け、私は彼女の意図がわからず混乱した。
彼女自身のエゴや思想を含めた一石かと誤解した。
彼女との話し合いの場を設けた。
彼女は今の状況を何か変えたくて、勇気を持って一石を投じてくれたのだとわかった。
その内容などはなんでも良かったのだそう。
その行動で、私の中で思考停止していた部分があったと気づかせてくれた。

最近の自分自身にもリンクするように感じられ、充実した映画体験であった。

パンフレットのまだ読めていない部分や、
古本で買った寺山編の詩集や作品集をこれからまた読み進めていこうと思う。

言葉、詩は世界の見え方を変え、時により美しいもの、たのしいものにしてくれる。

まだまだ読みたいものがたくさんだ！